表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/53

47話 兆し


《"親友"ですか……

 それは皮肉のつもりでしょうか……》


 キリサメのその発言にノアはそう答えた。

 表情はないが、その言葉からノアは少し暗い気持ちを抱いているのではないかとキリサメはそう思った。


「てか前にも言ったがこの部屋使うだなんて本当に趣味悪りぃよな」


《仕方ないでしょう、丁度良かったんですから。

 おかげであなたと会うことができたでしょう?》


「まぁ……な」


 キリサメは苦い顔をしながらそう答えた。

 するとキリサメは気を取り直して、本題に入った。


「ここに来たのは他でもない、お前に言われたからっていうのもあるがそれよりも……」


 キリサメは刀を抜き、ノアに対してそれを突きつけた。

 その様子にノアは焦りもせず、ただその状況を受け入れていた。


「随分と落ち着いてんじゃねぇか」


《あなたがどう思っているのか、何を聞きたいのか、私はそれを知っています。

 彼の謎の力についてですね?》


「俺がこれを聞くのも、慎二が暴走すんのも、お前は知ってたのか。

 んじゃさっさと答えろ」


 キリサメは刀を突きつけたまま、脅すような声色でそうノアに言う。

 それでもノアは動揺せずその質問を答えた。


《あなたの予想通り、その力は彼とそして"あの男"が使っていたものですよ、

 あなたも"あの男"から聞かされていたでしょう?》


「やっぱり、あれが……」


 その返答にキリサメは顔を俯かせる。

 少し考え込んだ様子を見せた後、また一段と覇気を醸し出しながらキリサメは言葉を紡ぐ。


「あの力はこいつの身には余りすぎる。

 実際慎二も暴走した。

 いくらこいつとはいえまだ幼すぎる。

 こいつに余り背負わせすぎたくねぇ。」


《随分と気に入ってくれているようですね……》


「あぁ、こいつは俺の"愛弟子"だよ。

 慎も、そして──あのクソガキも」


《そうですか。

 ですが、あなたの意見を呑むことはできません》


「そりゃまたどうしてだ」


 キリサメは覇気を強め、いつでもノアを斬れるよう刀を近づけた。


《それは、あなたが1番よくわかっているのでは?

