82話 努力の結晶
「守り任せたよ力、私はあのドクロぶっ叩く」
そして私はそいつに向かって走り出す。
それに反応しそのドクロは周りに浮いていた黒い炎を操り私に向かって飛ばす。
「力!」
私がそう叫ぶと同時に力は私と炎の間に割って入り、手に持っていた盾でそれらを受ける。
私は走りながら杖に魔力を込める。
「創成ウォーター」
私がそう告げると共に周りに水が浮かびそのドクロの周りに浮いている炎に向かって飛んでいく。
ぶつかり合い煙を上げながらそれは消えていったが、消すと同時にドクロはまた炎を再生成し私に飛ばす。
「指定移動」
私は構築していた魔法を発動、ドクロの頭上に瞬間移動する。
指定移動は自分の視覚範囲内に自由に移動できる魔法、ルナさんに教えてもらっておいてよかった。
「創成フレイム」
そして私は炎を生成、そいつの頭を割る勢いでそれをぶつける。
「くりえ、いと、うぉおたぁ……?」
そしてそのドクロは水を生成、私の炎にぶつけてそれを相殺した。
その勢いでぶつかり合ったそれは爆発、私は後方に飛んでいく。
その隙にドクロは炎を生成し私に向かって飛ばそうとした瞬間──
「後ろガラ空きだぞエリアボス」
力はすでにドクロの後ろに回り込んでおり携えていた剣を抜き頭に向かって薙いだ。
甲高い金属音が鳴り、そのドクロはよろめき頭蓋にヒビが入る。
「チッ部位硬化か!」
ドクロは部位硬化で頭蓋が完全に割れるのを防ぎ、よろめきながらも炎を力に向かって飛ばす。
空中に浮いていて力は完全に無防備な状態、炎が当たる瞬間──
「指定移動!」
私は力に向かって魔法を発動、目の前に移動させる。
攻防が終わり私たちは一息つく。
あの時、あいつは言葉を喋ってた……いやそんなことよりも。
「力、魔力持ってるモンスターなんて確認されてたっけ?」
「いや俺の知る限りはなかった、お前の魔法を見た瞬間コピーして対応してきた。
つまり……」
「していい、どう……」
その瞬間そいつは私たちの目の前から消え失せ、後ろから何か音がなる。
「創成ウィンド!」
私は振り向き後ろにいるそいつに風の斬撃を飛ばすが体をのけぞらせそれを避けられる。
そして指を動かして炎を操作し私に向かって飛ばす。
力が割って入るがあまりの勢いに私と一緒に後ろに飛んでいく。
「ゲホッ……だいじょぶ力?」
「何とかな、あいつ指定移動も使ってきたぞ」
私たちは立ち上がり構えを取る。
あいつの主体の攻撃手段はあの黒い炎、色的に多分当たったらやばいやつ。
厄介なのが見た魔法をコピーして使ってくること、でも複雑なのは真似るのに時間がかかる……?
やるなら一撃で屠るしかない、けど生半可な攻撃じゃダメだってのはさっきの攻撃で分かった。
「使うのは空間魔法。
あいつの頭蓋を抉る、時間稼いで」
「オーケー」
その瞬間、力はそのドクロの注意を引くべく突進する。
私はその間に杖に魔力を込め始める。
指定移動と空間魔法を並列で構築、空間魔法はその強力さ故に射程距離が短く、構築時間が長く、攻撃範囲が馬鹿みたいに小さい。
だからこそ指定移動で近づいて反応する間もなく殺す、それしかない。
みんなも戦ってるはず、私たちが負けてこいつを他のみんなに近づけるわけにはいかない……
もう仲間を失いたくない。
チャンスは一度、ミスったら魔法をコピーされる。
こいつは私よりも強いからより強力な技に昇華させるだろう、絶対に抜かるわけにはいかない。
「構築完了、指定移動」
その瞬間、私はそいつの頭上に現れる。
近づけ、もっと、間違えるわけには……いかない!
そして、私が空間魔法を発動させる瞬間──
「していいどう」
そいつは目の前から消え失せる。
ワンパターン、そいつは後ろにワープしていた。
ドクロはその鋭利な指を私の腹に向かわせる。
「部位強化×3」
スキルと違って魔法には制限がない。
つまり魔法の重ねがけが可能である。
だが身に余る強化倍率の代償は、等しく皆に訪れる──
「いったいなぁ!」
私は近づく指を強化した腕で弾き飛ばす。
その代償、腕は弾け肉は千切れ骨は露出した。
「力!床!」
「わかった!」
その瞬間、力は思い切り盾を私に投げつける。
私はそれを足場がわりに上昇、ドクロの頭上へ舞い戻る。
「空間魔法『外角除去』」
その瞬間、そいつの首は写真を千切ったように呆気なく落ちていった。
重力に従い下へと落ちていく私を力はキャッチした。
「無茶しすぎだ」
「もう無理疲れた、おぶれ」
私がそう言うと力はため息をつく。
「それよりも腕を──」
その瞬間、力の背後に黒い炎が無数に現れた。
それに驚き力は振り返り盾を構えるが、いくつかかする。
「──ッ!」
その瞬間、その炎は全身へと広がり力を焼く。
私は瞬時に水を生成し力にぶっかけ鎮火するが、全身に火傷を負った。
「なんで……!」
そこには首がなくなった骸骨が立っていた。
こいつ……首がなくなっても動く、なんでもありか!
もう一度黒い炎が生成される。
そして……
「空間魔法『空間湾曲』×6」
その瞬間、そいつの体に6つ穴が空く。
そしてそいつは力無く倒れた。
これは……いったい誰が?
私たちがその状況に驚いていると、暗闇からこちらへ歩いてくる音が聞こえてきた。
そこから顔を出したのは……
「渚……?」
「晶、大丈夫だった?」
そこから顔を出したのは藤宮渚だった。
私は急いで立ち上がり、思わず渚に抱きついた。
「よかった……生きてて。
大丈夫だった?モンスターに襲われなかった?」
「うん、誰にも襲われなかったよ」
「……そっか」
私はもう一度渚を強く抱きしめた。
だがその瞬間、腕に強い痛みが走り思わずうずくまる。
その様子に力は急いで私に駆け寄る。
「腕、早く治せ!無茶するな!」
「あっ怪我してる、治すね〜」
渚はそう言うと私の腕に触れそれを治していく。
そうしていると力が困惑した様子で渚に口を開いた。
「あれ……藤宮お前どうやったんだ?
空間魔法それに6回重ねがけ、そんな高等技術なぜ……」
「そんな高等技術でもないよ。
もっと難しいこととかいっぱいあるもん、でもこのことはあんまり言わないでほしいな。
変に期待とかされたくないからさ」
「そうか……わかった」
そして治し終わると私たちは立ち上がりみんなを探しにいくのだった。




