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メカニカル☆ウィッチ  作者: 星乃祈
第1章「二人だけの約束」
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第9話「初めてのお友達」



(サターン……)


 輝とヴィーナスに敗北した美月は、まるで糸が切れた人形の様に動かなくなったサターンを、壊れ物を扱う様に大切に両手で抱えながら、学園内を歩いていた。

 辺りはもう既に暗くなっており、夜空には綺麗な月が浮かんでいた。


 美月は自分を送る為に一緒に歩いている輝へと問いかける。


「輝先輩……最後のは一体……?」


 輝たちの機体が見せた人機一体の動きは、明らかに機体の性能では説明がつかないものだった。かと言ってマジカルスキルにも、あんな物があるとは聞いたことがない。


「『シンクロゾーン』のことだね?」

「シンクロゾーン……?」

「ウィッチバトルから距離を置いていた美月さんが知らないなのも無理はないと思うよ。 まだ未解明な部分も多くて、これに関する研究もまだまだ進んでいなからね。 一時的にこれを使えても、任意でこれを使える人が殆どいない以上、一部では都市伝説みたいに扱われているくらいだからね」


 どうやら輝の説明からして、やっぱり機体の性能でもマジカルスキルでもない物の様だった。


「そもそも美月さんとサターン君のシンクロ率はいくつくらいあるのかい? 勿論、答えなくても大丈夫だけど……」

「いえ、問題ありませんわ。 今までの三戦、全部九十パーセントでしたわ」


 マジカルウォッチを介して人間とメカニカルウィッチをリンクさせる時、その繋がりの深さは『シンクロ率』と呼ばれる数値で表される。

 別人であるが故の限界値を九十九パーセントとし、ウィッチバトルをするならば、最低限五十パーセントあれば十分だとされていた。


 『メカニカルウィッチ世代』と呼ばれる、生まれた時からメカニカルウィッチと一緒に育って来た子供たちはこの数値が高い傾向にあり、八十パーセントを超える子たちが殆どだった。

 それに引っ張られる形で平均値が高くなっているものの、通常は七十パーセント前後が平均と言われていた。


 この数値が高ければ高い程、機体を動かすタイムラグがゼロに近くなり、機体の動きも精度を増していく。

 故にプロの選手たちの殆どが九十パーセント越えていた。


「流石だね。 話を戻すけど、シンクロゾーンはシンクロ率の限界を超え()()()()()()()()()()へと至らせる物なんだ」

「どうすればできるんのですの?」


 美月とサターンも数値だけ見ればプロ並みなのだが、その残り十パーセントに見えない壁を感じていた。

 特に輝たちのバトルでそれを痛感させられた。


「これが使える僕たちにも言葉で説明するのが難しいんだけど……。 そうだね、お互いを心から信頼しあった二人が、目の前に立ち塞がる大きな壁を一緒に残り超えようとした時、限界を越える為に自ずと開かれる物だと僕は考えているんだ。 ね、ヴィーナス」

「はい、マスター」


 目の前の輝とヴィーナスが見せる強い絆はとても眩しかった。

 輝は語らなかったが、ヴィーナスの生まれからして、二人が相棒になるまでは、本当にいろんな物語があったのだろう。

 

 それに比べて自分たちは、まだ本当の意味で相棒にすらなれていなかった。


 そうしているうちに、自分の立場を踏まえて、元々住んでいたマンションと同レベルのセキリュティを備えた専用の部屋がある寮へと到着した。


「……輝先輩、お見送りはここまでで大丈夫ですわ」

「分かった。 それとすまなかった。 あまり良いやり方ではなかったのは自覚しているよ」

「いえ、お気になさらず……」


 輝が改めて謝って来るが、美月には怒ることができなかった。

 勿論、サターンの精神をこんなになるまで追い詰めたと言う怒りはある。

 

