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76話 出場者


 俺は少し早起きして街に出ていた。

 ある目的を持って、ノヴァさんの所へ俺は向かっていた。

 行く途中でも何人かの住民に会い、挨拶を交わしながら鍛冶屋に向かっていた。

 そして鍛冶屋の鈴の音を鳴らし、扉を開ける。


「おぉ慎二か、何のようだ?」


 そこには黒く汚れたノヴァさんがいた。

 俺は扉を閉めて中に入りノヴァさんにここに来た事情を話す。


「えっと……キリサメってもうすぐ誕生日だろ?

 だから誕生日でプレゼント送るから、手伝って欲しくて」


「なるほどそう言うことか」


 ノヴァさんは耳を触りながら嬉しそうに笑った。

 俺はとりあえず作りたいものをノヴァさんに伝えた。


「なるほど、まぁいいじゃねぇか。

 作り方諸々は俺が教えてやる、まずは素材だ。

 ついて来い」


 ノヴァさんは俺を横切り、店を出て行く。

 俺もその言葉に従いノヴァさんの後ろをついて行き素材を取りに行った。

 街を歩いているとやはり通る人に声をかけられる。

 俺がその人たちに挨拶をしていると、ノヴァさんは嬉しそうな顔を見せた。


「随分と馴染んだじゃねぇか。

 最初は大変だったろ、人間って理由で」


「まぁ……はい。

 けど周りのみんなのおかげで上手く打ち解けられました」


 そんなことを話しながら街を歩いて行く。

 何も話さないのも気まずいと感じ、少し気になっていたことを聞いてみた。


「ノヴァさんとキリサメってどんな関係なんだ?

 人間の頃から知り合いだったのか?」


「あぁそうだな。

 ガキの頃同じ村に生まれて、歳が近かったから仲良かったな」


 あぁなるほど、だからあんなに打ち解けあって……

 俺がその理由に納得していると、ノヴァさんは昔のことを話して行く。


「俺な、元々キリサメと同じように剣を習ってたんだ。

 あいつと違って俺はあんま才能なかったからな、少し妬みましたが憧れだったよ」


「けど今は鍛冶師やってるんだな」


 俺がそう言うとノヴァさんは少し暗い顔をした。

 まずいことを聞いたかと思い話題を変えようとしたが、その前にノヴァさんは口を開いた。


「俺は、剣の才能が本当になかったんだ。

 身体強化も出来ねぇし剣気も出来ねぇ、努力もしたができなかったよ」


 俺はそれを聞き申し訳なさを覚える。

 嫌なことを思い出させたな……

 だがノヴァさんは嬉しそうな表情に変わった。


「けど、あいつ言ってくれたんだ。

 『だったら剣を振るんじゃなく、鍛える側に回りゃいい』ってな。

 今までの努力を否定することになる、だが俺は友達の言葉を信じた。

 そんで今に至るってわけだ。

 あの選択が合っていたとは今でもわからねぇ、けどこっちもこっちで楽しいってことに気付いたんでな。

 俺はキリサメに感謝してるんだ」


 ノヴァさんはそれはもう嬉しそうな表情をしながら話していた。

 キリサメは……本当にたくさんの人救ってんだな。

 なぜか俺も嬉しくなり、微笑んだ。


「着いたぞ、ここだ」


 そしてそこにつき、俺たちは素材を入手し作成に励んで行った。


***


「危ねぇ危ねぇ……」


 俺は急いで家に戻っていた。

 やっぱり陽の光とかねぇから時間がわかんねぇ、熱中しすぎて時間忘れてた。

 俺は家の扉を開けリビングに行く。

 リビングに行くと目の前に慎が現れた。


「あぁ慎二、ちょうど起きたんだな。

 もうご飯できてっから食うぞ」


 俺は急いで座布団に座りご飯を食べて行った。


「というか慎二あんた、なんか少し汚れてない?」


「いやっ……!そんなわけないだろ、何言ってんだよリリ〜」


 俺はリリから向けられる疑惑の目に思わず視線をあさっての方向に逸らす。

 流石に気づかれるか……次から服とか汚さないようにしないと。


「まぁ別にいいけど、気をつけなさいよ」


 その言葉に俺は安堵しご飯を食べすすめて行く。

 そうしているとキリサメが口を開いた。


「この後、慎と慎二は二週間後に向けて特訓だ。

 飯食い終わったら庭行くぞ」


 俺はその言葉に頷く。

 リリと雫さん、そして慎までもが少し不満そうな表情を浮かべた。


「どうして私は呼ばないの?!

 私だってキリサメの役に立ちたい!」


「そうだよキリサメ。

 私だって老いちゃいるが、まだ戦えるよ」


「まぁ落ち着けよお前ら。

 慎は実戦を経験したことがまだあまりない、だからいい経験になるんじゃないかって思ったんだ」


 その言葉を聞いた時、慎は箸を止めて茶碗を置く。


「けど、俺は雫さんが出るべきだと思う。

 キリサメが俺を思って出してくれんのはありがたい、けどこれはそんなんで片付けられていい問題じゃないだろ。

 俺よりも何倍も雫さんは強い、俺なんかじゃまだ歯が立たねぇ。

 この戦いはキリサメと、慎二の命がかかってんだ。

 だから俺からも頼む、俺を下げて雫さんを出してくれ!」


 慎はそう言いキリサメに頭を下げた。

 キリサメは少し迷ったが押され、結局頷いた。

 慎がキリサメはもちろん、俺のことも大事にしてくれてると感じ嬉しくなる。


「わかった、雫を出そう。

 雫はそれまでに勘を取り戻しとけ」


 キリサメは頭をかきながらため息をついた。

 だがキリサメは最後にこう言った。


「ただ、決戦は二週間後だ。

 それまでに一番強いやつ二人を出す。

 だからそれまでに慎、お前も死ぬ気で努力しろ、諦めんじゃねぇ!

 わかったか?!」


「ッ……!はい!」


 慎は少し涙を溜め嬉しそうに頭を下げる。


「私を忘れんじゃないわよ!

 絶対に私強くなって出てやるんだから、覚悟してなさいよ!」


「おう頑張れ頑張れその意気だ!」


 そう言うリリにキリサメはそう告げるのだった。


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