6話 嚆矢
今回結構長いですがお付き合いください。
時は少し前に遡る。
「ルナさん、僕は商人になります!」
魔法研究室に僕の声が響く。
ルナさんはハトが豆鉄砲を食らったような顔をしている。
「前、街を見に行ってた時商人ギルド紹介してくれたじゃないですか。
その時僕のスキルをうまく使えるんじゃないかなって思って。
それとクラスメイトのみんなを頑張れば上手くサポートできるんじゃないかって考えたんですけど。
それにずっと城の中にいるだけじゃ皆さんにも申し訳ないので」
「うーん」
ルナさんは少し悩んだ姿を見せる。
「ダメですかね?」
「嫌、そういうの私が決める問題じゃないからさ〜。
それならアーシャ様に相談した方がいいと思うから呼んでくるね〜」
ルナさんはそう言いアーシャさんを探しに行った。
えっ王女様ってそんなに暇なのか?
それにしても頭が痛い、昨日よりはよくはなったがまだ痛みが引かない。
___________________
「連れてきましたよ〜」
ルナさんがアーシャさんをここまで連れてきてくれた。
「あなたは伊藤慎二さんですね、こうして話すのは初めてですね。
話はルナから聞いております、商人になりたいんでしたよね?」
僕はその問いにコクリと頷く。
「まぁ商人になるのはいいと思います、ですが商人に必要なものを慎二さんはまだ持っていません」
「商人に必要なもの?お金とかですかね」
アーシャさんは首を横に振る。
「まぁお金も大事ですが、本当に商人に大切なことは"人脈"です。
慎二さんは商人になったとして商品を慎二さんに売ってくれるか一緒に作ってくれる人はいますか?」
「……居ませんね」
僕は肩を落としながら答える。
少し甘い考えだったかなと少し落ち込んだ。
僕が落ち込んでいるのを察してかアーシャさんは慰めの言葉をかけてくれた
「別に商人になるなとは言っていません。
慎二さんのみんなをサポートしたいという気持ちは分かりました。
もしアリシア帝国に行くおつもりならこちらで信頼できる人物を紹介してその人のもとで商人のノウハウを学んでみるのはいかがでしょう?」
アーシャさんのその提案に僕は同意した。
「わかりました、それでは荷造りをしておいてください。おそらく1時間ほどで終わると思うので1時間後正門にいらっしゃってください」
「わかりました」
アーシャさんはそう言い部屋を出て行った。
本当に申し訳ない、やっぱり考えが甘かったかな。
「本当に行くつもりですか?」
ルナさんが藍色の瞳をうるうると振るわせながらこちらを見る。
「はい、短い間でしたがお世話になりました」
僕は深々とルナさんに向かって頭を下げる。
「せっかく仲良くなれたのに、やはり別れというのは寂しいね、でもまた会えますよね?」
「はい!その時には立派な商人になって会いにきますから、何でも奢ってあげますよ」
僕は胸を張りながらそういった。
ルナさんがクスクスと笑ってくれた。
「言いましたね〜それじゃあ私美味しいお店知っているのでその時は一緒にいきましょうね」
「はい、絶対に行きましょう」
ルナさんが満面の笑みでこちらをみる。
「それじゃあ、荷造りしないといけないので失礼します」
「あっちょっと待って、これ餞別です」
ルナさんは引き出しの中から花柄のブローチを取り出し僕に手渡し、そしてギュッと握り締めた後その手を離した。
「あなたの旅の無事を祈っています。あとこれ高いので、絶対に無くさないでくださいよ」
ルナさんは笑みを浮かべ僕にそう告げる
「ありがとうございます、絶対に大事にしますからね」
僕はそう言い部屋を出た。
___________________
「ふぅ」
僕は自室へ戻ってきていた。今は誰もいないからもういいよな。
僕はそう思い地面に伏せた。
頭がいたい。
本当に痛い、昨日よりかは良くなったけどまだ痛い。なんでこんなに痛むのか。
実は僕がアリシア帝国に行きたかった理由は商人になりたかっただけではない、この頭の痛みについて調べるためである。
