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35話 経験


「……はっ!」


 俺はその瞬間目を覚ました。

 俺は、確か剣気をして『布都御魂』とかいうやつに経験を見せてもらうんだった……よな。

 それで、俺は……


「おぉ、やっと起きたか小童」


 俺が考えていると目の前に『布都御魂』が現れる。

 そうだ、俺はその二刀流の何かに首を飛ばされて……


「俺首飛ばされたのに何で生きてんだ?」


 俺は自分の首をさすり傷跡がないかを確かめた。

 だが綺麗さっぱりさっきの傷がなくなっていた。


「お前が傷つけられたのは精神だけだからな。

 魂さえ破壊されなかったらどうということはない」


 いや精神も魂とか同じじゃねぇのかよ。

 俺はその言葉に困惑しながらも周りを見渡した。


「てか、、何であの闇まだいるんだよ」


 俺はその目の前に静かに佇んでいる、先ほど俺のことを殺したそいつに指を差した。


「そりゃお前が経験を見せろって言ったんだから見せてやってるんだろ?

 出したり消したり、めんどくせぇことするかよ。

 んでもう一回やるか?それとも諦めるか?」


 そいつは俺を挑発するかのような視線で俺を見る。


「やるに決まってんだろ、もう一回だ」


「いいじゃねぇかそのいきだ、私は面白いもん見れればそれでいいからな」


 俺は立ち上がると目の前に先ほど握っていた刀が現れる。

 てかこの刀なんなんだこれ、闇に包まれてる。

 その刀は何かモヤがかかっているようでどういう見た目なのかがよくわからなかった。


「始まるぞ小童」


 俺は刀を眺めていると『布都御魂』がそう告げる。

 こいつのスピードは尋常じゃねぇ、多分あのティグとかいうやつよりも何倍も速い。


 だったら、、と俺は部位強化で目を最大まで強化し、あいつのスピードに何とか食らいつこうとする。

 その瞬間、その闇は動き出す。

 俺はそれを確かに目視した、はずだった。

 闇が動き出しは捉えられたが軌跡までは捉えられず、俺の首にはすでに刀があてがわれていた。


「しまっ……」


 俺がそれを認識した時には俺の首は刎ねられ宙を舞い俺の意識は落ちていった。


***


「おはようさん。

 ご機嫌いかがだ?」


「最悪だよ」


 俺は体を起こし、座る姿勢になる。

 あいつのスピード、確かに動き出しは見えた。

 だが捉えられたのはかすかな残像と舞う土煙のみ、か……


「あいつ強すぎんだろ……」


「元々言い出したのはお前だろうが、約束守ってやってんだからさっさとやれ」


 そいつはそう言い俺を強引に立ち上がらせようとする。


「わかってるよ、やるからには強いやつとやったほうがタメになるしな」


 俺は意気揚々と立ち上がりもう一度その闇と戦うのだった。


___________________


「師匠本当に大丈夫なのかよ?」


 大雲慎は、キリサメに向かってそう告げる。


「わからねぇよ、でもこいつなら大丈夫だとそう思っただけだ」


「もう剣気を始めてから2時間が経過する。

 そろそろ起こしてやったほうが……」


「まぁ見守ろうぜ、ヤバそうになったら流石に止めるけどな」


 キリサメたちは刀を持ち座り込む。

 俺たちはとてつもない量の汗をかいた慎二をただ見守るしかなかった。


___________________


 この世界に来てから何時間が経過しただろうか。

 こいつに何度殺されたかもう覚えてねぇ。


「もうギブアップか小童」


「まだだよ。

 でもひとつ聞きたいんだが、あいつは何者なんだ?

 只者じゃないだろ?」


 俺がそう言うと『布都御魂』はそいつについて教えてくれた。


「……最後の英雄の、1人だよ」


「最後の、、英雄?

 その口ぶりからして何人かいるのか?」


「あぁ、2人いる、その中の1人はキリサメだ。

 まぁあいつはそう呼ばれることを好まないだろうがな……」


「マジかよ!

 キリサメもこのレベルで強いのか、まぁ強いのはわかってはいたけどな。

 てか、こいつは今どうしてんだ?

 死んだのか?」


「いや、死んでねぇ。

 今も生きてるよ」


「そうだとしたらヨボヨボのジジイになってるだろうな」


 俺がそう言うと『布都御魂』は不思議な顔をして俺に質問をする。

 

「私からも聞きたいんだが、前もう戦いたくないとか何とか言ってたじゃないか、あれは嘘だったのか?

 急にそんなに頑張り出して……」


「お前、見てたのかよ。

 いやまぁ嘘じゃねぇよ、本当に戦いたくねぇよ今もな。

 けどキリサメや慎達も支えてくれてんだ、心が折れても助けてくれる仲間がいる。

 俺の背負ってるもん一緒に担いでくれる。

 だから俺は頑張れるんだよ」


「……そうか、よかったな」


 そいつはそう言うと姿を消す。

 この闇についてわかったこともあるしな。


「始めだ」


 その掛け声と共に部位強化をそいつの動き出しをギリギリで捉えられるくらいを目に回し、開いたリソースを全身に回す。

 そしてそいつの動き出しの瞬間を完璧に捉えようと意識を集中させる。


 あいつは俺を切る時、絶対急所を狙う。

 首か心臓や臓物の多い腹部分、今まで殺されたがそれ以外狙われたことはねぇ。

 多分癖なんだろうな、殺しまくって殺しまくってどれだけ早く敵を殺すかを極めた結果なんだろう。

 その極致に至るまでどれほどの修練を積んできたのか俺は知らない。

 だが、俺はこいつを倒さないといけねぇんだ。


 その瞬間俺の目はそいつが動き出すのを確かに捉えた。

 俺は一瞬で刀を首から心臓、腹部にかけてを守るように構えた。

 ゴンッ!

