学園69
生まれ持って恵まれた才能。
努力では覆せない才能。
リナがヒートソードを吹き飛ばされた時、リナは抵抗するのではなく、勢いのまま一回転して地面の方に体の正面を持って来て、地面を思いっきり手で叩いて前転をしただけなのだが、それだけで五メートルは跳び、ツバメから距離を取ってから足を地面に付けると、蛙飛びで飛び上がって、数十メートルは離れている公園の中央に設置されている外灯まで跳んでみせた。
言葉にするのは簡単だが、そんな事が出来る人間はいないというのは、普通の感覚を持っている人なら分かる事であり、それが、何があっても覆らない産まれの差を痛感させる。
「そんな頬を膨らませないでリナ。リナが凄いというのは本当の事なんだよ」
『バシュッ!!バシュッ!!』
ツバメはまるでお手上げというかのように、パワードスーツを完全に排出してインナーウェアだけの無防備な姿を晒しながら、リナの方に歩む。
「なんのつもり!?」
インナーウェアの無防備な姿を晒すツバメ、身体的な差があるのは本人も分かっているはずなのに、パワードスーツを脱ぐ意味が理解出来無い。
身体的な差を、あの手この手の搦め手で覆して来たというのに、これでは何も出来ない。
「リナの方が強いのに」
「だって……」
それはその通りで……ここでリナが突っ込んでツバメを吹き飛ばせば、それだけで決着が付くという程に身体的に差があるのだが……
「でも、それで良いの」
「それで良い……?あぅ……」
無防備なツバメを殴り飛ばす気にはなれず、何かしらのアクションすらする事も出来ずに、伸ばされたツバメの手に引き寄せられて、
「寮生活になったら、私がリナを守ってあげる……それで、リナは私に襲われる事だけ心配してれば良いんだよ……それ以外は何も心配しなくて良いからね……」
柔らかい胸元に引き寄せられて、優しく包み込まれると、リナの戦意は完全に失い、いつもの姉妹のような仲の良い関係に戻ってしまう。
ツバメに弄ばれたりするのは事実だが、自分に優しくしてくれるのも事実で……ツバメの肩に頬を預けて甘える。
ツバメは自分よりも優れている、優れていると言われる自分よりも……誰かに守って貰うよりも自分で守った方が速いリナが唯一、この人なら護ってくれると信じられる人……
『トッ!!』
「へっ?ぐぅ!?」
心を許して自分を護れる人に甘えていたのに、その自分を護れる人がいきなり背中に回って、首を締め上げて来る。