アリシア帝国は技術力でも数歩先を進んでいる。
その技術でこの頭の痛みを調べてもらいできたら治してもらうために俺はアリシア帝国へ行くのだ。
だがこうしてゆっくりしている時間はない荷造りを終わらせて早く正門へ向かわなければ。
___________________
僕が城を出ようと走っている時ちょうどアリさんが庭で草を整えているところを見つけた。
僕は思わず話しかけてしまった。
「どうしたのですか?そんなに慌てていては危ないですよ」
アリさんはいつものように優しく僕に話しかけてくれた。
「実は僕アリシア帝国に行くんですよ」
「そうですか、それは良いですね。今夜は冷えるらしいのでお気をつけて行ってください」
アリさんは何も動揺せず自然と答えた。
「えっ、何かないんですか?なんで行くのとか色々」
「すみませんが特にありませんね、長く生きていると別れというのは何度も経験しております。その度いろいろ心配するのは少々疲れますので」
「そうですか」
僕は肩を落としながら答え走り出そうとした。
「それでは少し質問なのですがよろしいでしょうか?」
「全然いいですよ、なんですか?」
「久しぶりに会った友が昔と変わり、自分に刃を払ってきたらあなたはどうしますか?」
その質問に僕は柳のことを思い浮かべた。
どういう意図でその質問をしたのかわからないがとりあえず僕は思ったことを告げた。
「その人がこの道を選んだなら仕方がないことじゃないですか、でももし叶うのなら、少しは話し合ってみたい、と思います」
アリさんは少し体を震わせながら「ありがとうございます、こんな意味のわからない質問でも答えてくださって」と僕に言った。
僕はアリさんに別れを告げ、正門に向かって走り出した。
___________________
「早く行かないと」
僕は急いで行くが人が多いためあまり早くは進めない。
人をかき分けながら進んでいたら誰かに見つめられているような気がした。
後ろを振り向いて誰が見ているのかを確認しようとしたが人が多いためよくわからない。
まぁいっか、急がないと。僕はそう思い正門に向かって走って行った。
___________________
ある男が慎二を見つめていた。
そして王都の中央に堂々と聳え立っているそれに目を向ける。
「さてと、行くか」
男は王城に向かい、歩き出した。
その男はフードを被り、隻腕だった。
一つだけ残された右拳には血が滴り落ちていた。
___________________
走っていると、正門の脇で兵士たちに指示を出しているアーシャさんを見つけた。
「すみません、間に合いましたかね」
僕はアーシャさんに近づき、滴り落ちる汗を拭いながらそういった。
「はい、逆に早すぎるくらいですよ」
アーシャさんは微笑みながら答えた。
「商人用の馬車とアリシア帝国へ行くまでの地図と旅費と食料そして水です。
シルの分も入っているので長距離を走らせた後は食べさせてあげてください。
それと旅費は少し多めに入れておきました」
アーシャさんはバッグを僕に手渡してきた。それを亜空間収納『収納』と念じてしまう。
「ありがとうございます。
あと、一つ聞きたいのですが随分と用意がいいようですがどうしてなのでしょうか?」
アーシャさんは「あぁ」とそう言い、思い出したように話す。
「慎二さんのクラスメイトの三城さんもアリシア帝国に向かっているんですよ。
そのおかげでこんな速くできたわけです」
「あぁ、そういう。
教えていただきありがとうございます」
三城洸、確かいつもモテたいモテたいとか言ってた変なやつだっけ。
ッ、、、
一つ嫌なことを思い出す。
僕がいじめられている時、見て見ぬ振りをしていた。
三城くんだけじゃない、クラスみんな薄々気づいていたのだろう、だが、、、
まぁしょうがない、しょうがないことなんだ、、、
心の底に巻き上がるドス黒い感情を必死に押し殺す。
「それとバッグの中には王族関係者という証拠の紋章が刻印されているものがあります。