 でも、自分が受けたことに関しては自業自得だと受け止めていた。

 だって()()()()()昔似た様なことをして、相手の相棒たちの絆をバラバラにしてしまったのだ。それが巡り巡って自分に帰って来ただけ……。当然の報いだと受け止める。


「それでは、おやすみなさい、輝先輩……」

「……うん、おやすみ、美月さん」


 美月は輝に頭を下げると、寮の中へと向かった。

 最後にチラリと見えた輝の顔は、どこか()()()()に見えた。



*****



 ――翌日。


 寮の新しい部屋に同行して来てリンや爺やたちに見送られて、美月はサターンと一緒に教室へと到着していた。

 余談だが、元々住んでいたマンションの部屋は、休日に帰って来られる様に、一部の人材が適材適所で交代しながら管理するらしい。そこら辺は全部任せているけど。


「おはよう、美月! 昨日はあれから生徒会長とどうなったの?」

「焔、おはようございますわ。 まあ……いろいろですわ……」


 教室に入って自分の席に座ると、焔がこちらへと駆け寄って来て挨拶してくれる。優しくて嬉しい。

 でも、昨日のバトルは非公式で口にする訳にはいかないので、話題を逸らしてみる。


「そう言えば、マーズは治りましたの?」

「うん、バッチリ、この通りだよ! ね、マーズ!」

「ええ、私、完全復活よ!」


 焔の肩の上にいたマーズが机の上に飛び降り、元通りとなった姿を見せて来た。


 メカニカルウィッチは変身魔法のマジカルチェンジを応用して、壊れた体を魔力を使って自動で修理する『自動修復プログラム』が搭載されていた。

 バトルによる損傷具合にもよるが、普通にバトルで負けだだけなら一時間もかからず、例え機体が真っ二つになるレベルのダメージを受けても、一晩経てば修復が完了する。

 勿論その後、動作の確認などの微調整は必要だが、いちいち壊れる心配をしなくても、気軽にウィッチバトルを行える様になっていた。


 仮に例えばの話だが、機体が木っ端微塵になっても、コアである魔石さえ残っていれば、かなり時間はかかるものの、問題なく修復できる。

 その魔石も、特殊な手順で解体しなければ、ほぼ破壊不可能な物質だった。


「美月、そう言えば知ってる? 今週末……」

「はーい、みなさん、おはようございます」


 焔が何かを言いかけると、担任の鈴鳴(すずなり)先生が教室に入って来た。

 その姿を見た生徒たちがそれぞれ自分の席に戻ろうとするが、先生が手を挙げてそれを静止した。


「あーまだホームルームまで時間はあるから、まだ自由にしてて良いよー。 でも、全員教室にいる様だから、先に言っておくねー。 今週末、スーパーウィッチバトルをするためのライセンスを仮取得するための実習授業があるからねー」

「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッーー!!」」」


 近くにいた焔を含めて教室にいた生徒たちが喜びの声を上げた。

 あまりの声の大きさに少しビクッとなる。

 

 でもまあ無理もないだろう。自分は諸事情で既に経験しているが、他の生徒にとっては人生で初めてのスーパーウィッチバトルなのだから。


「うんうん、みなさんがら楽しみな気持ちも分かるよー。 それで、実習授業は二対二のタッグ戦になるんだけど……みんなの記念すべき最初のスーパーウィッチバトルになるからねー。 最大限叶えるから、みなさんの端末に今から送るアンケートに希望の相手がいるなら、放課後までに記入して、提出してねー」

(ペア……うっ……!)


 過去のトラウマが刺激され、美月はダメージを受ける。

 昔からいつも周りの子たちは自分とペアを組むなんて恐れ多いと言って、遠回しに断りながら離れていった。


 現に今も、他の生徒たちは、自分がいる場所を中心にまるで不可侵領域がある様に距離を取り、話し合い始めた。

 試しに勇気を振り絞って微笑みかけてみるが、目の合って生徒は自分に深く礼をすると、そそくさと離れていく。流石にあんまりじゃない?

