学園82
目立たないといけない……ジンを闇に葬り去った者達の耳に届くように……闇に葬り去った火内 刃が軍学校に通っていて、名を上げていると……
「俺は…俺は……俺は………」
(は~……随分とゲバイ歓迎だな……なっ雫?)
「ジン……」
心の中で生々しい声が響くと、少年は自分の胸を苦しそうに抑え、
(何で…何で僕達が、こんな目に合わなくちゃいけないんだ……誰が、僕達をこんなに不幸にしたんだ……)
突然、襲った苦しみに耐えきれずに膝を抱えると、心の中で悲痛な叫び声を上げる。
(分かってる……この状況を楽しめない理由を……欠落しているからだ……大切な者が……)
少年の心にはハッキリと見える。
自分の塗りたくった深みが一切無い、ただの色でしかない赤い髪ではなく、ジンの美しい赤い髪。
神々しく燃え、揺らぎ揺らめき普遍で、姿形を変えながら鮮やかな色を纏い続ける炎の色……そんな誰もが見とれ見惚れ、憧れる焔の髪を持つ少年……
自分の記憶、感覚、視覚、全てが憶えている。
憶えているが故に聞こえてしまう、見えてしまう。
もし彼が生きていたらどれだけ幸せだったか、もし二人でいたらどのような道を歩んでいたのか……全てが分かってしまう。
このケバい装飾を見て、彼ははしゃいで楽しんだろう……満面な笑みを浮かべて。
そして、そんな彼を見て自分も楽しんでいただろう…しかし、彼は……彼がいない少年の現実は、
「うっ…うぅ……ジン……ジン……」
もう、自分の記憶の中にしか存在しない彼を思い出す度に、しゃがみ込んで膝を抱え、悲しみの涙を流す。
すがる者を失い、ただ泣きじゃくる事しか出来ない子供のように孤独に苦しむ。
もう取り戻せない以上、新しく手に入れるか、過去にすがって生きるしか出来ず、
「うぅっ……くそっ…許せない……ジンを犠牲にした奴を……!!」
奪われた悲しみは、奪われた憎しみへと変わり、孤独が自分に合わさっていくと自分は消え、
「俺は負けない……復讐するまでは!!」
自分と彼が一体化して、復讐人になって過去にすがりつく。
そしてその時だけは、絵の具で真っ赤に塗りたくったような瞳は涙で濡れ、赤い瞳は焔の瞳へと変わる。




