学園86
「それに、こういうのもあるぞ」
火内の喉を鷲掴みにしていた手を離すと、手の甲をつねって伸ばす。
「ゴム?」
上級生の皮膚は信じれない程に伸びる……それが、人の皮膚では無いのは見ただけで分かるが、なんでそんな事になっているのか疑問に思ったが、
「人工皮膚さ、特別仕様のな」
「特別仕様?」
「これがアタシの復讐する理由さ」
「復讐する理由?」
上級生にも何かしらの事情があるらしい。
「この目と腕、それに足だ。とある馬鹿野郎のせいで、私は沢山の物も者も失ったんだ」
『コンッ!!』
人工皮膚で包まれた鋼鉄の手で足を叩くと、足の方も鋼鉄で出来ているのか、鉄と鉄がぶつかり合う音がする。
「何だったらお前も私みたいになるか、意外と不便より便利な方が多いんだぜ?」
「それは……」
「冗談だよ……まっ、そういう事だから私に協力しな。私に出来る事があるなら、お前の方も協力してやるから……な」
そう言うと上級生は手を伸ばして来て……
「仲間として手を掴め……って言う事じゃなくて、パイロットカードを寄こせって事ですね」
「そういうこっちゃ」
火内は強引な勧誘に引っ掛かる自分に苦笑いしながらも、パイロットカードを差し出すと、上級生はそれを受け取って、自分の簡易端末に差し込み、
「よしっ…これで、お前はアタシの部下…っだ!!」
登録をし終えるとパイロットカードを返すついでに、火内の腕を掴んで立たせて、
「お前の隊長は片桐 美優だ。アタシの庇護にいる限り、お前を守ってやる」
「火内 刃です……よろしくお願いします」
美優は手を差し出し、それに応えるように火内も手を差し出して握手をする。
一蓮托生……自分と凜の二人で、ジンが消えてしまった謎を追おうとしていたが、
「そんじゃ行くか、アタシの妹は不戦勝になったが、お前は勝ちそうな気がするよ」
「……えぇ、期待に応えてみせます」
不思議と、この人は巻き込んでも良いかと思えていた。