 

 ちなみに頼みの綱であった焔は、先生がペアのことを話だ途端に、仲の良さそうな二人の男女の生徒がいる場所に行ってしまい、今は一人きりの状態になっていた。


(うぅ、焔……。 やっぱりまだお友達になれてないからダメなんですか……?)

「美月!」

「……!」


 その声を聞いて反射的に顔を上げると、そこには焔と、さっき彼が向かった仲の良さそうな二人の男女の生徒がいた。


「まだペア決まってないんだよね?」

「ええ……」

(だって、誰も私と組んでくれないんです……)

「じゃあさ、俺たちと組まない?」

「え……??」


 まさかまさかの提案に思考が一瞬停止する。

 ペアを組んでくれるの?本当に?聞き間違えじゃないよね?


 そんな固まった美月を見た、焔の後ろにいる二人がやれやれといった表情で焔を静止した。


「もお〜、焔! 一人で話を進めないの! 黒土さんが困ってるでしょ!」

「そうだぞ、焔。 先ずは自己紹介が先だろ」

「ごめん、ごめん、楽しみ過ぎて……! 美月も、ごめんね!」

「い、いえ……」


 焔が両手を合わせて謝って来るが、別にこちらとしては願ってもいないことのだが……。


 すると二人が一歩前に出て来た。


「先ずはあたしからだね! 昨日のホームルームでも言ったけど……こうして直接話すのは初めましてだよね! 改めて、初めまして、黒土さん! あたしは緑木小春(みどりぎこはる)! 背はまあ低いけど……この通り、元気さなら誰にも負けないよ! それで、彼女があたしの相棒の……」

「は、初めまして……小春ちゃんの相棒のジュピターです」


 初めに元気な声で挨拶して来たのは、セミロングの黄緑に近い明るい緑の髪をワンサイドアップにした、緑の瞳を持つ少女だった。

 小春の言う通り、女性としては高い自分とは反対に、同年代と比較しても大分小柄で、身長はおそらく一五〇に届いていない様に見える。

 しかし、その小ささをまるで感じさせない程に元気一杯で、活力に満ち溢れていた。

 そんな彼女の相棒を名乗ったジュピターは、明るい緑の髪と、緑掛かった青の瞳を持つ女性で、その気の小ささを隠しきれていなかった。


「次は僕の番だな。 改めて、初めまして、黒土さん。 僕は青水冬馬(あおみずとうま)だ。 焔と小春の二人とは腐れ縁……まあ、幼馴染で、ライバルでもある。 でも、一番強いのは僕だけどね。 そして、彼が僕の相棒の……」

「フッ、俺はマーキュリー。 冬馬のお目付け役とでと思っておいてくれれば良い……」


 元気一杯の小春とは対照的に、クールで知的な雰囲気を持つのは、紺に近い暗い青い髪に、青い瞳をして、メガネをかけた少年だった。

 背は焔と小春よりも高く、なんなら自分よりも少し高いくらいだろうか?

 落ち着いている様に見えるが、その言葉の端から内に秘めた熱さ?が少し見える様な気がする。

 そんな彼の相棒?を名乗ったマーキュリーは、暗い青い髪と、赤みのある黄の瞳をした男性で、かなり大人びていた。


 二人から自己紹介されたので、こちらも名乗り返す。昨日の失敗をやり直すチャンスだ。


「……んんっ、改めて初めまして、ご存知かもしれませんが、わたくしの名は黒土美月ですわ。 同年代ですので、気軽に名前で呼んで頂けると嬉しいですわ」

「分かった! じゃあ、美月ちゃんって呼ぶね! あたしのことも小春で良いよ!」

「では僕も美月さんと呼ばせて貰う。 僕のことも好きに呼ぶと良い……」

「ありがとうこざいますわ、小春、冬馬」


 焔と輝先輩に続いて名前呼びをして貰える様になった。嬉しい。


「紹介が遅れましたわ。 彼がわたくしの相棒の……」

「……」


 サターンは黙ったまま口を開かない。

 昨日、輝たちとのバトルに負けて、部屋に戻った後、「申し訳ありません、お嬢様。 僕はもう二度と負けません」と口を開いたのを最後に、ずっと何かを考え込む様に口を閉じていた。


