学園40
「自分達も、あぁならないように気を付けないとッス……」
「うん、そうだよね……」
今の二人は、餌場に連れて来られた生餌。
二人は正直に言うと、同級生は注意深く動いていれば、もう少しまともな戦いが出来たと思いはしたが、実際、自分達の番になった時に、同じ事をしないとは限らないと思うと、滅多な事は口にしなかった。
それに、何も分からずに最初にやらされて人柱となった同級生は、この催し物が何なのかを明るみに出した。
上級生に敗北したとはいえ、一番最初に先陣を切るという立派な役目を務め、自分達に心構えをする準備をくれた同級生は、任務を果たしたと言っても過言では無い。
そして、これから始める下級生達は最初に始めた同級生とは違い、これから起きる事を知っているとなれば、醜態を見せる事は評価に響く事になる。
「気を引き締めないと」
「そうッス、自分達にはまだ時間があるッス」
リナとミィオは、自分達の順番が中盤である事に運の良さを感じたが、
「……さっきの彼は不幸スかね」
前から数えた方が早い場所で整列している、自分に薬らしき物を渡した彼が気になった。
ミィオは早い順番で、シミュレーターをやらされる小此木を気に掛けるが、
「う~ん……小此木の事なら多分平気だよ。変わってるから」
リナは素っ気無く言って、小此木の事を特に心配をしない。
「変わってるスか?」
「うん、変わってるんだよ」
「ふ~んッス……」
コロコロと感情を表に出すリナが、顔色一つ変えずに言う所から、本当にリナは、小此木の事を心配していないのだろう。
リナのその態度に、ミィオも特に気にしていないかのように適当に返事をしたが、
(リナにも何か秘密があるようスから、彼にも秘密があるんスかね?)
ミィオはリナに掴まれた腕を擦ると、彼にも興味の視線を向ける。
すると小此木はふと、何故か自分を見ているミィオに気付き、横顔でミィオに子供ぽくっ歯を見せながらニッコリと笑って反応を返した。
リムルは小此木の見せた反応に「おっ」と思うと、ミィオも同じように鼻で笑い返して見せたが、
「んっ?」
自分の肩が急につつかれたので、そっちの方を見てみるとリナが顔をしかめて、
「手を出すのは止めといた方が良いよ……後で紹介するけど小此木はツバメの者だから……」
「物?」
「……物質の方の「物」を想像しているならそれは違うよ。著者とかの方の「者」だよ」
リナから、小此木に手を出さない方が良いと忠告され、本来なら物と言う所を者と言う所から、ツバメという人がどれほど彼、小此木の事を大切にしているのか教えてくれる。




