学園90
割れた卵の殻から、目を覗かせるかのように、赤い目が自分の事だけを見据えている。
生まれたその時から、こちらを見ている存在が恐ろしくて、気持ち悪くて堪らなくて……早く死んで欲しいと心から願う。
死んでもおかしくない状況……死んでいないとおかしい状況なのに、シミュレーションは終わらない。
「ごほっ…げほっ……」
赤い目が見える、割れたバイザーから生命の鮮血が飛び散る。
無くした腕からも、閉め忘れた蛇口のように血がたらたらと流れる。
間違い無く致命傷を負っているのに、
『バッギンッ!!!!』
残された拳を振り上げて、こちらのバイザーを叩き割る。
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(あいつ……)
もうシミュレーションが終わる条件を満たしているのに、模擬戦が続いている事に教官と上級生達がシステムをチェックしている。
(お前関与してるのか?)
(してないよ)
美優は目配せで、ツバメが協力したのかと聞くが、首を横に振って否定する。
(……終わらせないようにか)
何かしらの細工をして決着が付くようにしたのだろうが、新入生がいきなり、軍学校のシステムに侵入出来たというのは驚きだ。
「もう一度聞く、本当に細工をしてないのか」
「はい教官、あれはイレギュラーです」
教官は、証拠が無いながらも、ツバメがシミュレーションのサーバーに何かしらを仕掛けたと思っていたのだろうが、こうやって三度のトラブルに見舞われて、システムの方のトラブルを疑っている。
「システムはどうだ」
「こっちの方の異常は……メインサーバーの方で異常が、起きているのかもしれません」
「模擬戦の試合をアナウンスしてるか」
「送信出来ません」
「連絡を入れる」
システム課の方に連絡を入れて、二人の意識を強制的に元に戻す。
少し時間が掛かるがそれでも、このまま放置する訳には……
「決着が付いていない!!!!」
誰もが、この模擬戦は今すぐ終わらせるべきと思っている所で、大声を張り上げて止めたのは美優であった。
「何を言っているんだ」
「教官お言葉ですが、アイツは何が何でも勝つと言いました……こうも考えられませんか、アイツの強い意志が、致命傷である怪我を負ってもなお、戦い続けられる原因じゃないのかと」
「シミュレーションだから、それもあり得るかもしれないが……」
「アイツは必死になって勝とうとしています!!それを止めてしまうのは、死よりも辛いのでは無いのでしょうか!?」




