学園54
「ミィオ…普通に返事出来るんだ」
あれ程、語尾の後ろに「ッス」を付けるものだから、教官対しても「ッス」を付けるのかと思ったがTPOを弁えているらしい。
「そうッスよ。ちゃんとした返事も出来るッス……じゃっ勝って来るッスね」
「うん、吉報待ってる」
「ブイッス」
ミィオは、自分が勝利をすると勝利の前予告でVサインをしてみせてから、シミュレーターカプセルへと足を向けたのだが、
「お前なら勝てるミィオ!!」
美優の激励が飛ぶと、ミィオの足が止まった。
美優の周りの目を気にしない大きな声の激励に、上級生達の視線がミィオに集まり「ザワザワ」と木々が擦れるようにざわめき、
「お前…あいつが言ってた子なのか?」
これからミィオと戦う上級生の顔が引きつり、シミュレーター室の全員の視線が。ミィオに集中されてしまう。
みんなの視線が、自分に突き刺さるのを感じて肩を落とし、
「アネキ……何で言っちゃうんスか……」
自分が、アネキと関係ある人間だというのを伏せておけば、単なる下級生として、相手も油断すると思って黙っていたのだが、それをバラされてしまう。
「そんなセコイマネしなくて良いんだよ!!私も去年勝った!!だからお前も勝つ!!油断して負けたとか言わせて、勝ちにケチをつけさせないためだ!!」
美優も、自分とミィオに関係あるのがバレていない方が、ミィオの勝率が上がる事は分かっていただろうが、それでもミィオが勝つ事を疑わず、華々しいデビューをさせたいと思ったのだ。
「……分かったッス、勝って来るッス」
ミィオは、アネキの気持ちを汲んで、期待を肩に乗せて、シミュレーターカプセルの中に入って行く。
(あの人って、そんなに凄い人なんだ……)
シミュレーター室にいる者達は、この一戦がメインになると肌で感じて、端末に視線を向けるが、リナは端末を見るフリをして、上目遣いで美優の方に視線を向ける。
さっき本人が言った「去年勝った」という言葉が気になった。
本格的な訓練を積んでいない新入生が、訓練を積んでいる上級生に勝つというのは絶望的な事であり、数年に一人、勝つ者がいるかどうかという話なのだが、
(ツバメだけじゃなかったんだ……)
ツバメも去年に言っていたのだ「上級生」に勝ったと。
あまり、軍学校での事は教えて貰えていなかったから知らなった……ツバメと同等の人間が、もう一人いるという事を。




