学園73
ナイフを、これ見よがしらにチラつかせているが、それでもリナは近付いて来る。
(本当に面倒……)
普通の人間なら、ただの牽制のステップだが、リナにとっては一歩踏み出せば拳が届く範囲。
拳が届く距離でステップを踏んで揺さぶりを掛けて、距離を縮めて来ていて、パワードスーツを着ていないこの状況でタックルされた日には、一発で沈む。
少しでも嫌がる素振りを見せれば、リナは躊躇い無く突っ込んで来る。
それが分かっているから虚勢を張り、余裕を見せて付けて、リナに警戒をさせる。
ジリジリと詰めて来るリナ、それに対して不動のツバメ。
このままリナに任せて、距離を詰められても良かったのだが、
『トットンッ』
「!!!!」
後ろにバックステップして、リナから若干距離を取る。
すると案の定、リナの目が細まって軽くステップしていた足がしっかりと地面を踏み、
『バッ!!!!』
一気に視界に迫って来る……
『トッ!!』
のを予想して、後ろにバックステップをして、足が付いた瞬間にステップを踏んで前に出る。
「!!!!!!!?」
リナの目が見開く、自分が予想していた距離が変わったから。
リナの足が一度地面に付き、二歩目でツバメを追い込もうと、既に体が動こうとしている。
「?!……!!!!!!!!」
ほんの少しの迷い、間を変えられた事に戸惑いを見せたが、次の瞬間には腕を横に伸ばして、
「おらぁぁああぁぁぁああぁあぁ!!!!!!」
「ぐぅっ!!!?」
覚悟を決めてツバメに突っ込んで、ナイフを避けるためにしゃがみ込みながら腹にラリアットをぶちかますと、これがツバメの腹にヒットする。
ツバメの体が吹き飛んで宙に舞い、軽く十五メートルは飛んだのではないのかと思われた所で、
「ごほっ!!げほっけほっ!!!?」
地面に転がったが、すぐに立ち上がって咳き込みながらも、赤いナイフをリナに突き付ける。
「はひめて……くるひほうなほえをあへたね……」
リナが口と頬から大量の血を、表現通りに流れるままに垂れ流す。
リナとツバメは互いに交差した時、ツバメはリナの頸動脈を狙ってナイフを突き出したが、吹き飛ばされた勢いが余りにもの衝撃で手元が狂い、リナの頬にナイフを突き刺すのが精一杯だった。