それを見せれば大抵なんとかなるので使ってください」
そんなものまで用意してくれるとはすごく申し訳無くなってくるな、僕はそう思い深々と頭を下げてお礼した。
「頑張ってくださいね、応援していますよ」
「ありがとうございます」
僕はそう言い馬に近づき飛び乗った。
「すごく乗馬がお上手なのですね、元の世界で経験がおありなんですか?」
「いえ、初めてですけど」
馬に乗るのってそんなに難しいことなのかと少し衝撃を受けた。だがなぜか体が勝手に動いたというかなんというか。
「ではいってらっしゃいませ、ご武運を」
アーシャさんと他の兵士さんたちが僕に深々と頭を下げた。
僕も頭を下げ、馬を走らせる。
初めてなるはずなのに、なんとなくどうすればいいのかがわかる、不思議な感覚だ。
おそらくなかなかいい馬をよこしてくれたのだな、と思い亜空間収納の中から地図を取り出し横目に見ながらアリシア王国へ向かった。
___________________
「まぁここら辺で少し休むか」
僕は馬を宥め動きを止め、馬から降りる。
手綱を木にくくりつけ馬がどこかへ行かないようにする。
あたり一面木で覆われており時間ももう遅いし街灯も置かれていないので中々暗い。
そこら辺にある倒れている木に座り亜空間収納を開き馬と僕の分の水と食料を取り出し食べる。
「うまいか?というかお前今思い出したけど名前シルっていうんだな」
アーシャさんが馬のことをシルと言っていたことを思い出し、試し撫でながら呼んでみたらシルは嬉しそうに嘶いた。かわいいなこいつ。
食べている途中、アーシャさんにもらった品を少し見てみようとインベントリを見てみると使い古された短剣が入っていた。
盗賊とかの撃退用かな?
まぁ今日はシルのおかげで今日は中々進むことができた。おそらく明日ぐらいでアリシア帝国には着くだろう。
それにしても頭が痛い、そろそろ寝るか。僕はそう思い横たわろうとした瞬間木陰から火球が飛んできた。
僕はすんでのところでそれを避けそちらの方を睨む。シルもその敵意を察知してかそちらを睨む。
「誰だ!」
そう叫ぶとそちらの方から足音がした。それはどんどんと近づいてくる。
僕は緊張で心臓が高鳴り汗がほおを伝う。
そうだよな、やっぱりお前だよな。
木陰から出てきたのは、不気味な笑みを浮かべた柳蓮だった。
「久しぶり、ってほどでもねぇか。よぉ慎二」
「そうだね柳くん、でもそうそう火球を打ってくるなんてどうかしてるね」
僕はそう言い柳を睨む。
「言うようになったじゃねぇかよ、殴られなくなったからって調子乗ってんじゃねぇぞ。お前」
「いや本当にどうかしてるよわざわざこんなところまで追いかけてきて何がしたいの?」
というか柳の様子がなんだかおかしい、異常なまでの汗、目も焦点があっていない。どうしたんだ。
「いやなぁ、てめぇにかけられた呪いを解いてもらおうかと思ってな」
「呪いとかってなんの話?」
意味のわからない返答に僕は少し困惑する。柳が話している隙にシルだけでも逃がすため亜空間収納の中に収納されているナイフを取り出し手綱を引き裂く。
僕は小声で「もしあいつが僕になにかしようとしてきた瞬間走ってローズ王国に戻れわかったか?」そう呟くとシルは首を縦に振る。
「はぁそれはこっちのセリフだよ、てめぇがこの呪いをかけたんだろうが。
てめぇのせいでこっちはずっと頭が痛くて夜も全く寝れてねぇんだよ。
それに変な記憶まで出てくる始末だ、さっさとこの呪い解けよ!」
頭痛、記憶?なんの話だと思ったがこの症状覚えがある。
というか今僕がなっているのと同じ現象だ。なぜだなぜ僕と柳は同じ病気を患っている、そしてなぜ柳はそれを僕のせいに。
「おいダンマリかよ、早く解かねぇとマジでぶっ殺すぞ」
柳はものすごい目つきで僕を睨んでくる。この目つき、久しぶりだな。いじめられていた時のことを久しぶりに思い出し体がすくみ、恐怖に襲われる。
「いや僕もよくわからないんだよ、というかその呪いってやつ多分僕もなってるし」
「嘘つくんじゃねぇよ!
