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(ファーブラ・フィクタイズム2)【オープス・パルマーレ】プロローグ編  作者: 羽絶 与鎮果


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プロローグ編067/【息吹 獅狼(いぶき しろう)】サイト0/【関係迷宮】4

 【獅狼】は体力の続く限り、カップルの【女性】の方を1人1人抱えて、現場から、立ち去った。

 【男性】には、

「待て、人さらい・・・」

「人身売買か?」

「待ちやがれ」

「ふざけんな」

「ぶっ殺す」

 などと言われていたが、それには一切かまわず、とにかくひたすら、女性を抱えて、【関係迷宮】の現場からひたすら離れて行った。

 それを何度か繰り返す内に、【関係迷宮】の構成人数が33名を下回り、【関係迷宮】は維持できなくなり、霧散した。

 現場にまだ残っていて意識を回復した【紫乃】は、

「あ、あれ?

 私、どうして・・・?」

 と正気を取り戻した様だ。

 【美亜】は、

「良かった・・・

 【紫乃お姉ちゃん】・・・」

 と言って泣きながら抱擁した。

 かなり強引な方法だが、これで依頼は果たされた事になった。

 しばらくして、【美亜】は、

「ホントにありがと。

 私は手形・小切手とか持ってないから、代わりに貴方の【領収証】に好きな金額を書いて頂戴。

 私は何としてもその額を払うわ。

 前回の分を上乗せしてもらってもかまわない」

 と言った。

 【獅狼】は、

「そうか・・・

 では、【領収証】には、【5円】と書かせてもらおうか」

 と言った。

 【美亜】は、

「んなっ?

 な、何、言ってんの貴方?

 私は感謝してるって言ってるの。

 そんな金額で・・・」

 と言った。

「俺はして貰った事を返しただけだ。

 前回は【ご縁】がありますようにと言う君の気持ちの【5円】をいただいた。

 だから、今度は俺の方から【ご縁】がありますようにと【5円】を請求させていただく。

 これでおあいこだ。

 全く問題ない」

「問題、大ありよ・・・

 全く・・・

 ぐすっ・・・

 わかったわ。

 今回もその代金でやってもらう。

 でも覚悟しておいてよ。

 今度の依頼は、初めからかなりの報酬を渡す契約にさせてもらうから。

 ありがたく、私の感謝の気持ち、受け取ってよね」

「そう言うことなら受け取ろう。

 今後ともご贔屓に願う。

 またのご依頼、お待ちしている」

 と言って握手をした。

 その光景を見ていた【天羽】は、

「なるほど・・・

 これが貴方様のやり方という訳ですね。

 多くの存在を私は見てきましたが、貴方様の様な方は初めてです。

 素晴らしい・・・

 実に素晴らしいです。

 すぐに、大金を得られると言う形ではありませんが、着実に貴方様のファンを増やしている様ですね。

 私も貴方様のファンになってしまいそうです。

 貴方様ほど、出来た人間も大変珍しいですね。

 貴方様はまっすぐな人間だ。

 それを悪意が利用しようとするかも知れない。

 だけど、それ以上に貴方様を助けようとする手が増えて来ている。

 貴方様の代わりにその手が、目が、貴方様を包み込み、助けようとしているのが見えます。

 そんな生き方もあるのですね。

 これは損得抜きにしてしばらく貴方様から離れられそうもないです。

 私もすっかり虜になってしまった様ですね」

 と言った。

 【息吹 獅狼】・・・非常に面倒臭い生き方をする不器用な男。

 だが、その行動に感銘を受ける者。

 好きになっていく者。

 関わりたいと思う者は実に多いのだ。

 くそまじめに生きるが何かの加護によって守られるかの様に、心と心のつながりを広げていく。

 そんな生き方をしているのが【獅狼】だった。

 彼に幸あれ。

 幸福あれ。

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