学園57
肩を釣り上げて睨むリナに、余裕綽々の笑みを浮かべるツバメ。
(そうだよ……ツバメにはいつもイタズラされて来たんだ)
ツバメの実力は、誰よりも自分が知っている……ツバメにやられた事と言えば沢山あるが、抜粋すればこんな事があった。
その日は滅多に食べられないカニを買うことが出来て、嬉しそうに夜道を歩いていたのが不運だった。
偶然、出掛け先でリナを見付けたツバメは嬉しそうにしているリナを見付けると音も無く後ろから近付き、
「リナ、何買ったの?」
『ギュゥゥ……』
「首!!クビ!?くビ…?くび……く…………」
首に手を掛けると楽しそうにリナを首を締め上げ、そのまま気絶させられてしまう……ちなみにカニは、ツバメがお詫びに調理してくれた。
他にも、こんな事があった。
「初めてのお給金だから……」
「わぁ!?パジャマだぁ!!」
「うん、今日はこれを着て寝てね」
「約束するよツバメ!!」
そして夜になり、お風呂から上がったリナは、ツバメから貰ったパジャマを着ると鏡の前で、
「エヘヘッ……」
淡いピンクのパジャマに、桜の花びらが舞っているデザインに少し照れながらも嬉しそうにして、ベッドに入り、
「お休みツバメ……」
本当ならそのまま良い夢を見る筈だったのだが、寝ていると少し体がむず痒くなり、
(ん…寝ちゃえば……平気かな……)
そのまま深い眠りに付こうとしたが、時間が経つに連れて、痒さが増していき、
「痒い!?皮膚が痒い!!」
最後には寝ていられない程に痒さが激しくなってしまうと、
「お母さーーーん!!」
夜中に大声を叫ぶ羽目になり、病院に担ぎ込まれてしまった。
原因はパジャマに何かが染み込まされていて、温度で溶けだすように仕掛けられていたらしい。
ちなみに後日、ツバメは謝罪の意味があるのかは分からないが、カッパと羊の人形がリナの元に贈られる……これは余談だが、最初のパジャマを渡す時にはゴム手袋を着用していたが、人形を渡す時は素肌だった。
そして最後にもう一つ。
それは、休日に二人で繁華街に行った時だった。
「ソフトクリーム買ってくるね」
「うん」
リナは目に付いたソフトクリーム屋に行き、
「これ下さい」
「はい、ニ百五十円になります」
ポケットに手を入れて財布を取り出そうとした時だった。
「あれっ…財布が無い?」
本来ならそこにあるはずの財布が家出をしていた。
とりあえずツバメに代金をお願いして、財布を探そうと振り向いたが、
「ツバメ……?」
ツバメもその場から消えていた。
どうやらツバメに、知らないうちに財布をすられてしまったらしい。
リナは、ツバメと連絡を付けようと携帯を取り出そうとしたが、
「携帯も無い……」
その後リナは、家まで自分だけの足で、五時間も掛けて帰る羽目になる。
ちなみにその時ツバメは、リナに見付からないように見守りながら家まで付いていき、リナの無事を確認してから財布、携帯を返却された。