お前がやったんだろこっちは迷惑してるんだよ。
渚に何回も何回も治してもらっても痛みが引くどころかどんどん強くなる。
この世界には魔法とか変なもん存在するんだからあの白髪になんか呪いみてぇなもん教えてもらって俺にかけんだろ!」
「そんなことしてないよ!」
多分辛すぎて思考放棄してるんだな。全部の責任僕に押し付けやがって。
僕も頭の痛みが増してきた。
「そうかよてめぇがその気ならもういいわ」
柳は僕のことをしっかりと見つめる。
「伊藤慎二、お前はここで死ーーー」
その異質な気配を察知し、シルは嘶きながらローズ王国に向かって走り出すと同時に僕は逆方向に走り出す。
柳は少し迷ったそぶりを見せた後僕を追いかけてきた。
「くそが!早く、、、早く僕にかけた呪いを解けよ!」
柳は僕に向かってそう叫びながら火球を連射する。
はぁ焦りすぎて一人称変わってんじゃねぇかよ、クソこんな時に頭が、俺は頭を抱えながら走る。
あぁ、くそ。めんどくせぇなぁ!
「全部俺のせいにしてんじゃねぇよ!」
俺は走りながら柳に言い放った。
俺?今僕、俺って言ったか?なんで一人称が変わって、、、
さっきの言葉にムカついたのか柳の走りは早くなった。
このままじゃ追いつかれると思った俺は落ちてあるつぶてを柳に向かって投げ視線を誘導し、暗闇に紛れる。
「どこ行ったぁ!」
作戦は上手くいったどうせすぐにバレる、僕はそう思い亜空間収納の中から地図を取り出し周りに集落的なものがないかよく探すが何もない。
クソ!どうする僕がそう思っている時僕はそれを見つけた。
ここに行くか?でも行って何になるんだ、僕が迷ってきた時周りが明るくなるのがわかった。
あいつ森に火ぃつけやがった、火の周りが思いの外早い!
迷っている暇はないと直感し地図を片目にそこへ向かって走り出す。
「そこかぁ!」
柳は俺に向かって何発か火球を撃ってきたが掠るだけで直撃はしなかった。
まさかこんなところに来るとはな、僕はそろそろそれが見えてきたのがわかった。
「てめぇ、そこに逃げるつもりかぁ!」
僕は飛んでくる火球を避け、門に近づき手をかけた。
そう僕はダンジョンに逃げ込む、ダンジョン内は入り組んでいて熟練者を一人くらい連れて行かないと迷ってしまうと本で読んだ。
渾身の力を込め門を開けダンジョン内に逃げ込み門を閉じた。
「待て!」
柳の声は門が閉じると同時に聞こえなくなった。
足が震えている、恐怖と疲労で今にでも倒れそうだ。
だが安心してはいられない、早く隠れなければ。僕は全力で走りだした。
走っていると良い隠れ場所を見つけそこに身を潜めた。その瞬間門が開く音がはっきりと聞こえた。
「出てこいよ!慎二逃げるなんてみっともねぇ真似してんじゃねぇよ!」
ダンジョン内に柳の声が響く。僕は柳にバレないよう全力で息を潜める。
「そうかお前は出てくるつもりはないんだな。なら仕方ないよな、じゃあな慎二」
柳はそう言い残して門を閉じていった。
「はぁ」
助かったのか、安堵のため息をついたその瞬間咄嗟に耳を塞ぐほどの轟音が鳴り響いた。
なんだこの音ダンジョンの外から聞こえたぞ。
あいつまさか!
僕は嫌な予感がして、急いで門の前へ行き思い切り力を入れてあげようとしたがピクリとも動かない。
ダンジョンは山の斜面に張り付くような形になっている。
その上のにある岩ぶっ壊して門塞ぎやがった!冷や汗が全身から吹き出す。
いやでも、あいつ一人で岩を壊すほどの力出せるか?いやそんなことどうでもいい。
こんなでけー音したんだ、もしもこの階層にモンスターがいるのなら音に反応してくるかもしれないと思い急いでそこから離れた。
___________________
「はぁはぁ、いったんここまでくればいいか」
僕は門から結構離れた位置まで来ていた。
ダンジョン内はまるでデカい洞窟の中にいるような感じだった。
とりあえず今はモンスターに会わないようにしよう。
というか来ている時全然モンスターに会わなかったなこんなにいないものなのか?と思い辺りを見渡すと変なものがあった。
なんだ?あれ、光が、、
僕はそこに近づきその光の先を見た。
そこには白いマントを着た人たちが何か荷物を積んでいるのを見た。
僕は咄嗟に隠れ、その様子を観察する。
さっきの轟音があったって言うのに呑気に荷造り?
