学園74
だが、ツバメの体を易々と吹き飛ばす勢いで、突き刺ささったナイフも頬を引き裂いて、リナの口は、口裂け女のように口角までぱっくりと開いている。
「ごほっ…後ろに跳んだつもりだったけど、肋骨にヒビが入ったかも」
「ほりゃよはった」
見た目だけでは、リナの方が出血している分派手だが、ツバメの痛手も相当な物で、互いのファーストアタックは、五分五分と言って良い。
「…………」
「…………」
二人は無言になると、お互いを睨み付けるが、
『ズズッ……』
今度はツバメが、血で赤く塗れるナイフを前に突き出しながら、すり足で近付く。
ツバメもステップを踏む事も出来るが、胸に痛みが走るのと、リナの野性的な感覚で、ステップの浮き上がった所をタックルされるのを防ぐ為に、ジリジリと詰めていく。
それに対して、今度はリナが足を止めて迎撃する態勢を整える。
攻守の交代。
超人的な肉体を持つリナに、ツバメがどう立ち向かうのか、
舌をチロチロとしながら獲物を追い詰める蛇と、下をチロチロとさせて獲物が来るのを待つ蛇。
リナは、さっきの手痛い反撃を肝に銘じて、反撃に全神経を集中させる。
間合いで言えば、ツバメはもう範囲に入っているが、それでも自分の肉体に頼る事無く、しっかりと構えて……
『グサッ』
「えっ……」
ツバメの一挙手一投足に警戒をしていたが、赤く濡れているナイフが、ツバメの頬に突き刺さった。
意味が分からない。
ジリジリと詰めて来たツバメは、ボクシングの試合のように、手と手を出せば殴り合えるほどの距離にまで詰めて来ていた……そんな矢先でだ。
赤く染まったナイフをゆっくりと、自分自身の方に向けるツバメ。
ゆっくりと…自分の頬に刃先をくっつけると、躊躇う事無く頬にナイフを刺し込んで、ゆっくりとナイフを引き抜いた。
余りにも不可解な行為……けれど、それでも警戒を解いたりはしない。
ツバメの武器は、その不可解なナイフ。
普通に殴り合うだけなら自分方が有利。
赤く濡れたナイフに全神経を集中させ……
『ぷっ!!』
「うっ!?」
目に何かが入った。




