学園75
ツバメの武器は、赤く濡れたナイフ。
それには充分に警戒をしていたが、それ以外は輪郭で捉えていた。
あの時の首絞めは別として、ツバメの打撃は、リナを一撃で仕留められる物では無い……だから、赤く濡れたナイフに集中したのに……
『ドスッ!!』
「ぐふっ!?」
目に入った物を拭おうと、手で目を擦った事で完全に視界を塞いでしまった隙を狙われて、脇腹を刺された。
ナイフを肋骨の隙間に刺し込む為に、ご丁寧に横向きにして、肺にまで刃先が届く。
「ぐっ!!」
『ぷっ!!』
異物が入った方の目を拭うのを止めて、もう片方の目でツバメの方を見ると、ツバメの口から赤い液体が飛ばされて、
「うぐぅ!?」
目に入る。
ツバメの摩訶不思議な行為は、この為だった……目潰しを作る為に、自分の頬にナイフを突き付けたのだ。
最初に血を入れられた目を開くが、視界がピンク色になってぼやけて、
『ドスッ!!』
「うぶっ!?」
自分の腹に迫るナイフに気付けなかった。
『ぶぶっ!!』
リナも、ツバメのマネをして口から血の毒霧を吐き出すがもう遅い。
ツバメは目を細めて、血の毒霧を防いで、
『ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!』
容赦無く、ナイフを突き刺していく。
「ぐぅ…ごぼぉ……」
リナは、胸を腹を突き刺されて、口から赤い気泡を溢しながら呻き声を上げると、背中から倒れて仰向けになる。
致命傷だ。
RLのミンクが、頭の頭蓋骨を壊されて脳ミソを潰されて絶命したように、RLHのリナだって、超えてはいけないラインを超えれば死ぬ。
どんなに強靭な肉体といえど、肺を腹をズタズタに突き刺されては、どうにもならない。
「これが戦いだよ」
息も絶え絶えになり、このまま放置していれば死ぬという状況でも、ツバメはリナの腹に乗り、
「血を吐き掛けるのが卑怯だと思う?でもね、生き物って生きる為には泥臭い事をする物なの。液体を掛けて、相手の目を潰すなんて普通にあり得る事なの」
大人に見守られての、綺麗な模擬戦では決して行われない、えげつない行為を当たり前だと教える。
『システムを元に戻しますか』
システムを立ち上げて、シミュレーター室にいる者達に、今の状況を見せ付ける。




