第十三話 俺、亡霊たちと戯れます。その21
「おう、ガスマスクちゃん、お前さんが俺たちの相手をする気かい?」
「ガハハハ、やめておけ! お前さんはいかにも弱そうだしな……死ぬよぉぉ~~?」
「キヒヒヒ、おじさんたち、減らず口だねぇ。でも、コイツを食らったら、絶対、誤った判断だって思うはずさ!」
「ん、なんだ、そのボールは? が、がああああ、このニオイはっ!」
イシュタルはナニを!? ナニかボールのような物体を地面の投げつけたんだが……う、その刹那!
上空旋回しながら取り囲むハーピーたちが、突然、ギュルンと白目を剥いて地上に落下してきたし……。
「あががが、このニオイは……」
むう、大鬼も地面に突っ伏したぞ!?
一体、ナニが……。
「わ、鼻がっ……眼が痛い!」
「ぎゃあああ、目が、目がァァ~~!」
「な、なんなの、このニオイ!」
「はううう、目鼻が痒い、痒いよ!」
「ひぎいい! 眼が痒い、すっごく痒いわ!」
「私も……これはパネェ!」
「ぐええ、これはヤバい……鼻が、鼻がぁ!」
「ぐふえ、耐えるのが超キツいです!」
「うう、耐えがたい苦しみだ!」
「ぐふ、わらわの鼻が……鼻がァァ!」
「まったく、ナニよ! アンタ一体、ナニをばら撒いたワケ!」
「フッフッフ、スーパーウルトラアルティメットパワフルワンダー……とにかく、刺激物よ。ま、今の位置にいれば眼や鼻が痒くなる程度で済むから大丈夫~☆」
「「ふ、ふざけんなー!」」
くううう、目鼻が痒くてたまらん!
まったく、トンでもないモノをばら撒きやがって!
「ふ、ふう、でも、なんだかんだと邪魔者を退けたかも……」
「あ、沙希がやっと人間の姿に戻った!」
「熊の鼻の良さは犬に匹敵するわ。だからホッキョクグマの姿のままだと、狼姫みたいに気絶しちゃうわ」
フッと巨大なホッキョクグマの姿から、元の小柄な女のコの姿に戻る――な、なるほど、人間の姿に戻ったのは、そういう理由なのね、沙希。
「さあ、これで先に進めるぞ」
「あ、ああ……ゲフ、ゲフンゲフン!」
まったく、イシュタルにせいで酷い目に遭ったぜ。
だけど、これで先へ進めるはずだ。
「あ、そうだ。この先に〝霊団〟という亡霊共の集まりがいるはずだ」
「一難去ってまた一難って感じ!?」
「お姉ちゃん、亡霊の集団なんて私が……ニヒヒ~☆」
「お、お前がナニかやると……わ、悪い予想が頭の中を駆けめぐるぜ!」
「ああん、酷いよぅ、お姉ちゃん!」
むう、イシュタルがそう言い出す――この先に霊団とかいう亡霊の集団がいるのか!
一難去ってまた一難という状況だなぁ――が、闇子がいれば、なんとかなりそうだけど、コイツが動くとちと厄介なことが起きそうで怖いなぁ。
「俺は鎮魂歌を歌おう! 幽霊の集団を上手く追い払えるかについては自信はないけどね」
歌で亡霊集団を追い払うことができるものなのか!? とにかく、そうフレイヤが――でも、自信はないみたいだ。




