学園96
「みんな、落ち着こうよ……」
みんながいる……お母さんにツバメに小此木、それに、
「あの…リナの体の事を考えて、ここは穏便にッス……」
「良い事言うね」
「…………」
「ふふっ、嫌われちゃったかな?」
「お前、後でアタシとやり合うか」
「それ良い…久しぶりに本気でやろう」
ミィオと美優さんもいる。
みんなの輪が出来て、新しい繋がりがあって……でも、
「…………」
一人、ベッドの上でうずくまる彼とは……
(良い学園生活になると良いな……)
まだ「みんな」にはなれていない。
「リナ?」
「胸貸してよ……」
リナは、ツバメの胸に背中を預けて目をつぶる。
「……………………」
「ねむちゃった」
今日という日が終わるのを感じながら、明日という未来に備えるのであった。
________
学校生活の始まり。
学校での生活は、新鮮そのもであった。
同い年の子達と机を並べ、同い年の子達と運動をする。
休み時間は、周りの雑談を聞きながら、小此木達と話をする……元々、RLHという生まれが生まれだから、母と一緒に軍施設にいたから、大人の人と一緒にいる時間が長く、大人の人からマンツーマンで指導されて来た自分には、この環境は新鮮であった。
それともう一つが寮生活、これもすこぶる順調で、
「火内君…美味しい……美味しいよ!!!!」
「本当に?良かった……」
「料理人も顔負けッス!!!!」
「いや~これなら、絶対に炊事課には配属されるね。一年の時から、配属先が保証されるなんて羨ましいなぁ」
リナの中で「みんな」の枠に入っていなかった火内だが、彼もまた「みんな」と一緒にいる。
当初は彼自身、リナ達と距離を置いていたのだが、
「同じメニューばっかりだね……料理で、今日が何曜日か分かるのは便利だけど、頭がおかしくなりそうだよ……」
「仕方ないよ……料理が出来るようになっただけでも偉いよ……」
「作れるは作れるッスけどね…レパートリーは…………」
食事問題によって、関係が縮まる。
支給される一週間分の食材、それを自分達で調理しろというのだが、料理を作れるのはミィオと火内、作れないのはリナと小此木。
リナと小此木は、ミィオに習いながら料理を作り、火内は介護しないといけないからと一度帰って自宅で食事を済ませ、ルールだからと料理は作っていた。
別に、ミィオの料理が口にした途端に吐き出す程にマズイ料理を作る訳では無いが、独り身のレパートリーというのは、同じ料理のループに陥りやすく、しかも、外食は基本的に禁止となっているので、気分転換という物が出来ない。
これではいけないと料理本を買うが、敷居が高いというのか……それを作って、明日に備えるというのが面倒で……
「…………」
「…………」
「…………」
三人で、料理を作るという事に辟易している所で、
「今日は、向こうで作ったのを持って来たから」
そんな矢先に火内が、介護先で作ったという肉じゃがを、持って帰って来てくれた。