 残された時間は少ない、彼がまた戦いの渦に巻き込まれるのは時間の問題。

 彼をまた死なせたいのですか、"最後の英雄"》


「──ッ!」


 キリサメは刀を走らせノアに向かって刀を振るう。

 当たると同時に火花が散る。

 着弾寸前、刀が出現しキリサメの攻撃を防いだ。


「取り消せ。

 それは……そいつは俺が持ってちゃいけねぇもんだ」


《逃げた分際で偉くなったものですね》


 空気は張り詰め互いの一挙手一投足、全てを意識する。

 沈黙、時が無駄に流れていく。

 そして数分がたった時──


《英雄と、言ったことに対しては謝罪します。

 申し訳ありません》


「……はぁ、俺も大人気なかった。悪いな」


 両者とも謝りあった後、キリサメは刀を鞘に納め慎二を抱える。


《行くのですか?》


「あぁ、こいつを早く運んでやりてぇからな」


 キリサメが出て行こうとすると、慎二は黒い何かに包まれる。

 その様子にキリサメは焦る様子を見せ、ノアを睨みつける。


《別に変なことをしているわけではないです。

 傷を治しているだけですよ》


 ノアのその言葉を聞き、キリサメは慎二の傷を見ると負傷していた部分がほとんど治っていくのがわかった。


《その子が暴走したということは私の言う通りにしたのでしょう?》


「あぁ、言われた通り『布都御魂』に会わせた。

 あれがこいつの暴走のきっかけになったのかよ……」


《とりあえず、これからも彼を鍛えてあげてください。

 あなたからその力について教えてあげてください。

 そして──》


「あぁ、わかってる。

 次はあの刀を探して持たせればいいんだろ?」


《えぇ、お願いします。

 それと聞きたいのですが、『布都御魂』に会った後。

 彼に何か変化はありませんでしたか?》


 その質問にキリサメは困惑した様子を見せる。


「……いや全くなかった。

 いつも通りの伊藤慎二だったぞ」


《やはり……》


 それを聞いたノアは少し考え込む。

 キリサメはドアノブに手をかけ、部屋を出ていく。


「じゃあな、"親友"」


 ドアが閉まり、部屋が暗闇に包まれる中ノアは光を放ち続けている。

 

《やはり、それは私には重すぎます》



────────────────


「藤宮さん!今すぐルナさんの部屋に来てください!」


 私、藤宮渚が本を読んでいると、樋口くんが慌てた様子で部屋に入った。


「す、すみません!

 ノックもせずに入って……」


「いや大丈夫だよ」


 私はそう言い本を閉じて、ベッドに置いた。

 そして樋口くんと一緒にルナさんの待つ研究室へ向かった。


「今読んでいたのは……」


「あぁ、小説だよ。

 最近よく読んでるんだ、結構面白いよ?」


「本、ですか……

 僕も読んだ方がいいですかね、この世界の勉強にもなるだろうし」


「でもあの小説まだ完結してないんだよね。

 早く読みたいなぁ……」


 私は目を押さえ、本を読んで疲れた目を労る。

 その様子から樋口くんは興味深そうな顔を見せた。


「というか、何があったの?

 そんなに慌てちゃって」


「それがですね……ルナさんが伊藤くんに持たせたブローチに反応があったんですよ」


「……あぁ、そういうこと!」


 その様子に樋口くんは少し不満そうな顔を見せる。


「あまり、驚いていないようですが……」


「そんなわけないじゃん、すっごく嬉しいよ!

 反応があったってことは生きてるのがわかったってことじゃん」


 そうこうしていると研究室へつき、扉を開けた。

 そこには数々の魔法陣を書いては捨て、書いては捨てを繰り返していたルナさんがいた。


「あっ、遅いよ〜!

 みんな早くこれをみて〜!」


 そしてルナさんは杖を取り出し、机の上に魔法陣を構築し、マンションの全体図のようなものが出現した。

 そして1番下は光り輝いていた。


「……これは」


「光ってるところがブローチの反応がある場所。

 反応があるのは1番下の部分、つまり──」


「伊藤くんはダンジョンの最下層いる?!」


 樋口くんは驚きの余りルナさんの言葉を遮りながらそう答えた。


「そういうこと〜。

 まぁみんなを呼び出したのはそれだけじゃないんだ〜」


「それは何なんですか?」


 私がそう聞くとルナさんは深呼吸をしたのち答えた。


「彼が持っていた【固有スキル】亜空間収納(インベントリ)をベースに作った魔法。

 これはマーキングしたものを自分の手元に出すことができる魔法なんだよ」


「それが、どうかしたんですか?」


「このマーキングは彼が持っているブローチにも施した。

 そして、私は考えたんだ」


 ルナさんは神妙な面持ちでそれを告げる。


「上手くいけば、逆のことができるかもしれない」


「それって、つまり……」


「マーキングしたところにマーキングしたものじゃ無く私たちを転送させることができるかもってこと」


「そんなこと、可能なんですか?」


 樋口くんのその質問にルナさんは顔を俯かせて答える。


「いや、まだわからない。

 けど何もしないよりかは試してみる価値はある。

 だから……渚さん、一緒に手伝ってくれる?」


 ルナさんは不安そうな表情を浮かべながらそう聞いてくる。

 私は自信満々に、精一杯の笑顔で──



「もちろん!一緒に慎二を助けに行きましょう!」


 私はルナさんの手を握りそう答えるのだった。



 19時ごろに設定資料を投稿します。

 ぜひ見てください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