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48話 問い


「んっ、あぁ?」


 俺はそこで目を覚ました。

 俺は、確かライオッドのやつと戦ってて……

 あれ?!俺生きて……!


「やっと起きたかよ」


 俺がそう考えていると聞き覚えのある声が聞こえた。

 そこにはボロボロの姿の大雲慎がいた。

 なんで、慎が……

 俺はそう思い辺りを見渡した。

 俺はリビングにおりそこにはリリやルル、雫さんがいた。

 キリサメの姿は今のところ見えない。

 てか俺いつの間に街に帰って、戦いはどうなったんだ?

 その時襖が開けられた。


「おぉ、ちゃんと暴走しなかったか!」


 そう言いながら機嫌の良さそうなキリサメが部屋に入ってきた。

 暴走?何言って……

 その時俺はそれに気づいた。

 身動きが取れない、縄で縛られている。


「俺、何で死んでないんだ?

 それに何で縛ってんだよ?!」


 俺がそう言うとキリサメは目の前に腰を下ろしリリとルルに目を向けた。


「お前らちょっと外しててもらえるか?

 ちょっと話したいことがあってよ」


「はぁ?!私まだ慎二に何も……!」


「行くよリリ」


 リリはリビングに留まろうとしたがルルは力ずくで連れていった。

 あいつら、変わんねぇな……


「師匠、俺は外さなくていいのかよ?」


「いやお前は大丈夫だ。

 これからお前にも関わってくることだし、知っておいて損はねぇ」


 そう言うとキリサメは一息つき、俺の目をしかと見つめ話を進めていく。

 俺はそのいつもとは違う雰囲気に思わず息を呑んだ。


「お前、ライオッドと戦ってただろう?

 どこまで覚えてる?」


「どこまでって……

 俺は、ライオッドに負けた。

 『不倶戴天』を完成させて、渾身の一撃を叩き込んだ。

 けど勝てなくて、そっからは何も……」


「なるほどな、あいつから大方聞いた通りだ」


 あいつって誰だ?

 "あいつ"と聞いた瞬間慎が少し苛立つ様子を見せた。


「さて、少しずつ話して行こう。

 まずお前がやられた後何があったかだ」


「そうだよ、何で俺生きてんだ?

 それに何で俺ここにいるんだ?」


「とりあえずお前がやられた後のことを話していく。

 質問があんなら全部話した後にしろ」


 キリサメがそう言うと俺と慎はコクリと頷き、キリサメの話に耳を傾けた。


「お前は確かにライオッドと戦い、そして負けた。

 だが負けた後、黒い何かがお前の中から溢れ出して暴走したんだ。

 そんでライオッドはボコボコにされた。

 そしてあいつがやられそうなその瞬間俺が割って入って、"俺が"その暴走状態のお前を"ボコボコにして"連れて帰ってきたんだ」


 謎に俺をボコったということを強調して説明するキリサメに俺は不満を覚える。

 てかそれよりも……


「黒い……力?

 それって何なんだよ」


「師匠、俺に関係するってその黒い何かなのかよ?」


「まぁそうだな〜」


 キリサメは腕を組み、指をトントンと叩き何から話そうかと考え込む。

 そして少し時間が経過したのち口を開いた。


「まず、お前が持っている力の正体から説明してやる」


「知ってんのか?俺のその黒い力っての」


「その力は100年前、かの神様が使ったとされる力。

 その力は気とは違う、隔絶された力。

 その力の名前は──」


 そしてキリサメは一拍置きそれを告げる。



「"神気"、神の気と書いて神気だ」



 神気……神様っていうと昔の戦争でダンジョンとか作ってモンスターたち封印したり、魔法作ったり色々したやつ……だよな。


「いやなんでその力が俺ん中にあんだよ」


「それは……」


 そう言いかけたキリサメの顔はとても悲しそうな顔をしていた。


「悪い、それは俺も……知らねぇ」


「……そうか」


 俺たちは追求はしなかった。

 慎もわかっていた、キリサメが何かを隠してることを……

 だが、それ以上にこんな苦しそうに嘘をつくキリサメに申し訳ないと思ったからだ。


「その力は何ができたりするんだ?」


「俺が戦って気づいたのは単純な身体強化の倍率が気と比べて高い。

 同じ量で強化しても神気が勝つ。

 多分基礎倍率が高いんだろうな、それと闇を一部分に集めると硬度が上がる。

 まぁ部位効果の上位互換だ。

 そんで、あらゆる傷が一瞬で再生する」


「再生それって治癒(ヒール)できない俺にとってはいいことじゃねぇか」


「慎二お前調子乗んなよ、お前が暴走した時結構手間取ったんだからよ」


 ボコったんじゃねぇのかよ、と思ったが話を進めるのが優先だと思いそっと胸の奥にしまった。


「そんで、最後。

 『あらゆる理を反する力を秘めている』だっけか?」


「それじゃよくわかんねぇよ」


「それでお前に一つ質問だ」


 そう言うとキリサメは両手に一本の指を立てる。


「お前には今二つの選択肢がある。

 一つ目はこのまま神気を使わず少しずつ力をつけていく。

 そして二つ目は、神気を操れるようになって強くなる。

 けど二つ目は暴走の危険がある、だからあまりお勧めはしない。

 お前の成したいこと、それに繋がる方を選べ」


 俺の……成したいこと。

 俺は早く強くなんなきゃいけない。

 そうしなきゃあの亜人の女にも勝てない、それじゃ藤宮を助けることだって……

 けど、キリサメは言っていた。

 暴走した俺を止めるのはかなり手間取ったと。

 じゃあ次はどうなる、次暴走した時本当に止められ──


 パチンッ!


 俺が考え込んでいるとその時慎が俺の頬を両手で挟む。


「馬鹿かお前、そんな考え込む必要なんてねぇんだよ。

 大方次暴走したら止められないかもとか思ってんだろ?

 んなもん、考える必要なんかねぇんだよ」


「慎、俺は……」


「俺は、何だよ?

 あんま舐めてんじゃねぇよ。

 もし暴走しても俺と師匠で止めてやる。

 それが無理だったらリリもルルも街の奴ら総出で止めてやる!

 だからお前の選びたい方を選べよ……」


 俺の選びたい方……

 俺はその時思い切り頭を振り下げ慎に向かって頭突きをした。


「痛ッ!お前何すんだよ!」


「そりゃこっちのセリフだ!

 人が必死こいて心配して考えてる時に思い切り叩くんじゃねぇ!

 加減しらねぇのか、おかげでほっぺ赤くなって熱くなってんだよ!」


 俺はそれを言い終わった後一息つき、心を落ち着かせた。

 ……余計なことしやがってよ。

 さて、腹は決まった。


「キリサメ、悪いけど俺は、二つ目を選ぶよ。

 神気とか何だか知らねぇけど、強くなれんならやってやる。

 暴走した時は、頼む」


「……そうか」


 俺がそう言うとキリサメは嬉しそうな表情をしてそう言った。

 そしてずっと口を閉ざしていた慎が口を開いた。


「てかこれ、俺が聞く必要あったか?」


「いやあったぞ。

 これからは神気を使いこなせるように修行をしていく。

 お前にも同じ話するのはめんどくせぇし」


「なるほ……

 は?それって慎二が神気を鍛えること選ぶ前提で話進めてたってことか?」


「……あ、ホントだそうじゃねぇか!

 試しやがったな!」


「何のことだかな?」


「というかさっさと俺の拘束外せ!」


「「……あ」」


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