62話 短縮
知れって言ってもよくわかんねぇよ……
こういうのは数こなしてやるもんじゃねぇのか……?
まぁこんなこと考えてるよかやるしかねぇな。
そしてその『霜月』に気を纏わせ始める。
自分の肉体じゃねぇから時間はかかるが、切れ味をゆっくりとより高める。
そしてそれは、天を穿てる刃となる……
「『天絶』」
そしてそれは刀から放たれた。
やっぱ時間かかんな、どうやって短縮しろってんだよ……
「数こなすっきゃねぇよなぁ……」
「ん〜、本当にそれでいいのか?」
横にいた慎が俺にそう言ってくる、慎も頭を悩ませてくれているようだ。
「それでいいって、他に何すりゃあいいんだよ?」
「いやよ、お前の決戦の日はもう2日くれぇしかねぇんだろ?
だってのにそんな時間のかかるような課題を出すかって話だよ」
「そりゃそうだけどよ。
他に何すりゃあ」
「そうだ!ノヴァさんに聞いてみりゃいいんじゃねぇか?!」
ノヴァさん、確かにあの人は鍛治氏だから俺よりも刀についての造詣が深いはず……
「確かにあの人に聞いてみたらわかることが多いかもな、時間ねぇし速攻で行くぞ」
「おう、んじゃっ早くついた方が勝ちな。
負けた方は今日のおかずの献上な」
「負けても文句言うなよ」
「ぬかせ!」
そして俺たちは身体強化しノヴァさんがいるはずの鍛冶屋へ向かっていった。
***
「よっしゃあ俺の勝ち〜。
んじゃ慎二、おかずよこせよ!」
「お前に身体強化倍率で勝てるわけなかった……」
俺たちはそんなことを言いながら鍛冶屋についていた。
絶対リベンジしてやる。
そして俺たちは鍛冶屋に入った。
そこにはいつものように汚れが目立たないように茶色の服に身を包み、ルーペのようなものをつけていたノヴァさんがいた。
「おうお前ら久しぶりじゃねぇか、キリサメは一緒じゃねぇのな。
何のようだ、お前らだけで?」
「えっと〜……」
ノヴァさんが『天絶』なんて知るはずねぇし、わかりやすく言わねぇと
「俺、刀の切れ味を強化しないと何だけどよ。
自分の体じゃなくてよくわかんねぇから教えてもらいたくて……」
「あぁなるほどな……
さてはお前ら『天絶』練習してんのか?」
「「えっ『天絶』知ってんのか?!」」
「当然だろ?あいつと俺はガキの頃からの付き合いなんだからよ」
まさかキリサメとのノヴァさんがそんな親しい中だったとは知らず、俺と慎は不覚にも驚いてしまった。
いや、思い返してみたらかなり親しそうにはしてたが、そんなガキの頃とは……
「そんならついてこい」
ノヴァさんは俺たちにそう言いながら、店の奥へと連れていった。
そこには鉄のようなものや竈、冷ますための水が並んでいる様子から、俺はここで武器を打っていると理解した。
「ほれ、最近打った刀だ」
「あぶっ!?抜き身で渡してくんじゃねぇよ!」
「知るかんなもん、怪我したんならちゃんと取れねぇお前が悪いだろ」
この適当な感じ……キリサメと似たものを感じる。
慎も同じように思ったようだった。
というか、俺見て何しろってんだよ……?
「どう感じる?」
「……は?何が?」
「それを見て、持って、感じて、触って。
重いのか軽いのか、熱いのか冷たいのか、刃こぼれしてるかしてないか、切れ味はどうか、目釘はしまってるか、全てを感じろ」
全てを、感じる……
そして俺は、その刀を観察していく。
刃こぼれは……してない、目釘はちゃんとしまってる。
そして感じる、その刀の重さを。
あんま意識したことはなかったがやっぱり重いんだ、俺はいつもこれを振り回して……
「触ってみろ、指紋ついても別に気にしねぇよ」
俺はその言葉に従いその刀に触れていく。
こんなに、冷たかったのか……
そりゃあ鉄なんだから冷たいに決まってるが、触ってみるとより一層わかる。
切れ味は……
俺は自分の指を近づけ、皮膚を切る。
少しの力を加えただけで、こんなに切れるもんか……
「それだ、その感覚だ。
自分の武器を100%に至るまで理解しろ。
そしてイメージしろ、それをより高みへ導け」
武器を知る、それが足りなかったこと……
そして俺は立ち上がり、その刀をノヴァに向かって投げ渡した。
慌てた様子でノヴァはそれを受け取る。
「危ねぇだろうがオメェ!」
「アンタに言われたかねぇよ!
