学園97
「まともな食事ッス!!」
「火内君、料理人なの!?」
「って言うか、なんでまともに料理作れるのに、作ってくれなかったのよ!!ダーリン!!」
その肉じゃがは美味しくて、ジャガイモに出汁が染みてて、玉ねぎもとろとろして甘くて……料理が上手いのもそうだったけど、
「三人とも手抜き料理してたから……」
「手抜き料理じゃないよ!?料理が下手なの!!」
「そうなんだ……」
「ちなみに何スけど……この料理本のメニュー作れるスか?」
「その本のは全部作った事があるから作れるよ……というよりダメだよ。料理本って、基本的に時間掛かるし、材料だってふんだんに使うし……作るメニューを選んだり、工程をある程度は省かないと」
「愛してるアナタ!!好き好き!!」
料理を複数人分作ったり、残っている材料を把握したり、効率の良い作り方という、料理の配分というのも、しっかりと把握していた。
こうして、思わぬ形で三人の胃袋掴んでしまった火内は、みんなに料理の作り方を教えながら、全員のお母さんとして食事を作るという生活に落ち着いていた。
「所でさ、今度の話だけど……」
「地上に行く話?」
「地上かぁ……どんな所だろうか……母なる大地、いつか取り戻さないといけない場所と、大人は言うけどピンと来ないんだよなぁ」
みんなでテーブルを囲みながら、火内が作った料理に舌鼓を打ちながらも、今度の地上に降りる事に付いて話し合う。
「ツバメは何も教えてくれなったけど……シミュレーションの地上と実際の地上は違うから、覚悟しておいてねって」
「美優さんも同じだったよ。何か手掛かりを貰おうとしたけど、訓練にならないって」
「不安だねぇ……不安過ぎて、食事もままならないよ……」
リナと火内と小此木は、味噌汁をすすりながら地上がどんな所なのか思いを馳せるのだが、ミィオだけは何も言わずに浅漬けの野菜で、白飯を口にする。
(美優さんは、地上生まれだって言っていたから…ミィオもそうなんだろうけど……)
火内はたまたま、美優と話をした時に、美優が地上から来た人間だというのを教えて貰っていたから、ミィオも地上出身だというのは察していたが、
「なるようにしかならないッス、忘れ物をしないように気を付けるのが自分達のやる事じゃないスかね
。地上に降りたら、忘れ物があっても取りに戻れないのと、現地調達も絶望的だろうスから……」
本人が、その事を口にしないというのなら、根掘り葉掘り聞くというのは良くない。
「……食事が終わったら、冷蔵庫の中にゼリーがあるから食べてね」
「うぅ…本当に火内君は、料理の天才だよ」
「…………」
話をはぐらかした火内と、ミィオの目が合うが、火内は気にせずに漬物を口にするのであった。




