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学園80

________



「これで全員終わったのか?」



シミュレーター室では、そこにいる全員のシミュレーションが終わり、教官が主催者である上級生に催しを終わらせて良いのか聞くと、上級生はリストを取り出し、



「下級生がまだ一人残ってます。名前は……火内 刃です」



リストと下級生の顔を確認すると、一人だけ抜け落ちていた。



「少し待ってください。放送員に連絡します」



主催者は一度顔を掻いてから端末を操作し、放送員と繋げて、



「…………こちらシミュレーター室。まだ、こっちに下級生が……」



いまだにシミュレータ室に来ていない下級生がいる事を放送員に伝えていると、



「ちょっと捜して来る」



美優がいきなり一言だけ発して、いまだに来ない下級生を独自に捜す宣言をすると、シミュレーター室から出て行こうと躊躇無く出口に向かい、まさにシミュレータ室から出て行こうとした瞬間、突然出入口が開き、



『『ゴンッ!?』』



「いてっ!?」



「あぅ!?」



目の前にいた何かに気付く前に頭に固い物がぶつかり、ぶつかった自分と同様に、ぶつかった何かも痛みで声を上げた。



________



話は少し戻る。



上級生逹の宴が行われている視聴覚室から抜け出した魔法使いは、自分の身を隠す為に纏っていた衣服を投げ捨てると本来の姿、自分が下級生である事を示す、緑の制服が姿を現わさせる。



魔法使いから下級生へと戻った少年は、散々、自分の同期が殺られていたのを見ていたにも関わらず、シミュレーター室へと恐れる事無く、何の躊躇いも無く向かう。



渡り廊下を歩き、階段を下り、廊下を進み、廊下を曲がり、廊下を歩き、進んで進み続ける。



戦いが怖くて逃げだしたのでは無い、この模擬戦に何が何でも勝ちたいから、情報収集をする為に時間通りに行かなかっただけ。



幾つかあるドアの中に一つだけ、遠目から分かる位に異質な雰囲気をかもしだすドアが、目に飛び込んで来る。



最初に、あのドアを見た時から嫌な予感がして距離を置いた。



(りん)……勝つよ俺は……)



異質な存在に勘付いた時、急いで自分の協力者である凜に連絡を取り、何か起きていないか探って貰い、ここでシミュレーションが行われているのを知った。



悪趣味にゲバしく装飾された、シミュレータ室の出入り口がそこにある。



少年は、さっきの視聴覚室で見た光景を思い出して息を整える。



上級生に、次々と(ほふ)られた同期達……その中でも、滅多刺しにされた少女の姿が、嫌でも自分の姿と重なる。

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