んじゃありがとな、俺戻って修行するわ!」
そして俺はその部屋を出ていった。
「というか慎、お前は触らなくてよかったのか?」
「あっいや俺……実は剣気がまだ出来なくて……」
「……そうか。
でも、多分お前なら大丈夫だと思うぜ。
お前出来ないってのにここまで来たじゃねぇか。
諦めてねぇ、不貞腐れてねぇ、そんならゼッテェそれは身を結ぶ。
期待しとけよ」
「ありがとう……ございます!」
慎は涙ぐみながらノヴァさんに向かって頭を下げる。
「おい慎、さっさと帰って修行付き合え!」
「わぁっ、たよ!」
「お、前何で泣いて……
なんか、どうかしたのか?!」
「っせぇ!さっさと行くぞ!」
そして俺たちはノヴァさんに一瞥し鍛冶屋を去っていった。
「……そうか慎、出来ねぇのか。
本当に頑張ってくれよ?
剣気は俺には、出来なかったことだからよ……」
***
そして俺たちが庭に帰ってくると、そこには一つの人影があった。
「おう、帰ってきたかお前ら」
「何でキリサメいるんだよ?
家でゆっくりしてんじゃなかったか?」
「言っただろ?
終わるまでってよ」
やっぱり"知れ"ってのは刀の状態をってことなんだな。
「まだうまくいくかはわかんねぇけどな」
そして俺は『霜月』を排出、そしてその刀の状態を確認していく。
冷たい、重い、目釘もある、切れ味も申し分なし……
あっそうだ一応確認しとくか。
そしたら刀の中に入っていないのに、現実世界に『霜月』が出てきた。
「えっ何で!」
「どうかしたかよ慎二?」
慎たちには見えてないのか……?
これも刀として成長したからってことか?
喋りかけるのも変に思われるし、だったら……
俺は気を流し、『霜月』と接続し心の中の声を流し込み喋りかけられるか試してみた。
『調子はどうだ?元気か?』
『…………!』
俺がそう言うと『霜月』はニコッと笑いながら腕を上げた。
『そうか、んじゃやるぞ』
『……………!』
そして俺は刀に気を流し込んでいく。
さっき確認したおかげで、今の刃の状態をより鮮明にイメージできる。
それを高めるイメージも……
「『天絶』」
そしてそれは天を裂き放たれた。
よっしゃ出来た、前は6秒近くかかってたが2、3秒縮まった!
「上出来だ、これ以降は数こなすっきゃねぇからな。
次は『不倶戴天』についてだがこいつは結構簡単だ。
とりあえずこいつに軽く打ってみろ」
そうするとキリサメは地面を操作して目の前に丸い岩を出現させた。
そして俺は刀に再度気を流す。
前より火力は抑え、そして炎と練り込んでいく。
「『不倶戴天』」
そして俺は振り下ろすと巨大な爆発音と共に土埃が舞う。
だが、粉々にはならず前の部分だけが壊れて後ろの部分は残ってしまった。
「っぱりな、そいつじゃまだ75点ってとこだ」
「一体どうすりゃいいんだこれ?」
「まぁ見て、何が違うか当ててみろ」
キリサメは再度丸い岩を生成する、
そしてキリサメは『布都御魂』を取り出しその刀に気を纏わせる。
炎を纏わせないまま、その刀を振り下ろす。
そして岩の内部に刀が入った瞬間──
「『不倶戴天』」
その岩は内部から破裂、粉々に砕け散っていった。
これって……
「タイミング、が違う」
「そうだ、お前のやってんのはただ炎を纏った刀を振り下ろしてるだけ。
正しくは途中までは剣気で内部まで切り込んだ後、炎に切り替えて爆発させる"内部破壊技"。
まぁお前の場合、剣気を途中で切り替えられねぇから炎の爆発するタイミングを操作して遅らせろ」
なるほど、これだったら確実に倒せる。
だけど……
「ライオッドが相手の時は水を放ってきて着弾直前で爆発させられたんだよ。
もし相手がそれしてきたらどうすんだ?」
「まぁ切り替える技術持ってる前提の技だからな〜」
「そうだ慎二!
お前あれやればいいじゃねぇかよ」
そして慎はその案を話す。
確かにそれだったら……
「それ結構いいかもな、それなら俺何回かしてきたしよ」
「だろ?
これだったら相手が知ってても大丈夫だろうしよ」
「とりあえず爆発のタイミング遅らせる練習やるぞ。
終わったら神気の出す方法、模索するぞ」
「了解!」
そして俺は修行に励んで行った。




