39話 風刃
「さてこれからお前には『風刃』を会得してもらう」
キリサメは俺にそう告げる。
風刃っていえばあのクソオーク、オーガがやってた技だよな。
「だが、やり方は自分で見つけてもらう」
「、、え?
キリサメ、、自分の命がかかっているんだぜ?
そんなこと言ってる場合じゃないのわかってるか?」
「わかってるよ。
でもこの技術は"大事"なんだ、これからお前も使うことになる。
だからこそ自分で力を掴み取れ、技は一回見せてやる」
その瞬間キリサメは刀を抜く。
ーー剣気解放『布都御魂』
そしてキリサメが持つ刀から白い何かが吹き出す。
それはキリサメと刀を覆い、その力は力強くみなぎっていた。
『風刃』
その瞬間、その白い何かは緑色に変わり刀に纏わりつく。
キリサメが刀を振るった瞬間、その緑色の何かは飛んでいった。
「こんなもんだな、俺が教えんのはここまで。
こっからは自分でやり方見つけろ」
「んな無茶な……」
俺はそのお題に思わず頭を抱える。
キリサメは自室へ戻るらしく、家の方へ歩いて行った。
とりあえずやってみるか……
ーー剣気解放『霜月』
その瞬間キリサメほどではないが力がみなぎり、白い力が俺を覆う。
これを刀にだけ集中させる。
俺は目を瞑りその白い力を操ることに集中する。
「こんなもんか?」
なんとか操ることに成功し、刀に白い力を纏わりつかせることに成功した。
『風刃』っていうなら風操作となんか関係あんだろうな。
俺は風操作を会得した時を思い出す。
腹の底に吹き荒れる風をイメージ、それを出力する。
それを、刀にも纏わせる。
「、、できたのか?」
俺は目を開け、確認する。
見事刀に風を纏わせることに成功した。
なんだよ意外と簡単……
「それじゃできてねぇよバカ」
俺が調子に乗っていると慎が割り込んでくる。
「バカとはなんだバカとは。
できてるだろ『風刃』!」
俺がそういうと慎は首を振り、風刃について説明してくれた。
「慎二のはただ風を刀に付与しただけだ。
お前が今やらなきゃいけねぇのは剣気と風、どっちもないといけねぇだろ?」
確かに、この刀からは剣気を感じない。
じゃあもう一回だ。
今回は風ばっかに気を取られずに剣気を疎かにせずに。
俺は失敗を生かし、剣気に集中して風を纏わせようとした。
、、これ纏わせる隙間あるか?
同じ席には2人同時に座れねぇのと同じように風と剣気を同時に乗せる隙間がなかった。
「上手くできねぇ。
慎、お前なんかわかるか?」
俺は手詰まりで頼みの綱の慎に話を聞いてみた。
たが慎は困ったような顔で答える。
「俺言ったろ?
剣気使えねえって、だから師匠がやってんの見たぐらいしかねぇんだよ」
「わかった、教えてくれてありがとうな」
俺はそれを聞き肩を落としながらそう言った。
剣気の上に風を上手く纏わせればできそうだが、両立して操作できるほど緻密な気の操作はまだ俺にはねぇ。
「てかお前『布都御魂』で経験もらったんだろ?
それでなんとかなんねぇのかよ」
「いやそう上手くいかねぇのよ。
経験もらったのはいいけどよ、俺の中にあんのは刀を自由に操る技術だけなんだよ。
そこらへんの気とか操る技術も経験の中にあるはずなんだけどよ、なんていうんだろうな。
変な何かに"吸い込まれた"みたいな?
大部分がそっちに吸い込まれちまったみてぇでよ」
「んだよそれ、厨二病か?」
「そうだったらどれだけ良かったことか、、、」
***
俺たちは一旦修行を中断し、晩飯へと繰り出していた。
今日は色々あったからな、腹が減って仕方ねぇ。
俺たちは食卓につき、雫さんが作ってくれた飯を食らう。
「どうだよ慎二、うまくいってるか?」
キリサメがニヤニヤしながらムカつく顔でそう告げる。
「上手くいってねぇよ、わかって言ってんだろ」
俺がそういうとキリサメは「そうか」と短く告げる。
食べすすめているうち茶がなくなってきたので雫さんが作りにいった。
なんにもしないままじゃ申し訳ないな。
「雫さん、茶を作るの少し手伝いますよ」
「そうかい、じゃあお言葉に甘えようかね」
雫さんは嬉しそうにそう言い、俺に急須を渡す。
俺はその中に茶葉を入れ、雫さんが沸かした湯を中に入れていく。
透明だったお湯が茶葉と混ざり合った瞬間、鮮やかな「緑色」へと姿を変えた。
「、、あれ?」
俺の思考はその茶を見てフリーズした。
俺は思考を巡らせ、今まで見てきたものを思い出した。
なるほど、だからクソオーク達は……!
馬鹿が俺は、何変な勘違いしてたんだよ。
「雫さんすみません、少し用事ができました!」
俺は急いで廊下を駆け抜け、庭へ行く。
「おい、どうしたんだよ慎二!」
慎はそういうが俺の耳には届かなかった。
今はただ思いついたことを試したい。
庭に着くと慎もついてきていた。
「いきなりどうしたんだよ慎二」
慎は困惑した様子でそう聞いてくる。
「違かったんだよ、キリサメは今までと」
「どういうことだ?」
「キリサメは剣気をした後に、風に変えてた。
けどな俺が今まで見てきたやつは剣気を発動した瞬間から風を纏ってた」
「それがどうかしたのか?」
俺は『霜月』を取り出し、目を瞑る。
一つのコップの中に、水と油を別々に注ごうとしても混ざり合うわけがない。
だから俺は上手くできなかったんだ。
もっと簡単でいいんだ、剣気と風を"混ぜ合わせる"。
ーー剣気解放『霜月風刃』
俺は刀を構えて、振り下ろした。
その瞬間刀に纏われている風はものすごいスピードで飛んでいく。
「でっきたぁ!」
よっしゃ上手くできた。
茶から上手く着想を得られた、手伝って良かった!
でもキリサメはその緻密な風の操作ってのをできんだよな、本当にすごいな。
「よくわかんねぇけどできてよかったな!」
慎は嬉しそうに俺の背中を叩いた。
「それはそうと、さっさとリビング戻って飯食うぞ。
腹減った」
「おう!」
俺たちはリビングへと戻るのだった。
【 名 前 】 伊藤慎二
【 レベル 】 440
【 H P 】 35000/44900
【 M P 】 5090/5090
【 S P 】 250/350
【 魔 力 】 0/0
【 筋 力 】 886
【 脚 力 】 885
【 抵 抗 】 227
【 感 覚 】 227
【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒《中》治癒《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作
【固有スキル】 亜空間収納
【ステータスポイント】 50




