学園31
「ぶぅぅ……」
リナは、小此木に不満の鳴き声をぶつけ、勝手に抜いた矛を収めて、後ろの壁の方を振り返るのだが、その時に、目の端に映ったミィオが、力無く腕をダランとさせてるのを見て、リナは顔面蒼白になる。
「もしかしてアナタの腕を……」
リナはまた、何かをしでかしたのかと、ミィオの腕を確かめようと手を伸ばしたが、ミィオはリナに触られる前に、腕を「サッ」と引かれてしまう。
「あっ……」
ミィオに腕を引かれてしまうと、リナは小さい声を悲しく漏らし、行き場を無くした手を自分の胸元に引き寄せる。
リナは、ミィオの動きだけで気付いた……ミィオを傷付けた事を……
ミィオの顔色を伺って、どの位の事をしてしまったのか、許して貰えるのか知りたかったが、
(あの子は普通じゃないな)
昔、自分に言われた言葉と、しかめた表情を思い出すと、ミィオの顔を見る事が出来無い。
昔より感情のままに動くという事は無くなったが、それでも、感情の高ぶりに体が疼いてしまう。
リナは、目が熱くなると下を向くと、視界がボヤけて涙が溢れそうになる。
感情のままに動けば、後悔すると分かっているのに止められない自分……後悔の念に何度ものしかかられるのに、潰れる事の無い本能。
「…………っ!?」
リナの目から大粒の涙が溜まり、いよいよ零れるという所で、いきなり肩を組まれる。
溢れ出そうになっていた涙は流れてしまったが、悲しくて出たというより、衝撃で涙が溢れ出てしまい、その後は続かなかった。
リナは泣きそうだった目を閉じると、まだ苦しい胸を落ち着かせ、
(小此木か……いつも……本当に優しいな…………)
リナは、自分に置かれている腕と触れる体に安らぎを感じると、全てを委ねて安堵を求める。
(…柔らかいな)
自分を包み込む腕と触れる体は柔らかく、特に自分に触れている胸はムニュとして……
(……柔らかい?)
肩に触れている腕もそうだが、体にムニュっと当たる胸のふくよかな柔らかさは、男性の柔さかとは思えない。
(……何で、こんなに小此木の胸が柔らかいの?)
心地良い柔らかさに、リナは不思議そうに顔を上げると、自分を寄せて慰めてくれていたのは小此木ではなく、優しい表情をしているミィオであった。




