学園28
「入っていったね……」
「そうッスね……」
リナとミィオは、目の前で連れて行かれた同級生に付いて小声で話をする。
催し物とはいえ、教官がいる所で勝手に喋るのはあまり良くない気もしたが、遠目から見て上級生達も小声で喋っているので、それに習う。
「いつも思うんだけど、一番最初って可哀想だと思うんだ……」
「あぁ……それってわかるッス、まるで人柱ッスからね……」
先程の光景、良く言えば後輩の面倒を見る上級生だが、悪く言えば、地獄の底に引き摺り込むアリジゴクに捕まったアリのようにも見えた。
一番最初に接待を受けれるのか、一番最初の犠牲者になるのか……それを身をもって証明させられる一番には、哀悼の意を示して合掌すらしたくなるが、
「シミュレータを使って模擬戦かぁ……勝てるかな……」
「勝てるかどうかは、相手次第ッスかね……」
哀悼の意を示したくなる思いは所詮は思い、心の中で砂粒程の同情をしてから、二人は、自分の身に降り掛かる火の粉の振り払い方を考える。
相手次第と、相手次第なら勝てるみたいな言い方したものの、自分の正面にいる相手を見て、
「ふーん……って見ただけで、相手を判断出来るなら苦労はしないッスよね……」
言葉は軽そうに言ってはいるが、口元は苦笑をしている……本人が言っている通り、見ただけで相手のステータスが浮かび上がって、特徴や弱点が分かるなら苦労はしない。
ミィオは、自分の相手になる上級生に頭を悩ますのだが、
「そうか…だからか……」
リナは小さく呟き、
「だから、アタシに番号を教えてくれなかったんだ……」
リナは、自分に対して妖しく微笑み掛ける黒髪の少女に微笑み返すと、
「ツバメ……」
これから自分と戦う、相手の名前を呼んだ。
リナは今、ツバメをいつも一緒にいてくれる、愉快なお姉さんとして見ていない、自分を弄ぶように見ているツバメに、悪意と憎悪が溢れ出してくる。
「…………っ!!」
リナは突如、ツバメへ微笑み返すのを止めると目線を外してうつ向く。
自分の体が痺れ、肉が引き付き、内蔵が気持ち悪くなると涙が溢れそうになり、目を一度拭うと手を下に降ろして、震える程に強く手を握り締め、
(殺したい……今すぐに……今すぐに!!)
ツバメに対しての殺意が、止まらなくなる。




