学園79
一から百まで見た訳では無いが、学校に入って来たばかりの下級生のメッタ刺しにされた姿を見せられては、ツバメの倫理観が狂っていると感じるのは致し方ない事。
「戦争の英雄は、平時の犯罪者とも言うしな」
仲間としては心強いが、狂気の沙汰を平然とやってのけるは、殺人鬼と何ら変わらない。
ツバメが地上でRLを仕留めた話を交えながら、悪口とは言わないが、陰口を喋るのは凡人だからなのかもしれない。
ひとしきりツバメの狂気の沙汰を話して、場が落ち着いて来た所で、一人の上級生が、
「後、模擬戦って何戦残っているんだ?」
この模擬戦の残り試合を聞いて来る。
「あぁ……あと五戦だな」
「後、五戦かぁ……体力検査で歴代一位を叩き出したって子って、今回のグループに居るんだろ?」
「それだけど……その子が、今の子みたいだぞ」
「最悪だ……それを見越して一勝に賭けたのに……」
「一勝?二勝じゃないのか?」
「…………」
そこで一人壁際にいた、魔法使いの帽子に、体をすっぽりと隠すローブを着た少年が、少しだけ顔を上げる。
「二勝?なんで二勝何だ?」
「そっか知らないのか。実はな、歴代一位で体力検査を抜けた子がぶっちぎり過ぎて目立たなかったが、歴代二位もいるんだよ、このグループに」
「歴代二位!?そんな奴がいたのか!!」
歴代二位、その言葉に視聴覚室にいた全員が目を丸くする。
「そんな子いたの?」
「調べてみるか……あっ、ほんとだ。確かに二位も更新されてるけど……」
歴代一位と歴代二位の差は、天と地の差がある訳では無いが、歴代一位と二位の差には、越えられない壁みたいな、溝みたいなものを感じ取れた。
「どうだろなぁ……一位と比べると、何か見劣りするなぁ」
「…………」
魔法使いの格好している少年は、上級生達の話が嫌なのか、帽子のつばを下げた。
「ちなみに、その子の名前分かるか?」
「ええと、その子の名前は……火内 刃っていう名前らしい」
「…………」
「火内 刃」その名を聞くと、少年は壁から背中を離して、騒がしい視聴覚室から出て行くのであった。




