第40話 冷却処置
ブレイズの大きな手が、捲り上げられたわたしのふくらはぎをマッサージするように圧迫する。
「っ……!ブレイズ……?」
「すげえな……。温泉のおかげか?いつにも増して、しっとりと吸い付くようだ」
彼のごつごつとした指が、火照った肌を確かめるように指圧する。
柔らかくなった肌に彼の指が沈み込む感触。その手のひらの熱が、わたしの体温にさらに油を注ぐようだ。
甘い痺れが喉の奥で引きっつた瞬間、背後からふわりともう一つの気配に包み込まれた。
アズールだ。
彼はわたしの背中にぴったりと密着するように座り込み、退路を完全に塞いだ。
「まだ、喉が渇いているでしょう?」
囁きと共に唇が重なる。彼が自らの口に含んでいた冷水と、小さな氷の欠片が流れ込んできた。
口内で転がる氷の鋭い冷たさと、それを溶かそうと絡みつく彼の舌の蕩けるような熱。相反する温度に頭がくらくらとし、わたしは声を漏らさないよう彼の衣類をきつく握りしめる。
息を継ぐために唇が離れた瞬間、今度は足と肩口に、同時に強烈な冷気が走った。
「冷たっ……!」
ブレイズが膝の裏側に、アズールがはだけた襟元から鎖骨のくぼみへと、真新しい氷を滑らせたのだ。
氷が体温で溶け出し、冷たい雫となって熱を持った素肌をツーッと伝い落ちていく。その鮮烈な温度差の刺激に、背筋がゾクンと弓なりに跳ねた。
肌を伝う冷たい水滴を、彼らの視線が追いかける。
「……こんなに熱くなっちまって。もう限界だろ?」
ブレイズの腕が、わたしの腰を強く抱き寄せた。
彼から立ち上る雄の匂いと、有無を言わせぬ強い力。
後ろからはアズールがわたしを抱きすくめ、耳元に甘い毒のような囁きを落とす。
「あなたの火照りを、ボクたちが鎮めて差し上げましょう」
二人の男の濃密な愛執と独占欲に挟み込まれたまま、わたしの意識は抗うことなく、甘く深い夜の底へと暗転していった。




