学園30
「えっ……?」
ミィオには、何が起きたのか分からない。
本来ならミィオが肩に手を置き、その後にリナの手がリィオの腕を掴むはずなのだが、その動作が一切見えず、まるで最初から掴まれていたよう。
(何スかこれ……?)
下を向いていたのだから目視はしていない……察した?反射神経が凄い?
分かる事と言えば、リナが自分よりも優れてた存在だという事。
リナから危険を感じ取って、手を振り払おうとしたが腕は動かず、
「うぐぅっ!!」
くぐもった声を漏らすほどの痛みと共に、腕が万力で締めあげられるように圧迫されて、リナの肩を掴んでいた手は力を無くして開いていき、最後にはリナの肩から手を離される。
ミィオは痛みに耐えるために歯を食い縛りながら、もう片方の腕で、リナの手を引き離そうするが無駄な抵抗。
圧迫された手には血が巡らずにどんどん白くなり、手が冷たい。
(ヤバイッス!!これはヤバすぎるッス!!)
リナを傷つけないように腕を振って振り払おうとしたが、自分の方が危険な状態だと判断して、空いている手を握り締めて拳を作ると、
(側面を決めるッス!!)
掴まれている腕を助けるには、リナを昏倒させないといけない。
ミィオは目付きを鋭くして息を整えると、腕の痛みを一時的に忘れ、
(そこッス!!)
耳の後ろ側に狙いを付けた所で、容赦無く拳を突き出そうとしたが、
「僕は誰でしょう?」
横から見知られない男子生徒が、リナの目を覆い隠しておちゃらけて来た。
男子生徒が目を覆い隠すために、リナの背中から手を廻しているため、側面を狙えなくなってしまった。
(邪魔をするなッス!!)
自分の腕を守るために、急に視界に入って来た男子生徒を先に昏倒させようと、男子生徒の頭を狙うのだが、
「小此木……?」
「えっ?」
リナの声が聞こえたのと同時に、圧迫されていた腕が解放されて、血液が巡って腕がジンジンとする。
ミィオは、腕がジンジンとして痺れる感覚がするが、それが解放された合図だと理解して、突き出そうとしていた拳を止め、解放された自分の腕を素早く引く。
脅威から逃れた……だが、鋭くしていた目付きを戻さずに、何があっても良いように、リナと男子生徒を睨み付けるが、
「……アタシまた何かした?」
「う~ん……したね、良くない事を」
「…………」
ミィオは二人の会話を聞いて、事は終わったと判断すると苦笑いで仕方無いなと息を吐き、鋭くしていた目付きを戻すと、握り締めていた拳を開いて掴まれていた腕を擦る。
これで、万事解決と行けば良かったのだが、
「お前等!!早く壁の方を向け!!」
まるで、事が済むまで待っていたかのように、教官がを張り上げて三人を注意する。
教官から指名される形で注意された三人は、驚いて身を縮めてからお互いに顔を合わせて、
「リナのせいだから……」
「違うよ……ツバメが悪いんだよ……」
「いいから並ぶッスよ二人共、これ以上注意はされたくないッスから」
リナは自分の罪を小此木に擦り付けようとし、小此木はそれに対して正当な文句をぶつぶつと言い、ミィオは二人に並ぶように促す。




