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第25話 挟撃

部屋へと続く薄暗い廊下を歩いていた時だった。

背後から伸びてきた太い腕が、わたしの腰を強引に引き寄せた。

驚いて声を上げる間もなく、壁に背中を押し付けられる。


「……んッ!?」


ブレイズだ。彼は逃げ場を塞ぐように両手を壁につくと、問答無用でわたしの唇を奪った。


「んむ……っ!?ブレ、イ……ッ!」


抗議の声は、彼の熱い唇と舌によって即座に封じられた。

いつもの情熱的なキスよりも、もっと焦燥感を含んだ、乱暴な口づけ。


ちゅ、と微かな水音が静かな廊下に響く。

彼のキスはいつだって嵐のように強引で、逃げ場を与えない。

体から立ち上る、少し汗ばんだ革と、荒々しい雄の匂いが鼻腔を満たす。


酸素を求めるように浅く速い呼吸を繰り返すうち、頭がクラクラとしてきた。


「ぷはッ……!ちょっと、ブレイズ!ここは廊下よ!」


ようやく唇が離れた隙に抗議すると、ブレイズは情欲に染まった瞳でわたしを見下ろした。


「知るか。……お前が悪いんだぞ、他の男の匂いをさせて帰ってきやがって」

「匂いなんて……んむッ……!」


再び唇を奪われる。

分厚い胸板を腕で押し返そうとした時、今度は左手が優しく絡め取られた。


「……申し訳ありません、ミリアさん。兄さんの野蛮な行動、深くお詫びします」


アズールだ。

彼は涼しい顔で謝罪を口にしながら、わたしの左手を恭しく持ち上げた。

けれど、その瞳はブレイズに負けないほど暗く濁っている。


「ですが……ボクも同意見です。貴女に残る、異物の気配が許せない」


アズールはわたしの手首の内側に、深く、祈るように唇を落とした。


「アズー、ル……っ、ん……」


手首の脈打つ場所に押し当てられた唇から、じわりと熱が伝わってくる。

清潔な石鹸と、冷たい夜気のような香りが、ブレイズの熱気と混ざり合う。


ひんやりとしたアズールの指先がわたしの髪を梳き、背中を這う戦慄に思わず肩が跳ねた。

右からは強引な略奪、左からは執拗な独占欲。


二人の余裕のなさと執着に呆れつつも、愛されているという悦びに身体の奥が熱くなるのを止められない。

結局、わたしは二人に挟まれたまま、ふらふらと部屋の扉をくぐり、シーツの海へと放り出された。


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