学園21
付き添いの少女は既に教えられていたのだろう、下級生の列の右から数を数え始め、
「それじゃあアネキ、行ってきます」
「おう、行って来な」
リナと小此木と違って、普通に入って来た少女は周りから注目されずに、自分の番号の場所へと移動する。
その周りから注目されない様子を見てリナは、
(羨ましい……)
心の底からの後悔が波となって押し寄せて、うずしおが出来ると、後悔の海の底へ引きずり込まれてしまう。
リナが、後悔に飲まれていると露程も知らない少女は、後悔の海の底で気を落としているリナの隣に並んでから時計を見て、
「いやぁ~~危なかったスね、遊び過ぎで遅刻したらいやッスから……はれっ?」
上級生の列にいるアネキに声を掛けたが、アネキがいない。
アネキに拾って貰うために放たれた声を、上級生の誰かが拾う事は無く、そのまま虚空へと消えていくい。
少女は、上級生の列にアネキがいない事に気付いて、慌てて列から首だけを出して、キョロキョロと周りを探して見ると、ポニーテールの少女はまだ、出入り口の所で立っている。
「アネキ?」
そのキョロキョロしている少女の動きに、周りの者も釣られて、ドアの前にまだいるポニーテールの少女に全員が注目する。
「美優どうしたんだろ?」
「なんだろうな?」
どうやらツバメと違い、ポニーテールの少女……美優が、何か変な事をするのは珍しいらしく、上級生達も、美優が自分達の方に来ない事を不思議そうに見ていたが、
「ねぇ今度は……」
「色んな人が……」
さっきの手を繋いで入って来たリナ達を引き合いに、今度はドアの前で突っ立っている美優を話題にして、ざわざわと沸き立つように話を始め、美優はたちまち周りからの視線を一斉に浴びる事になった。
「上級生って、あんな感じの人が多いのかな?」
「さっき手を引いていた人も、上級生だったし」
最初の方は、相手が上級生という事もあり、小さく喋っていたが、火中の栗の美優が下級生達のざわめきを気にせずに無視するので、下級生達は遠慮無くざわめきを大きくしていく。
「…………」
自分事を話題にして盛り上がっている下級生達、それでも美優は気にしていなかったのだが、さすがに段々と大きくなる下級生達の声が目障りになったのか、一蹴するかのように、不機嫌で険しい顔をして下級生を睨み付けた。
すると今まで、興味半分で喋りまくっていた下級生が目線を外し、一瞬で喋るのを止めるとシミュレータ室は瞬間的に静かになった。
下級生達は自分が詰められないようにと、上を見たり下を見たりしている様を、上級生達は顔を見合わせて笑う。




