学園38
上級生が身を隠して間もなくだった、下級生が慌てながら姿を現す。
どこにいるのか分からない上級生を探し、道路のど真ん中で立ち尽くす下級生、相手を探す為に、見晴らしの良い所に立っているのだろうが、それはどこからでも視認されてしまう位置でもある。
一枚のコンクリートが二人を隔てているが、立ち位置は雲泥の差。
ヒビが無数に入って今にも崩れそうなコンクリート壁一枚だけであるが、そのたった一枚しかない壁が、上級生を狩る者にする。
自分が、蜘蛛の巣の中に入り込んでいるとは露とも知らない下級生は、ハンドガンの銃口を闇雲に左右に向けて、碌に周りを調べもせずに再び走り出すのだが、
「それは……」
「終わったッス……」
それは、この模擬戦の終わりを告げる行為。
上級生は足音を聞きながら、下級生が遠ざかって行くのを見守り、物音一つ立てずに上級生がのっそりと上半身だけを出して、コンクリートの壁に腕を乗せて固定すると、
『バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!』
走り去る下級生の背中に、容赦無く弾丸を撃ち込む。
しっかりと構えた腕は、ハンドガンの反動に負けること無く、狙いを付けた所へと弾丸がぶれずに飛んで行き、
『ガギィッ!!ガギィッ!!バギッン!!ボッン!!ガギィッ!!バギッン!!ボッン!!』
立て続けに放たれた弾丸は、全て下級生にぶつかり、最初の三発の弾丸がパワードスーツの背中の装甲を破壊し、最後の一発が剥き出しになったバッテリーを破壊し、残りの三発は、腰の装甲を破壊する。
下級生は突然、視界が急に真っ暗になった事に慌てふためきたいであろうが、電力の無くなったパワードスーツはただの重たい鎧では無く、人間の力では動かせない拘束具になってしまう。
一応、腰にある緊急用のバッテリーが作動すれば少しの間は活動が出来て、敵から逃げてパワードスーツを脱ぐ事も叶うが、腰のバッテリーも破壊されては、それも叶わない。
『ガッッチャン!!!!』
上級生は、完全な鉄屑となった下級生のパワードスーツに悠々と近付いて足払いをすると、地面に転ばせて仰向けにして、
『バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!バンッ!!』
パワードスーツの一番薄い所、バイザーに弾丸をこれでもかと撃ち込んだ。




