学園29
いつも目の前でイチャイチャとネチャネチャと、とろろ芋の様にネトネトとラブラブしているのは確かに腹ただしく思うが、今この瞬間に覚えているのは嫉妬ではない。
殺意…憎しみ…侮蔑……ツバメという存在そのものを消し去ってしまいたい……そんな感情が、心の中で渦巻く。
そんな憎悪に飲み込まれているリナの異変に気付かないミィオは、自分に視線を向ける上級生に対して睨み付けて返しているのだが、上級生に意を介されずに飄々とされてしまう。
(エサだと思われてるんスかね……)
だが、その状況は何もミィオだけにされているのは無く、上級生全体で、下級生を陳列された商品を選ぶように品定めをしている。
ミィオは、これ以上男を睨み付けても意味が無いと考えると視線を外して、リナに話し掛けようと視線を送ったが、リナの口元を見た瞬間に話し掛けるのを躊躇った。
リナは、怯えているように震えているのだが、息の音が聞こえる程に息を乱して口元は大きく広がって笑っている……上級生が浮かべている卑しい笑い方とは違い、純枠に何かを期待しているように……
リムルの方が、リナより頭一つ分背が高いため、うつ向いているリナの顔を見る事は出来ないが、口元からだけでリナの表情を予想出来た。
瞳孔は開き、多くの空気を吸うために鼻が開き、興奮と歓喜が渦巻いている事を。
(……自分が想像している表情と、実際の表情どっちが空恐ろしいんスかね?)
感情を剥き出しにしているリナに、恐怖心を抱くのでは無く逆に、興味心をくすぐられる。
ミィオは、探求心に素直になってリナの表情を覗き込むか、それとも想像の中で楽しむか悩むが、
「よし、全員後ろを向いて壁を見ろ」
教官が再び声を上げたかと思うとまた、指示が飛んだ。
(あらあらッスね……まぁ想像だけで終わらせるスか)
悩みを適当に吹き飛ばして、言われた通りに壁の方を向くと、そこにもパイロットカードを差し込む所があった。
「いいか、そこの中には貸し出しのモニターが……おい、そこのお前、後ろを向け」
教官が説明するのを止めて、一人の生徒を注意する。
「んっ、何スかね……?ってリナ?」
教官からの注意を聞いて、何気無くリナに話し掛けるのだが、教官に注意されたのはリナで、リナは教官の話を聞かないで、未だに上級生を睨み付けている。
(敵意満々スね。そんなに戦いたいんスか……本当にテンションの浮き沈みが激しいスね……)
戦う気満々のリナの様子を見て、少し呆れるように苦笑してから、
「リナ、回れ右……ッスよ」
ミィオは、さっきのリナの言葉を文字って右肩に手を置くと、何故かリナに腕を掴まれていた。
別に自分の置いた手が、リナに掴まれるのは不思議な事では無い、肩に手を置かれて条件反射で掴んだのだから……だが、表現を誤ってしまった。
リナの肩に手を置いた時には、既に腕を掴まれていたのだ。




