学園36
同級生は、注意深く小動物の様に身を低くして走り、物陰に隠れると頭だけを出して周りを確認し、安全確認をしてから、また走って物陰に隠れて、ハンドガンを構えて移動を繰り返す。
それに対して上級生は、頻繁に動き廻る同級生とは反対に、動きもせずにその場に留まると、ハンドガンを構えたまま、壁にもたり掛かって動こうとしない。
これだけでは、どちらが有利不利というのは判断の着けようが無いように思えたが、
「やっぱり……」
「そうなるッスね」
リナとミィオが端末から見守る中、最初の頃は落ち着いて丁寧に行動をしていた同級生が、時間が経つ毎に動きが速くなり、それに比例して注意力が散漫になってきたのか、物陰にしっかりと体を隠さず、周りの確認も中途半端にしながら動くようになって来ていた。
ミィオは、モニターに映し出されている、刻々と減っていく制限時間を見て、
「引き分けなら大金星とは言えないスけど、確実にこっちの金星なんスけどね……」
「……よっぽどの理由が無いならそれで良いと思うんだけどな」
焦りながら走り廻って、ターゲットである上級生を探す同級生を冷静に見ている。
時間が経つに連れて、同級生が焦るのも無理は無い。
同級生は、上級生と会う所か、一度も影すらも見つけられず、パワードスーツのバイザーに映る制限時間が減っていくのを見せられ、時間が経つに連れて、敵である上級生を見付けられない事に、自分が無作為に時間を過ごしている感覚に襲われていく。
しかしそれは、間違った勘違い。
あくまでこれは戦闘であり、斥候で無ければ、偵察でも無い。
隠れている敵を見付けるのが彼の任務なら、今の状態は確かに無能だが、戦闘で相手に隠れられているだけなのだから問題にはならない。
それに、上級生を倒さないといけないのはそうだが、上級生も同じ条件なのだ。
上級生が隠れているのは、あくまでも戦略の一つとして隠れているだけであり、最後まで隠れ続けたとしても、それが評価に繋がる訳では無い。
それ所か、下級生相手に時間切れまで身を隠していたのなれば、ブーイングは必至。
だから上級生は、どんなに身を隠していようとも、最後には下級生を仕留める為に、何かしらのアクションをしなければならない。