そいつらを見ていくと一人だけ異質な男がいた。
そいつは仮面を付け、杖を携えた男。
何でここにいるかとかそんなことよりもこいつは、こいつは触れてはいけない"ナニカ"だ。
幽霊のような薄気味悪い気配が僕の全身を包み、今まで感じたことのないほどの不快感が体を襲う。
それに驚き倒れ込む。そのせいで一瞬気配が漏れてしまったのかもしれない。
そのナニカは僕の方を向き、忽然と姿を消すと同時に僕の意識は遥か彼方へと飛んでいった。
___________________
「、、んっ」
僕が目を開けるとそこはダンジョンの通路のど真ん中だった。
僕何してたんだっけ?そうだ!僕、柳にダンジョンに閉じ込められてそれで、その後はよく思い出せない。
ここはさっきと同じ場所?だが何か違和感がある。
そう思っていた時ペタペタと足音が聞こえてきた。
ゴブリンが近づいてきていた。
僕は急いで立ち上がり『排出』と念じナイフを取り出し臨戦体制をとっていた。
「グルルルゥゥ」
戦うのは初めてだけどゴブリン相手なら、そう思っていた。それが間違いだった
そのゴブリンはありえないスピードで僕との距離を一瞬でゼロにし僕の腹目掛けて拳を振るった。
「ぶがぁ!」
その衝撃で内臓を損傷し吐血しながら僕は壊れたバネのように跳ね最終的に壁に叩きつけられた。
なんだこいつ、どう考えても強すぎる!
一階層でこの強さはありえねぇだろぉ!
そう思っていた時ゴブリンはもう1発喰らわせようと、突っ込んできた。
死んだ・・・そう思った瞬間謎の大きな影が僕の目の前に現れゴブリンを手に持っている大剣で消し飛ばした。
「ーーーは?」
そこに立っていたのはオークだった。右手には大きな大剣を携えていた。
その姿は血に染まり、乾いた血で体の色が赤黒く変色していた。
首筋には古い傷跡が残っていた。
目元には赤黒い跡がある。
さっきまで目から血が垂れていたみたいだ。
なんでこいつ僕のことを、そう思っている時オークはゆっくりとこちらに振り向きその大きな左手を差し伸べてきた。
「ガウッ」
握手を求めているのか?そう思い僕もその手を取った。
グギッ!ゴギゴギッ!バゴッ!
オークの手を握った瞬間万力の力で右腕を粉々に砕かれた。
「ぁあああ!い゙だい゙!い゙たい゙!い゙たい゙」
「ブファッ」
泣き叫んだ瞬間オークは僕をまるで野球ボールかのように思い切り横に投げた。
そのオークはニタリと僕がみた中で1番不気味な笑みを覗かせる。
僕は恐怖で逃げた。
"慎二"は逃げた逃げた逃げたニゲタニゲタニゲタニゲタニゲタニゲターーー
その抵抗も虚しく背後にはオークが現れその大剣で僕は吹っ飛ばされた。
さっきとは比べ物にならないほどの重傷を負った。
「ァァアア゛」
掠れて今にも消えありそうな声が出る。
ゴロゴロと肺がやられたのか息をするたびに変な音が出る。
そのオークは地を震わせるほどの力で歩きどんどんと僕に近づいてくる。
もうダメだ、と諦めかけたその時僕はその壁に謎の鉄製の扉が取り付けられているのがわかった。
これって、神宮教の人達が言っていた部屋……?
どうなるかとか、この先は何が広がっているとかそんなこと考えている暇は無い。最後の力を振り絞りなんとか立ち上がりそのドアノブに手をかけた。
その様子にオークは何かを察知し大剣に何かを込め光刃が飛んできたがそれよりも先に僕はその扉を開けその中に入った。
___________________
《やっと会えましたね》
その声で僕は目が覚めた。僕は起き上がり辺りを見渡すとそこには一台のPCが僕の姿を照らしていた。
___________________
面白いと感じたら、ブックマークや評価ポイントで応援していただけると励みになります!