「さ、サターンはそのっ……! ちょっと人見知りと言うか……悪い子ではありませんの……!」


 サターンのことを誤解されな様に精一杯フォローする。

 人見知りは自分の方なので、サターンからすれば風評被害かもしれないが、それでも悪い印象を持たれて欲しくはなかった。


 そんな美月を見た二人は苦笑した。


「あはは……焔からも聞いてるよ。 ちょっとツンツンしてるけど、美月ちゃんのことを大事に思っているのが伝わって来るって」

「そうだな。 昨日のバトルの後、僕たちの耳にタコができるくらいに熱く語って来たからな。 煌めき凄いって……」


 焔がそんなことを……。今はとてもありがたかった。

 すると当の焔が改めて口を開いた。


「自己紹介も終わったことだし、改めて、どうかな? 実習授業は二対二のタッグ戦だし、俺と美月、冬馬と小春で組んでバトルしない?」

「でも……良いんですの? その……三人の中にお友達でないわたくしが入っても……」


 提案自体はとても嬉しかった。希望が通れば確かにここにいる四人でバトルすることができるだろう。

 でも、その輪に自分が入っても良いのかと躊躇ってしまう。


 すると焔は心底不思議そうな様子で答えた。

 

「……何言ってるの? 昨日バトルした時から……ううん、初めて会った時から俺と美月はもう友達だよ! 小春とは冬馬もそうでしょ?」

「当たり前じゃん! こうして自己紹介もしたんだから、美月ちゃんはもうあたしたちの友達だよ!」

「ま……そう言うことだ。 よろしく、美月さん」


 ずっとずっと夢見ていた、お友達ができるのを。

 でもどこか諦めていた。自分には一生無理なのだと。

 それが今、初めて叶ったのだ。初めてのお友達。断る理由なんてある訳がなかった。


 美月は笑みを浮かべ、返事をする。


「はい、改めてよろしくお願いしますわ! 焔! 小春! 冬馬!」



*****



 ――その日の放課後。


 ペアの希望を提出した美月は焔たち誘われて、学園内にある購買部に来ていた。

 昨日みたいなバトルの誘いじゃなくて、期待していたお友達からの遊び?の誘いに、内心少しだけワクワクして来る。


(――想像以上に広いですね……)


 購買部と言う名前ではあるが、購買部がある建物そのものが大きなショッピングモールの様な売店になっていた。

 メカニカルウィッチ学園は、全寮制であることに加え、遠方から入学する生徒もいる為、学園の外にわざわざ買い物に行かなくても、生活に必要な物が全て揃う様になっていた。

 

 その為、勿論日用品の品揃えも豊富だが、やはり専門の学校と言うこともあってメインはメカニカルウィッチ関連である。

 各企業の最新モデルや、相談兼スカウト目的で派遣された各社の人に、さらに機体をカスタマイズする為の作業場に、テストプレイの為に設置されたウィッチバトル用のスタジアムなど全てが揃っていた。


 その中で、美月の目にふとある物が目に入った。


(あっ……! ()()()()()綺麗なデザインの杖……!)


