41話 成果
「遺言?
んなもん決めてきてるわけねぇだろ」
俺は腰に携えた刀を触りながらそう告げた。
久しぶりだな……このヒリつく圧倒的なまでの敵意。
「だったら戦ってるうちに決めとけ。
んじゃ──」
オーガはそう言いながら自分の大剣を振り上げようとする。
「ちょっと待ってくれ。
少し、話をしないか?」
「話だ?」
俺がそういうとオーガは少し考え込んだ様子を見せる。
少し経った後「わかった」とそう言い指を鳴らす。
その瞬間、地面が膨れ上がり腰掛けるための岩ができた。
俺たちは歩み寄り、そこに腰掛け目を合わせる。
「どつしたんだ、急に話って」
「いやよ……俺は今までモンスターは全員敵で倒さなきゃいけないってそう思ってたんだよ。
けどキリサメたちと会ってその考えが少し変わったんだ。
だから……お前のことを少し知りたいって思ったんだ」
俺がそういうとオーガは短く「そうか」と言った。
俺は事前に聞こうと思っていたことをオーガに言う。
「お前はなんで人を殺すんだ?」
「……俺はよ、ヒーローになりないんだ。
みんなを守って、大事にする、そんなヒーローに……
だから仲間を傷つける奴は許さない。
お前の場合、襲われたから返り討ちにしたってのはよくわかってる。
これはただの私怨だ、悪いな」
オーガは申し訳なさそうな顔をしながら言う。
そうかよかった、ちゃんと理由があって。
これで殺すのが好きだからとか答えられたらどう反応したらいいかわかんなかったからな……
「なんでヒーローになりたいんだ?」
「なりたい理由か……」
オーガは少し考え込んだ様子を見せながら、俺に向かってこういった。
「カッコよかったんだ」
「……そうか。
てか亜人のやつはどうしたんだ?」
俺がそう言うとオーガは手をポンと叩き、口を開いた。
「クソ女が私との決闘はもう少し先にしてくれって言ってたな。
なんかしたいことあるらしくてな」
俺はその言葉に身を見開いて喜んだ。
よかった……流石に亜人の奴らまで相手にすんのは流石にキツイだろうしな、好都合だ。
「なんで……人間とモンスターは争わなきゃいけないんだろうな」
「俺たちが争う理由……か」
俺がそういうとオーガは顔を俯かせながらその問いに答えを送る。
「俺たちは、俺たちはただ自分のああしたい、こうしたいって欲を押し付けあってるだけなんだよ。
だから一つの争いが生まれて、終わったかと思えばまたどっかでこうしたいって欲が生まれて争いが起きる。
だから、俺たちの戦いは終わらない。
お前にも成したいことがあるのなら、勝つしかない。
なんせ、この世を作ってきたのは正義を語った勝者だけだからな」
俺はその返答に対して、俺たちは絶対に分かり合えないとそう言っているように聞こえた。
「さて、そろそろ始めるか」
オーガはそう言いながら立ち上がり、俺もそれを聞き立ち上がる。
そしてもう一度指を鳴らすとその隆起している岩は引っ込み、元の平たい床に戻った。
俺たちは後ろを向き、距離を取るため歩き出した。
「そうだ……オーガ、お前名前なんて言うんだ?」
俺がそう言うとオーガはニヤリと笑みを浮かべながら、
「ライオッド、お前は?」
「慎二……伊藤慎二だ」
そして俺たちは十分に距離を取り終わり、俺たちは同時に武器に手をかける。
緊張が走り、頬に汗が伝う。
そして……
「「剣気解放……!」」
『ヴォルカニカ』『霜月』
俺たちは迸る透明な気を身に纏う。
俺は、キリサメが言っていたことを思い出していた。
──────────────────
時はキリサメに剣気を教えてもらったところまで遡る。
俺と慎は庭でキリサメの話を聞いていた。
「これからお前には2つの技を覚えてもらう」
キリサメはそう言いながら指を2本立てた。
「その、たった2つの技であのオーガをどうにかできるのかよ」
「あぁ、できる」
キリサメは俺の質問にキッパリとそう答えた。
「まぁあいつの体は馬鹿みたいに硬い。
お前の剣気の練度じゃまだあいつの肉や骨を断ち切ることは難しいだろう」
「師匠が言うって相当なんだな」
「んじゃどうすれば」
俺はその言葉に肩を落としてあるとキリサメは笑みを浮かべ、口を開く。
「大丈夫だ。
今から教える技は相手が鉄だろうが鋼だろうが、どんなに硬くても関係ない」
「どういう……」
「その技は天をも絶ち、目の前にある全てをぶった斬る。
その…技の名前は──」
──────────────────
そして現在──
思い出せ、今までキリサメから培ってきた経験を。
思い出せ、慎がくれた技術を……
そして俺は居合の構えを取り、刀に気を集める。
「おいおい、お前まさか……!」
俺はそれと同時にその刀を引き抜く。
その技の名前は──
『天絶』
その瞬間キンッという甲高い音と共に、目の前にある全てが引き裂かれ、ライオッドの体を超え壁に深い切り込みを入れた。
ライオッドは反応が遅れ、避けきれず腕は切り裂かれ断面から血が流れ出た。
その技は空間そのものを斬る、どんなに硬くても関係ない。
これで…‥戦え──!
