学園43
誰一人として上級生に勝てない状況に、下級生達の沈黙はさらに重くなる。
最初の同級生がやられたのを見て、これが楽しい催し物では無いのは分からされていたが、こうもまざまざと何度も同級生が始末される様子を見せられては、士気が上がる訳も無い。
冷酷無比な処刑場で下級生達は、ただただ押し黙って、刑の執行の順番を待ち続ける事しか出来無い。
(ここまで抗えないものスか……)
ミィオは、全く抵抗の出来無い同級生達に対して落胆してしまう。
この軍学校に入隊するというのは、普通の学校に入学するというのとでは訳が違う。
別に軍学校に来る者がエリート揃いと言う訳では無く、将来的には軍人として勤務にあたる事になるのだから、それなりに覚悟を決めているかと思っていたが、たかがシミュレーター如きで、こうも意気消沈されては堪ったものでは無い。
完全に冷え切ってしまった下級生達、その中で次の生贄になるのは、
「彼スか……」
小此木であった。
順番に生贄にされてしまう、どうしようも出来無い状況に、せめて残酷な殺られ方をされない事だけを、聖母の様に祈って上げようと心の中で十字を切ろうとしたが、
「……自信たっぷりそうスね」
散々、同級生が潰された所を見ているはずなのに、小此木は平然と微笑を浮かべているのを見て、聖母の様に心の中で十字を切るのを止めた。
小此木の妖しいまでに自信が溢れ出す微笑みを見ていると、何か彼に惹き付けられる物を感じて来てしまい、少しばかり気を引かれてしまうが、
「格好良い何て思わない方が良いよ……小此木は小此木だから……」
リナは「またか」と言わんばかりに風に呆れ返った表情をしていた。
「……でもッスよ、こんだけの状況で、あれだけの余裕を出せるのは絶対に何かあるって事じゃないスか」
「何かあるよ……禄でも無い何かがね……」
二人が話をしている中、妖しい微笑みを浮かべ続ける小此木。
「良し、次の者!!」
教官が声を上げて、次の犠牲者である小此木を指名するが、
「すみません教官、少し宜しいでしょうか?」
おもむろに、小此木が手を上げたかと思うと、教官を逆に呼びつける。




