学園95
まるで鉄製のボールペンで鼻先を弾かれたかのような、とんでもない鈍痛に鼻先を押さえながら、ベッドの上で七転八倒する。
「ははっ、アタシのデコピンは効くだろ?まっ、それはさて置きだ。寝てたお前の為に、ここでの寮生活の話をしよう」
「うぅ…寮生活?」
ヒリヒリする鼻の痛みを我慢しながら、部屋の中を見渡すと、そこは広い簡素な部屋であった。
カウンターのあるキッチン、それに風呂とトイレに繋がっているであろう扉。
それと自分が寝ている、鉄パイプで作られたベッドが四つあって、横には一つずつ収納箱が置かれているだけの、だだっ広い部屋……1kみたいな安い部屋の中にいる。
「これから、お前達には……」
「待て!!!!この馬鹿鳥!!!!」
「お母さん!?」
美優から、これからの話を受けるという時に、外の方からお母さんの怒鳴り声が聞こえ、
「ユナさん落ち着いて!!」
「離せ小此木!!!!アイツはアタシ達家族の天敵なんだ!!!!」
小此木の声も聞こえて来る。
ベッドから起きて、外で何が起きているのかを見に行こうとするのだが、
『ガチャ』
「起きたんだリナ」
「ツバメ!?」
それよりも早く、ツバメの方が部屋の中に入って来た。
「随分と楽しそうじゃんか」
「美優も遊ぶ?」
「止めとくよ」
「そぉ」
ユナに追い掛けられても、顔色一つ変えないツバメは、リナのベッドの中に潜り込むと、
「よろしくね」
「ちょっとツバメ!?」
リナを羽交い絞めにする訳では無いが、リナの背中に回り込み、
「馬鹿鳥!!!!リナから離れろ!!!!」
「ここは寮ですよユナさん!!他の生徒達の目もありますから!!」
小此木に羽交い絞めにされながらも、ズンズンと突き進む姿は猪としか言いようが無い。
「ほらっリナからも言って、同意の上で戦ったって」
「あっ…うん……お母さんあのね……」
竹刀をブンブンと振り回すお母さんに視線を向けて、
「ツバメが学校に入ってから私達、中々会えなかったでしょ。だから、会えなかった分だけ本気でやり合いたかったの……学校のシミュレーションで、中途半端にお互いの成長を感じて、後で中途半端な戦いをしないように、本当に何も知らない状態で、全力でやり合いたかったの」
「リナ……」
自分達二人が、どういうつもりであの模擬戦をしたのかを伝える。
「そうです教官、リナの事をイジメたんじゃないですよ」
「てめぇ……」
言いたい事を代わりに言ってくれたリナの頭を、良い子良い子と撫でるツバメに、ユナの目が吊り上がる。




