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44話 覚醒


 俺は少しの間、勝利というものに酔いしれていた。

 俺はあいつに……勝ったんだ。

 早く帰ってみんなに無事を伝えねぇと。

 慎やみんなが待ってくれてるんだ。

 でも先の戦いで両足に深手を負い、俺は動けずにいた。

 治癒(ヒール)でも治せないしどうすれば……

 俺はそう思いステータスを開く。


 【 名 前 】 伊藤慎二

 【 レベル 】 500

 【 H P 】 2000/50900

 【 M P 】 0/7590

 【 S P 】 25/400

 【 魔 力 】 0/0

 【 筋 力 】 989 

 【 脚 力 】 989 

 【 抵 抗 】 261 

 【 感 覚 】 261 

 【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒(ヒール)《中》治癒(ヒール)《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作

 【固有スキル】 亜空間収納(インベントリ)

 【ステータスポイント】 75


 へ〜この戦いでレベル15上がったのか、まぁ大じょ……

 いやおかしい……!

 俺はクソみたいにレベル差のある相手を倒したんだ、なのにたった15?ありえない。

 しかも倒した時、レベルアップしたとか出てたか?


「ッ、まさか!」


 俺がそれに気づいた瞬間、一瞬にして大きな影が俺を包みそして切り飛ばされる。

 俺はなんとか左腕で受けれたが、左腕の骨は完全に砕かれ内臓にも支障がきたし血を吐き出した。


「ヴァホッ、ゲホッ」


 俺が血を吐いているとドスン、ドスンとなにかが近づいてくる。

 クッソガ……!

 俺はその方向へ目を向ける。

 そこには『不倶戴天』とさっきの水蒸気爆発をモロに食らい全身火傷で爛れて、口元の肉は削られ歯が曝け出されている、ライオッドが立っていた。


「お、まえ……なんで……」


「そいつは俺の方がその技を知ってたって言うしかねぇな。

 『不倶戴天』が来る時、先に水を当てて俺への被弾は最小限に抑えたんだよ。

 まぁ見ての通りの全身火傷だがな……」


 ライオッドは俺へ見せびらかすように手を大きく広げ、体を見せつける。

 だがその瞬間淡い光がライオッドの体を包み傷を治していく。

 俺は両足、腕、体の痛みに耐えることしかできずただ見ているだけだった。

 やがてライオッドは万全の姿へと戻っていった。


「見ての通り、全快だ。

 見るからにもうお前は気がねぇんだろ。

 だからお前はただ見てることしかできない」


「まだだ、まだ戦える……」


 俺はなんとか残っている右腕で刀を持ち、刀で体を支えながら立ちあがろうとする。

 だがそううまくはいかず地面に倒れ込む。


「もう立つことすらままならねぇんだろ?」


「ま、だだ」


「そうか、一つ聞きたいことがあるんだがお前はどうやってここに来たんだ?」


 俺はその言葉に少し困惑した様子を見せる。

 俺は何とか声を振り絞り答える。


「言う、わけねぇだろ」


「そうか、お前ならそう言うと思った。

 だから一つ条件を出してやる」


 ライオッドはそう言い指を一本立てた。


「お前がこの質問に答えてくれたらキリサメは絶対に殺さない。

 どうだ?」


「──ッ!」


 俺はその言葉に目を見開いて驚く。

 キリサメが、死なない?

 けど、それは俺の敗北を認めたことになる。

 俺が生きるのを諦めたことになる。

 藤宮を諦めることになる。

 俺は唇を噛み締め、結論を出した。


「俺もよく、わかんねぇ。

 タシテス……ってやつが、関係してる……」


「……そうか。

 よく答えてくれた、約束通りキリサメのことはこっちで何とかしてやる。


 ライオッドはそう言い大剣を振り上げる。

 俺はこのまま、死ぬのか?

 みんな、俺に託してくれたのに……

 まだやらなきゃいけないことがいっぱいあんのに。

 俺は血が滴るほどの力で唇を噛み締める。


「おいおい、それがこれから死ぬやつの目かよ」


 いやだ、いやだいやだいやだ……

 俺は死にたくない、死ねないんだ。

 俺が死んだら藤宮が死ぬのを止められない、ルルやリリとも約束したんだ、街の人たちも明るい笑顔で送り出してくれた。

 だめだ、だめだだめだだめだ!


 俺はその壊れた足をなんとか奮い立たせ立ち上がる。

 無理やり立ち上がったせいで傷口から血が飛び、内臓は悲鳴をあげ、視界が霞んでいく。


「じゃあな、お前は強かったよ。

 伊藤慎二」


 その瞬間その大剣は振り下ろされ俺の体を完全に砕いていく。

 骨、内臓の順番で壊れていき俺の体内に巡る血液は水風船を潰したように外に射出されていく。

 ふ、じみや……

 俺の意識は、命の灯火は徐々に消え去っていった。


────────────────


「お前は、最後までその目をしてんだな」


 ライオッドは大剣を引き抜き生きていたそいつに向かってそう告げる。

 ライオッドはその見開いた瞼を慈しむように、閉ざす。

 俺が埋葬してやるよかキリサメとかにやってもらった方がこいつは嬉しいか……


 ライオッドは背を向け、キリサメがあるであろう街へと繰り出す。

 俺は最後、あいつに興味が湧いた。

 どうしてだろうか、あいつとは初めて会った気がしなかった。


「まぁしょうがねぇ」


 それはそれとして、なぜキリサメは伊藤慎二のことを最初助けたのだろうか……

 キリサメと伊藤慎二は初対面ではなかったのか?


「考えてもわかんねぇか、あいつに聞くか」


 ライオッドはゆっくりと歩き──




              「あ゙」




 ライオッドはその異質な気配を察知する。

 そしてライオッドの持つ本能、第六感、全てが警鐘を鳴らす。

 ライオッドは一瞬にして振り向き、その攻撃をガードする。

 だがその飛来する何かは恐ろしいスピードだった。

 ライオッドは防ぎ切れず内臓は守り抜いたが身体中に多数の切り傷を負う。

 いつぶりだろうか……恐怖というものを感じるのは。

 手足が小刻みに震え、血が滴り落ちていく。


 ゆっくりと、そこにいる何かに目を向けていく。

 感じる気配の形、それはとても悍ましいものだった。

 その気配に思わず俺は鳥肌が立つ。

 だが同時に神々しさも内包している、そんな意味のわからない気配。

 俺はそれを"知っている"。

 グギッゴキッ

 自分の息遣いとは違う何かの音が俺の鼓膜を刺激する。

 俺は覚悟を決め、その何かを視認した。


 髪は白く染まっていた。

 それは頭もあり手足もあり人の形を成していた。

 だがそいつは体に謎の闇を纏わせていた。

 そしてそいつには人とは決定的に、違うものが一つあった。

 そいつには、そいつの背中には──



 黒い、何かが生えていた。

 


 小刻みに震えまるで傀儡のように気味の悪いカクついた動きを見せる。



   「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぁぁぁぁ!!!」



 それは"伊藤慎二"だった。






 明日は試しに18時に投稿してみます。

 いつもより早い投稿になりますが、ぜひみてください。

 【 名 前 】 伊藤慎二

 【 レベル 】 500

 【 H P 】 2000/50900

 【 M P 】 0/7590

 【 S P 】 25/400

 【 魔 力 】 0/0

 【 筋 力 】 989 

 【 脚 力 】 989 

 【 抵 抗 】 261 

 【 感 覚 】 261 

 【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒(ヒール)《中》治癒(ヒール)《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作

 【固有スキル】 亜空間収納(インベントリ)

 【ステータスポイント】 75


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