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在野の聖女は何処なりや? 我、聖女にならんと欲す  作者: 白麦茶
2章 あたしが立つ場所

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19話 会合

「ね〜起きてよ」


体が揺さぶられる感覚とともに意識が眠りの底から浮上してくる。涎が枕を少し濡らしていたのが気持ち悪い。

そんな寝坊助なグレッグは今、幼馴染でハンター仲間のラッツに起こされるところだった。


「あークソ。かったりぃ……」

「かったるくてもちゃんと起きてよ。明日から行く遠征の打ち合わせあるんだから」

「打ち合わせねぇ……もう何度も行ったカリュマだろ?打ち合わせする意味あっかよ」

「聞いた話だと追加メンバー居るみたいよ。楽しみよね」


じゃあ先に下で待ってるから、と言って部屋から出る幼馴染を欠伸を噛み殺しながら見送る。正直行きたくはないがそうするしかないのだろうと諦めたグレッグは朝の支度を始めるのであった。


「武器よし、服装よしっと。じゃあ降りるかね」


グレッグの所属するクラン[テネリフェ]は自前のアパートを事務所兼寮として扱っている。だから部屋を出てそのまま詰所に入ったグレッグは、一瞬目の前の光景に心を奪われた。

角刈りにビア樽腹のザンデン、魔術士然とした黒のローブを纏ったブイヤール、神経質そうで線の細いナンス、そして幼馴染のラッツはいい。このクランには他にも人員はいるが、明日からの遠征メンバーは自分を含めて五人のはずだ。なのにこの場には見た記憶のない人間が三人いる。

一人は赤毛でチビのジャリ。

もう一人は黒髪を伸ばした長身スレンダーな女。

そして最後の一人は……デカかった。思わず胸をチラ見していると横にいたラッツに肘でこづかれる。

その様子を横目でしっかり見ていたザンデンはため息を吐きながら席を立った。


「さてと、だ。明日から行く予定のカリュマ山への遠征だが、ここに来て急遽追加のメンバーが決まった。リア、説明を頼む」

「皆さん初めまして。銀等級ハンターのリアです。早速本題からですが、うちに新人が入ったので、あなた達のところで真っ当な経験を積ませてあげたい。なので申し訳ないですが多少の期間この子、アンジェを預かって欲しい。アンジェ挨拶を」


胸の大きな金髪の少女が、急に指名されて肩を跳ねさせた。どうやら堂々とした見た目ほど肝が据わっているわけではないらしい。


「ええと、アンジェです。一応魔導神官やってます。短い間ですがよろしくお願いします」


テンパりながら何とか挨拶をひねり出した様子だったがそれでよかったらしい。隣のリアが話を受け継いだ。


「アンジェはまだハンターになって二週間も経ってない石等級です。本人の適性を見るためにも前衛後衛それぞれに配置して経験を積ませてほしい」

「ふむ……すみません質問が」


練達した鉄等級ハンターであるブイヤールが手を挙げる。リアがどうぞ、と促すと陰気そうな声で尋ねてきた。


「うちの新人二人……グレッグとラッツは何度かカリュマに登ってますし、我々との連係も少しずつですが上手くいくようになってきている。そこに異物を混ぜられても困るのですが」

「それについては〔治癒の美珠〕の母珠を一つ、提供致します。子珠ならまだしも、母珠ならば余程の怪我でもない限り大丈夫でしょう」

「ですが欲目を抜いてみると、新人三人の面倒を見るために、熟練者三人の手が塞がります。予想外の事態へ回せる人員がいません」

「ええ。ですのでこの場にいるノンナを追加で加えてほしいのです。彼女は銅等級。基本的に彼女にはアンジェのフォローをさせるつもりです」

「……ん。よろしく」

「成る程分かりました。ですが万が一、そちらの手落ちで我々に損害が出た場合は……」

「その時は物で申し訳ないが後日〔治癒の美珠〕の子珠を五個補償しましょう」

「そうですか……ありがとうございます」


ザンデンがじろりと見渡しながら口を開く。


「他に質問は無いな?無いなら次に移ろう」


そう言うとザンデンは紙の資料を回し出した。

回した紙にブイヤールが早速何かしら書き込んでいる。


「明日の朝5時にここを出発する予定だ。自動車で現地には行く。持っていく最低品目は紙にあるとおりだ。もうあるとは思うが、各自がそろえてくれ」

「ちょいいっスか団長」

「なんだグレッグ」

「うちの車ってあのバンっスよね。七人も乗れるんスか?」


あ〜、と意表を突かれた声がそこかしこからする。ハンターに人気のバンは基本的に六人乗りだからさもありなん。

だがここでリアが再び口を開く。


「うちの二人については私が車で送迎しましょう」

「ふむ……そっちの車にもう一人乗せられるか?」

「バンの回収係ですね。大丈夫ですよ」


なるほどなるほど…そうザンデンは頷く。まだまだ詰めないといけない事項はあるがひとます大枠は決まった。あとは幹部とリアとで細部を仕上げていけばいい。


「グレッグ、ラッツ、アンジェ。お前らは外でそれぞれ出来ることを教え合って連係の訓練をしていてくれ。ナンスとノンナは監督と指導を頼む。その間こっちは細部を詰めよう」

ここまでお読みいただきありがとうございます。


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