 それは入荷したばかりの最新モデルと宣伝された、メカニカルウィッチ用の武器の杖だった。

 説明を見るに、最新技術がどうたらだの、魔力の伝導率がどうたらだの、書いてあるがどうでも良い。


(……ムーンも、杖系の武器が得意でしたね……)


 美月は思い出す。最初の相棒であったムーンは杖系の武器を得意とし、マジカルスキルの扱いに長けていた。

 ウィッチバトル自体が、六歳以上の小学生からと言う規定があったので、美月自体はまだバトルできなかったが、兄の相棒であったサンと一緒に見せてくれたエキシビジョンマッチの様な物では、それはもう綺麗な魔法を見せてくれた。


 故に美月の本当の得意武器は()()()()()()()()だった。

 リンと短期間だけしたあの時のバトルでも、それを使った。


 盾は兎も角、剣や巨大な斧などの近距離武器を得意としていたのは、兄の方だった。

 アークサターンの得意とするバトルスタイルは、どちらかと言えば兄とサンの方に合っている。


(でも……今の私には必要ありませんね……。 無用の長物ですし……サターンのことを信頼していないかもと思われてはいけません……)


 チラリとサターンを見るが、相変わらずサターンは口を閉じたままだ。

 守られてばかりの自分が、今のサターンに余計な負担をかける訳にはいかない。

 今はサターンが立ち直るのを待って……。そう思っていると、買い物を終えた焔たちがやって来た。


「お待たせ、美月! 美月は何か買わなくても良いの?」

「ええ、わたくしは見ているだけで十分ですわ」

「そっか! じゃあ、案内するよ、俺たちのチームオールスターズの部室へ!」

「よろしくお願いしますわ」


 購買部に来たのはあくまでも焔たちの買い物に付き合う為であった。

 今日の本来の目的はこの後、焔たちが入学式初日に作ったチームのある部室へ行くことだった。

 そのまま冬馬と小春と合流した美月は、焔の案内の元部室棟へと歩いて行った。


 ――そんな美月を監視していたワールドユニオンの三人の存在に気づくことなく……。



*****



「――美月様は行った様だね? 気づかれた様子は?」

「大丈夫そうですねぇ」

「問題ないですやんす」


 購買部の裏側にある従業員用の休憩室で草刈は、部下の水島と炎炉と話していた。

 

 先日の事件で任務に失敗した三人は、()()()が事前に手配していたワールドユニオン軍に回収された後、こうして購買部の従業員として学園に潜入していた。

 

 その目的は美月とサターンの監視である。

 美月がこの学園に入学することとなり、元々の予定通り、専属の護衛から外れたものの、長年の経験から監視役にうってつけと言うことで選ばれたのだ。

 決してワールドユニオンをクビになった訳ではない。


「……とは言え、今はまだ手が出せないけどね……」


 学園に潜入することには成功したものの、厳しい持ち物チェックのせいで、作戦行動のための軍用機を持ち込むことなど無理だった。

 せいぜい、ワールドユニオン専用の回線と繋がる通信端末をいくつか持ち込むのが限界だった。

 でも、当初ワールドユニオンから派遣する予定だった職員を、学園長が徹底的に弾いているのを見るに、潜入できただけで御の字であろう。


「本当に見ているだけで良いんですかねぇ?」

「クビにならないか、不安でやんす」

「焦るんじゃないよ!」


 部下たちの不安は理解できる。自分たちは一度失敗しているのだ、もう次のミスは許されない。

 ()()()は命の恩人ではあるが、目的のためなら手段を選ばない苛烈さを持っているのも、自分は知っている。

 目的の障害になるなら、敵は当然として、無能な味方を切ることに躊躇はしない。

 クビはクビでも物理的に飛ぶ可能性もゼロじゃない。


「ワールドユニオンだって、前回の美月様の機体の戦闘データを元に、それに勝てる戦力を用意しているんだ! 今は、黙って待つんだよ!」

「そうですねぇ……了解です」

「分かったでやんす!」


 長年側で見て来た美月にも思い入れは確かにある。

 でも()()()の力になりたくて、特殊部隊に入った日から覚悟はとうに決めてある。

 それに、まるで悪魔の様な強さだった美月とサターン相手に遠慮する必要なんてない。

 草刈は改めて決意を固める。


「待っていな、美月様! それにサターン! 今度はアタシたちが勝たせてもらうよ!」


 ――戦いの時は、もう直ぐそこまで迫っていた。


 

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