「ワッハハハハ!」
俺がそう思ったのも束の間、その雄叫びに似た笑い声がダンジョン内に響き渡る。
俺はその声に思わず顔を顰め、耳を塞いだ。
「面白れぇじゃねぇか伊藤慎二……!
この2週間ぐれぇで"天絶"覚えてくるなんてよぉ」
「お前ッなんでこの技知って──!?」
「んじゃできんだろ?『不倶戴天』」
俺はその言葉に目を見開いて驚いた。
『不倶戴天』とは『天絶』とは別に教えられた切り札、なんでこいつが知ってるんだ?!
「昔、キリサメのやつと戦ったからなその時食らったから覚えてんだよ
んじゃ、打ってこい」
俺はその言葉に理解が少し遅れる。
「まさか『不倶戴天』をか?
お前死にたいのか?!」
「んなわけねぇだろ。
お前の成長に対しての褒美みてぇなもんだ。
さっさと来い、それとも怖気付いたか?」
ライオッドはそう挑発してくる。
あいつの狙いはわからない、俺が打とうとしたところを攻撃するつもりか……?
俺はライオッドのその目を見て、そんな考えは一瞬で吹き飛んだ。
──本気の目をしていた。
「いいんだな……!」
「あぁ、来い!」
俺はその言葉に従い、気を全て刀に込める。
そして俺は走り出す。
なに考えてるかわからないが、乗ってやる。
一発で終わらせてやる!
そして俺はライオッドに向かい高く跳躍、刀を振り上げる。
『不倶戴天』
俺は刀を振り下ろす。
グシャッとそんな手応えと同時にものすごい破壊音がなる。
そして土煙が舞う。
「……やったのか?」
土煙が晴れていく、そして俺はライオッドのいたところに目を向ける。
だがその瞬間、俺は強い衝撃と共に後方へ飛ばされる。
「グフッ……」
予想外の攻撃に俺は反応できず、その攻撃をモロにくらい肋骨が折れる。
俺は治癒を回す。
「なんだよお前、スキルなしじゃ治癒できねぇのな」
そんな、聞き覚えのある声が響く。
…‥マジかよ
そこには多少の擦り傷を抱えたライオッドが立っていた。
「あれ食らってそんなピンピンしてんのな」
「そりゃあんな攻撃じゃ俺はこの程度だ。
てかお前ちゃんと『不倶戴天』できてねぇじゃねぇか」
そりゃキリサメの見たんだから、気づくよな……
俺は『不倶戴天』をちゃんと教えてもらってねぇんだ。
風刃と同様、見るだけで見せて自分でやり方考えろって言われちまったからな……
「『不倶戴天』できねぇようじゃ俺を倒すのは難しいぜ?」
だが……俺は未完成だってことを知ってたからな。
最初から『不倶戴天』使って倒そうだなんて思っちゃいねぇ。
まぁ擦り傷程度しか負わせられなかったのは少し凹むがな。
そしてライオッドは落ちている腕を拾い上げ、自分の切断面に当て治した。
「さぁ伊藤慎二……!
褒美は終わりだ、始まるぞ」
「あぁ、やってやるよ──!」
俺はそうライオッドに対して言うのだった。
【 名 前 】 伊藤慎二
【 レベル 】 485
【 H P 】 49400/49400
【 M P 】 7500/7500
【 S P 】 390/400
【 魔 力 】 0/0
【 筋 力 】 989
【 脚 力 】 989
【 抵 抗 】 261
【 感 覚 】 261
【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒《中》治癒《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作
【固有スキル】 亜空間収納
【ステータスポイント】 0




