プロローグ編057/【芦原 涼天(あしはら りょうてん)】サイト0/悪夢
【白光の存在】の【右中】は、
『貴方に奇跡を・・・』
と言って、まばゆい光となって消えた。
続けて、【テュウェンシー】は、
『では貴方に【思い出に触れる力】を授けました。
基本的には夢を見た時ですが、起きている時も思い出せば使う事が出来ます。
試しに使われてみると良いですね。
では、またの勝利を期待しております』
と言って透明になって消えた。
誰も居なくなった所で【涼天】は、
「感謝する・・・」
とつぶやいた。
そして、早速、【思い出に触れる力】を試してみる事にした。
見る【思い出】は、【香秋】が【黒闇の存在】になってしまった時のものだ。
あの時、【涼天】は助ける事が出来なかった。
その時助けられたらと何度も後悔した。
この【思い出】に触れる事が出来るなら、ひょっとしたら【香秋】を【黒闇の存在】の【左薬】にしなくて済むかも知れない。
そう言う期待をしていたのだ。
【涼天】は早速、その時の事を思い出す。
その時の光景とは、予想していたものと違っていた。
本来であれば、優しさから、友達の代わりに【香秋】が【黒闇の存在】の【左薬】へとなって行く光景が映るはずだった。
だが、実際に見えた光景は・・・
幸福を司る白い7枚の翼を持ち、両肩に1つずつ顔を持つ、3面の魔神?
悪の存在から善の存在になった【七翼天主】と呼ばれる者だ。
その側には、ラミアの様に蛇の様な下半身を持ち、その尾の先には9つに別れた【女体】の上半身がついていて、本体の女体の背中には6枚の【蝶】の羽根の様なものがついている魔神?
善の存在から悪の存在になった【六羽蛇長】と呼ばれる者だ。
善と悪・・・
2つの勢力の和平のため、その勢力の支配者が善悪の立場を交換したのだ。
【六羽蛇長】は、
『ふ・・・ふふ・・・ふふふ・・・
私とお前の子・・・
もうすぐ生まれるぞ。
よい子に育つと良いなぁ・・・』
と言った。
【六羽蛇長】は身籠もっていた。
【七翼天主】との間の子をだ。
2柱は愛し合っていた。
少なくともこの時までは。
だが、善と悪の勢力の争いが激化すると2柱の仲は引き裂かれた。
お互いの勢力の長として、軍を率いて戦わなければならなくなった。
そして、【七翼天主】はだまし討ちという形で、お腹の中の我が子達もろとも【六羽蛇長】を討った。
今際の際に【六羽蛇長】は、
『よくも・・・
よくも騙したな【七翼天主】・・・
来世では・・・
来世では私とお腹の子達がお前を討つ。
覚えておくが・・・良い・・・
必ず・・・
必ずや・・・』
と言って事切れた。
【七翼天主】は、
『悪く思うな・・・
仕方がなかったのだ・・・
すまぬ・・・』
と言い、亡骸となった【六羽蛇長】の本体と尾の首10首を斬った。
それは、【七翼天主】とリンクをしていた【涼天】にも生々しく伝わった。
そこで光景が消え、元に戻る。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
と思わず叫ぶ。
そして、
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
と息を荒くする。
【涼天】は、
「な、なんだったんだ?
今の光景は・・・」
とつぶやいた。
まるで【感触付きの悪夢】を見た様な光景だった。
思っていた光景と全く違う光景に戸惑う。
ドキドキ・・・
ドキドキドキ・・・
ドキドキドキドキ・・・
心臓が高鳴る。
脈拍が異常な数値を示す。
動悸がおさまらない。
脂汗が流れる。
【涼天】は、
「・・・」
と無反応だったが、これまでと明らかに違う。
かなり動揺していたのだった。
【黒闇の存在】との【ゲーム】の奥にまだ何かある・・・
そう、感じずには居られなかったのだった。
彼は一気に疲労感が増したのだった。
疲れた・・・今はぐっすり眠りたい・・・
とは思うが、眠るとまたあの悪夢を見るのかと思うと怖くなったのだった。




