88話 お前は……
前回の話、少し訂正したところがあります。
今後の展開でどうしても直しておきたいところだったので少し日にちを変更しました、確認しておいてください。
本当にすみませんでした。
みなさんこんにちは藤宮渚です。
今回は神宮教の歴史について気になったので、図書室に来ました。
そして私はそこに並べてある本を手に取り開いて読んでいった。
昔、ある土地に神様がダンジョンを作った。
その時期にその土地を所有していた人が戦争により亡くなり空き地になっていた。
そこである老人がその土地を買い占め、ダンジョンを独占した。
そしてそいつは神様が作ったダンジョンを崇める教団を結成した。
それが神宮教だ。
その後、ダンジョンの危険性や内部にある魔鉱石の価値に気づいた王国はそれを手に入れようと金を積むが神宮教は首を縦に振らなかった。
だがある日教祖の男が一つ条件を提示した。
それは王国の所有している僕たちを召喚した魔法を使い人を呼ぶ。
そして召喚者をダンジョン攻略に起用せよ、という条件だ。
他にも魔鉱石を3割もらうだとか条件を提示した。
王国側はそれに屈するしかなく、それを呑んだ。
それから神宮教は手に入れた金で戦争時に増えた孤児を救うため孤児院を建設。
街の復興のために人を雇うギルドを作ったりもしたらしい。
王国も武力で奪うことも考えたらしいが、その頃にはギルドなしでは復興作業が回らない状況になっていてそれを敵に回すわけにはいかなかったらしい。
復興が終わりもうギルドが必要なくなったとしても、もうその時期には神宮教が市民の生活に根付いたせいで手を出せない状況になってしまった。
だから神宮教は今の立ち位置になれたらしい。
へぇなるほど、神宮教はこういう成り立ちだったのか〜。
私はそう思いながら本を閉じた。
そして私は並べてあるもう一冊の本を手に取った。
魔法協会の成り立ちについての本だった。
戦争が終わった後、神がもたらしたのは3つ。
ダンジョン、魔法、ステータス、そして召喚や魔法を作るための魔導書だった。
ダンジョンはさっき見た通り神宮教に渡った。
だが魔導書については王国側の手にあった。
魔法はとても危険な力、もし悪の手に堕ちれば危険になると王国は判断し魔法協会を作った。
魔法協会は魔法を管理する組織、魔法創造を使うに足るか見極めるための試験をしたり、創造により作られたこの魔法は危険じゃないかとか判断。
他にも魔力を持っている兆候が見れたらすぐさま魔法協会に連絡して名前や顔を登録するらしい。
私や晶もこの世界に来た時、魔法協会の人が来て登録させられた。
まぁこれが大方の歴史らしい。
私はそれらを読み終わり本を閉じ、本棚へ戻す。
さて……
私がそう思っていると図書室の扉が開く。
「渚!今すぐ慎二くんのところへ向かいますよ〜!」
そこからルナさんが慌てた様子で飛び出して私の手を引いてどこかへ走っていく。
私が状況を飲み込めずにいるとルナさんは説明を始めた。
慎二くんのところへいく魔法は完成したが、隙を見て柳くんが晶に使用させ自分を慎二くんのところへ転移させた。
慎二くんの身が危ないからアーシャさんたちへの説明は樋口くんに任せて私たちは魔法を使って慎二くんの元へ向かうらしい。
「柳くんが……急いで向かいましょう!」
そして私たちは研究室の扉を開ける。
床にはデカデカと魔法陣が敷かれており、私たちはその上に立つ。
その瞬間、魔法陣が輝き出し私たちはそれに包まれていく。
待っててね、慎二くん……
そして私たちはそこは正方形の部屋で真ん中に布団が敷かれていた。
襖が開いており廊下の光が漏れていた。
「家……?ここはダンジョン内のはずじゃ……」
ルナさんはそういうが私は気にせず廊下へ飛び出した。
廊下を走っているとリビングにつく、そこには二つの人影があった。
一人は柳くん。
柳くんはもう一人の男に抜身の刀を首に当てがわれており、跪いていた。
刀を抜いているその人の外見は年老いており白髪、髪型はポニーテールで腰に刀を差し、体調がとても悪いようで脂汗をかいていた。
私たちを見た途端、鋭い視線で私たちを睨みつける。
「俺の名前は"キリサメ"……
はぁはぁ、さぁ俺と戦ってくれんのは、どっちだ……?」
その疲れ果てた様子のキリサメと名乗る男は私たちに対してそう告げるのだった。
──────────────────
時は5日前、キリサメの誕生日2日前の夜へ遡る。
俺、伊藤慎二はその廊下を歩いていた。
今日に入ってキリサメが一日中俺を狙うようになったんだが、ヤバすぎる。
慎と違って易々と隙作っても打ってこないし逆にフェイント入れてくるし。
まぁ今日の最後の方はかなり良かったから別にいいか……
明日こそは全部凌ぎ切ってやる。
「慎二、やるぞ」
「随分と適当になってきたじゃねぇか。
将棋な、少しだけだぞ」
そして俺はキリサメの部屋へ入って──
「隙あり」
「グッ……」
その瞬間、頭に木刀が叩き込まれる。
その部屋の中にはキリサメのほかに慎もいた。
慎が扉の近くで待ち構えたのか……
「卑怯だろ!?キリサメがやるんじゃねぇのかよ!」
「いいだろんなもん、ちゃんと守りやが……」
キリサメはそう言いかかるが、俺のそれを見た瞬間止まった。
俺の頭に、少しだけだが気が溜まっていたのだ。
俺は完璧に守れなかったことが悔しかったが、反応したことがキリサメは嬉しいのか微笑みを浮かべた。
「まぁ及第点だ、回すの早くすんのが課題ってとこか」
「だってよ慎二、よかったな!」
「っせえよ!お前ら覚えてろよ!」
キリサメはそう言い座布団に座る。
俺は座布団に座り、その横に慎は座る。
そして慎がやるようで慎はコマを指していく。
これ、俺いらなくね……?
