学園61
前菜として申し分の無い甘さだった。
ミンクの恐ろしさはその肥大化した腕であり、振るえば人が高く吹き飛び、握られれば簡単に引き千切られる力なのだが、一番恐ろしいのは集団で、群れを成している時。
群れで襲って来た時のミンクの行動は、獲物を囲むように肉壁が前に出て、本命の突撃隊が後方で身構える。
その様子は統率が取れた兵士のようで、ミンクが二体でもいたら、リナは何の気後れもせずに尻尾を巻いて逃げ出していただろうが、
「さてと」
仮定の話をここでしていても仕方ない、事実はミンクが一体で来て、リナが処理をしたのが事実。
リナは、地面に転がしたミンクを気に留める事無く、その場を後にして歩き出す。
周囲にあるのは草木が茂る崩壊した建物ばかり。
昔の時代、建物が乱立し、道が複雑化した状況をコンクリートジャングルと形容したが、ここはまさにジャングル。
他の同期である下級生達が、場所だけで四苦八苦するのも分かるが、リナは迷う事無く、何かに誘われるように進む。
(いつもと変わらない……だったら)
ツバメを見付けるような、目印となる物は一切周りには無いのだが、それでもリナには行くべき場所に心当たりがあるらしく、コンクリートジャングルを進み続けると、
「ツバメ来たよ」
コンクリートジャングルを抜けた先にはオアシスが、公園があった。
滑り台やシーソー、鉄棒にベンチ、人々の憩いの場がそこにある……が、ツバメの姿は見えない。
広い公園ではあるが、見渡す事は出来る広さ、少し目を凝らして見当たらないのなら居ないのだが、
「……悪ふざけもいい加減にしてよ」
目の前に急に現れたのは、また一体のミンクであった。
仮想空間の中だから、急にミンクを出現させる事は容易い事だが、リナが言いたい事はそういう事では無い。
「もう弾無いから」
そう言って、リナはハンドガンを地面に投げ捨ててしまう。
ミンク一体だけなら、戦い方だけで勝てるが、その戦い方にはハンドガンが必須、このままでは、ツバメと戦う前に、つまらない終わり方を……
「大丈夫だよ。この模擬戦はみんなに見られていないし、記録にも残らないから」
「えっ?」
つまらない幕引きをしてしまうのかと思ったが、ツバメの言葉に体が震える。




