プロローグ編030/【縁条 禁偽(えんじょう きんぎ)】サイト0/【謎】の【エライザ】3
【吟芯】は、
『人間になったついでに、【ハネムーン】に行ったらどうだい?』
と言った。
【禁偽】は、
『【ハネムーン】・・・』
とつぶやいた。
【吟芯】は、
『人間の夫婦は結婚したら【ハネムーン】って言う旅行に行くらしいよ。
結婚したばかりなら行ってないだろ?
行ってきたらどうだい?』
と言った。
【吟芯】は、【披露宴】などの情報は伝えなかった。
それだと【吟芯】自身も参加させられる可能性があったからだ。
とりあえず、【ハネムーン】ならどっかに行ってくれるだろうと思って提案したのだ。
【エライザ】は、
「【ハネムーン】・・・」
とつぶやいた。
【禁偽】は、
『興味あるのかね?』
と尋ねた。
【エライザ】は、
「あ、いえ・・・
女の子の1つの夢・・・かも知れないな・・・と・・・」
と申し訳なさそうに言った。
【禁偽】は少々、思案し、
『ふむ・・・
良いだろう。
その【ハネムーン】とやらに行こうじゃないか。
何処へ行きたい?
一瞬もあればすぐに行ける』
と言った。
そこへ、【吟芯】が、
『違う違う。
一緒に電車とか飛行機とかに乗ってわくわくしながら行くのが、【ハネムーン】の醍醐味だよ。
一瞬で終わったら感動も何もないよ。
ゆっくり行っておいでよ。
そう言うもんだって』
と突っ込んだ。
一瞬で終わってもらっては送り出す意味がない。
だから、そう言ったのだ。
善意からではない。
【禁偽】は、
『ふむ・・・
なるほど・・・
一見、無駄な時間に思える事も意味があるのかも知れないな。
良いだろう。
人として行こうじゃないか。
たまには不便なのも一興だ』
と言った。
【エライザ】は、
「ありがとうございます、旦那様」
とお礼を言った。
その後、【禁偽】と【エライザ】は新婚旅行に行くことになった。
【禁偽】は、
《【縁条 エライザ】・・・
私の妻になった女性・・・
見たところ、ただの人間だ・・・
そう。
ただの人間のはずだ。
私の【サーチ】ではそう出ている。
【異能】は一切、使えない。
使えないはずだ・・・
だが・・・
試しに、【ペーパー・クラフト】をやらせてみた。
すると、何の変哲もないはずの【ペーパー・クラフト】に【意味】が出来た。
あるものは動きだし、
あるものは紙ではなく、【本物】へと変貌した。
あるものはしゃべりだし、
あるものは溶けて消えた・・・
本人に、その自覚は無く、本人の思うようには【意味】を付ける事は出来ない。
だが、確実に変化が起きている。
不思議だ・・・
変化の意味に説明が付かない。
変化を与えている以上、彼女に何らかの【意味】を変える要素があるはずだ。
にも関わらず、彼女は人のまま、変化をもたらす・・・
謎だ・・・
全くわからない。
それが実に面白い。
今のままでは私は【真実】にたどりつかない。
何かをすれば良い。
まずは観察だ。
彼女を観察し、糸口を見つけ出す。
それしかあるまい。
実に楽しい。
彼女は面白い》
と思っていた。
【エライザ】は、
「どうされましたか、旦那様?」
と心配した。
【禁偽】は、
『いや・・・
これから、君を知ろうと思う。
実に楽しみだ。
と思っただけだ』
とだけ伝えた。