「あっそうだ慎二、一つ伝言を頼まれて欲しいんだがいいか?」
「どうしたんだよそんなにかしこまって……」
いつもと少し違った様子のキリサメに俺は何かやばいことでも頼まれるんじゃないかと緊張が走る。
そしてキリサメは口を開きそれを伝える。
「"俺は別に恨んでねぇ、感謝してる"って言っといてくれ」
「……誰にだよ?!」
肝心なことを言わないキリサメに俺はそう言うがキリサメは微笑みを浮かべながら……
「まぁその時が来たらわかると思うぜ多分。
伝え忘れたとか言ったらわかるな?」
「んな理不尽な!」
俺は別に恨んでねぇ?感謝してる?誰に言えばいいんだよんなもん、ノヴァさんとか……?
俺が思考を巡らせていると慎は口を開いた。
「慎二お前、元の世界でどんな生活送ってたんだ?」
「どんな、生活……」
その瞬間、俺の心臓が波打った。
そして俺はあのいじめられ、誰にも助けてもらえず、誰にも相談できなかった、あのとても辛かった時期を思い出した。
「何かまずいことでも聞いたか?」
「えっいや、実は……」
そして俺は元の世界でいじめられていたことを話していく。
キリサメと慎はちゃんと、しっかりと受け止めるように聞いてくれた。
話終わるとキリサメはただ短く「そうか」と呟く。
「悪い、嫌なこと思い出させたな」
「いやっ大丈夫……だよ」
俺はなんとかその言葉を絞り出す。
あまり話したくないことではあった、だがキリサメや慎に聞かれたのなら答えるようと思った。
そんなことを考えているとキリサメは口を開いた。
「お前は、そいつらに復讐したいと思うか?」
「師匠……!」
「悪いな辛いと思うが、そういうのはちゃんと言葉にしといたほうがいいと思ってな。
もしその瞬間が来たら生かすか殺すか迷わないように、ちゃんと決めておくべきだ」
キリサメは俺にそう、神妙な面持ちで聞いてくる。
生かすか殺すか……
そして俺は昔の出来事を思い出しながら、考えていく。
自分が柳に復讐したいか?
その瞬間、どこからかドス黒い何かが浮かび上がってくる。
そして……
「そりゃあ殺したいよ、"僕"をいじめたんだから」
"僕"はそう、ドス黒いそれを吐き出すようにそう言う。
「お前、慎二だよな……?」
"僕"が慎二か……?
そりゃあ決まって──
あれ?なんで一人称変わってるんだっけ?
なんで、なんで……
おかしい、なんで変わるんだ?
"俺"は変わったんだ、どうして……
「落ち着け慎二」
キリサメは刀の柄をコツンと俺の頭にぶつけた。
その瞬間、心のうちにあったそのドス黒いのは"俺"と入れ替わるようにどこかへ行った。
だがどこか疲れてしまい汗がダラダラと流れ出る。
「あれ?俺今なんて……」
「お前、大丈夫か?!
師匠のせいだぞ、変なこと言わせるから!」
「ふた……」
慎は俺の背中をさすりながらそう言うがキリサメは考え事をしているようで、小さな声で呟く。
それどころではなかったのでうまく聞き取ることができなかった。
「悪い、ちょっと体調悪い……」
「あぁちゃんと休め、師匠もいいか?」
「悪かった慎二……ゆっくり休め」
キリサメたちはそう言うと、俺はそれに従いその部屋を出ていった。
俺……なんて言ったんだっけ?
俺はその晴れない疑念に苦しみながら自室へ歩いていった。




