学園68
「…………」
ツバメは、体勢を崩したリナにヒートソードを突き刺そうと、柄を回して逆手に持ち直した。
この程度でリナが終わってしまうのか、それともこの程度では終わらないのか、それを確かめる為に、身を躱してヒートソードを突き刺すだけという、つまらない終わり方をしてしまうかもしれないのに、それでも、止めを刺そうとしたが、
「本当に信じられない……」
忽然とリナが消えていた。
ヒートソードを突き刺そうにも、突き刺そうとしていた者がいないのなら、どうしようもない。
「どれだけ努力しようが辿り着けない、生まれながらの差……嫉妬しちゃう」
振るう相手のいなくなったヒートソードを地面に捨てて、地面に向けていた視線を上げると、
「……そりゃありがとう……一応誉め言葉として受け取っておく……」
電灯の上で犬のようにお座りしながら、不機嫌そうにしているリナがいる。
(努力しても辿り着けない、生まれながらの差……か)
本当ならツバメを吹き飛ばして、地面に屈服している所に剣先を突き付けて言わせたい事だったのに、結果は、ツバメにも追い切れない程の逃げ足を見せた事で言われてしまった。
ツバメがが言っているのはお世辞でも無ければ、煽っている訳でも無く、本当に生まれの差を感じて口にしているのだろうが、気分の良い物では無い。
リナは電灯にお座りしながら、ムシャクシャする頭を犬のように掻いてから、
「よっ……っと!!」
何メートルとある電灯から躊躇無く飛び降りると、足を痛める事も痺れる事も無く、何事も無かったように地面に降り立つと、
「ふふっ、そうね、必死に逃げたもんね」
「生き恥は人間同士の概念だって、教えてくれた人がいた者ですから」
リナの心情を察したツバメが、しっかりと煽って来る。
リナは煽られた事で、頭の中でムシャクシャしていた物を頬に移して膨らませるが、
(私も、本当は頬を膨らませたいけどね)
ツバメは、心の中にある不満を頬に移して膨らませる事をしない。