 そんな金切り音と言っていたのかすら疑うほどの轟音が響くと同時に俺の体にものすごい衝撃を襲う。


「やっと一撃目凌げたぜぇ!」


 俺はその瞬間、回し蹴りを繰り出しその闇を吹っ飛ばした。

 渾身の蹴りも虚しくその闇には深手を合わせることはできなかった。

 効いてないか、まぁいい次だ……


 俺は全力で次の攻撃に備える。

 その瞬間、その闇は姿を消す。

 俺は先と同じように首と心臓を守るように構えた。

 だが、、、今回はあの金切り音はならなかった。

 風が吹き抜け、背後にその闇が現れたことに気づいた瞬間。

 その瞬間、俺の両腕は飛ばされた。


 よく考えれば当然だった、対応されたら対策するなんてことは……

 俺はなんとか反撃しようと後ろにいる闇に回し蹴りを叩き込もうとしたが、もういない。

 一瞬で俺の脚の腱を切られると同時に腹部を切り付けられ俺は地に伏した。


 俺は最後の力を振り絞り火球を生成、そしてその闇に向かって放った。

 弱々しい、当たっても何にもならないであろう火球、それをその闇は"避けた"……


 そして俺の意識は落ちていった。


***


「おはようございまーす」


 俺はそういいながら立ち上がる。

 今回わかったことはあいつにも学習能力があることだな。

 そして、あいつはどんな弱い攻撃でも避けれる時は避けるということ。

 これも癖になっているのだろう、戦闘では少しの油断が命取りになるからな……


 俺はひとついい案を思いつき、ニヤリと笑う。

 だが、この作戦には条件があるな……

 だったら……


「『布都御魂』!

 お願いがあるんだがいいか?」


「なんだ?

 あいつ弱くしろは嫌だぞ。


 その瞬間俺の目の前に『布都御魂』が現れた。

 俺はその言葉に首を振った。


「嫌ってことはできるっちゃできんのかよ。

 まぁ頼みたいのはそうじゃねぇ。

 もっと面白いものみたくないか?」


***


「これで面白くなるんだろうな」


「あぁ完璧だ。

 ありがとうな」


 俺がそういうと『布都御魂』は姿を消した。

 俺がお願いしたのはステージの変更、真っ暗な部屋じゃなくだだっ広くて明るい、床は石でできたステージにした。

 俺は刀を構え、先ほどと同じように身体を強化する。


「始めていいぞ!」


「これで面白くなかったら容赦しねぇぞ!」


 その瞬間、その闇は動き出す。

 俺は先と同じ構えを取る。

 ゴンッ!

 予想通り最初と同じ行動をとった!

 やはり俺と違ってさっきの戦闘の記憶はなくなんのか!

 押し合いになり、その闇はものすごい勢いで俺を押す。


「真っ向勝負じゃ勝ち目ねぇのは知ってる。

 だがよぉ、俺も少しはやったんだぜ……剣道!」


 俺は刀の角度を変え、そいつの攻撃をうまく逸らした。

 その闇は体制を崩し完全に隙ができる。

 そして刀を思い切り振り上げそいつの首を捉えた。

 だが、恐ろしい反応速度で地面を思い切り踏み締め首を逸らされた。

 だが腕を切り落とすことはできた。

 腕が宙を舞い、そして俺は第二撃として刀をその闇に振り下ろした。


 そいつは体を後ろに逸らし避け空中に浮かぶ腕を取り、距離をとった。

 腕は切り落とした、これで楽に。

 その瞬間、その闇は腕をくっつけ淡い光が漏れ出た。

 治癒(ヒール)できんのかーい!


「俺なんか使おうとしてもその隙与えてくれないくせによぉ。

 まぁいいか……ちゃんと避けろよ?」


 俺は地面に手をつき、そして地面からドーム状の壁を3層作り上げる。

 簡単な攻撃で避けたお前ならよこれも、警戒して避けるんじゃねぇのか?

 予想通りその闇は後ろにもう一度飛び、避けた。

 そしてそのドームは完成した。


 このままじゃ絶対に勝てねぇ。

 俺はそう思いちゃんとした反撃をすることに決めた。

 俺は居合の構えを取り耳を強化、余った気は他に回した。

 壁を作り上げ俺に接近する時絶対に破壊音がなるようにした。

 これで反応できる。

 

 だが、その闇の大まかな位置はその破壊音な聞こえるまでわからない。

 それの対処法は考えてある。

 鍛冶屋のノヴァさんは言っていた「気を感じた」と……

 他にもリリや慎、キリサメも恐らく気を感知する術を持っている。

 俺はあのクソオークと最後に戦った時、何故かあいつのいる場所がわかった。

 だったら、俺にもできるんじゃないか?


 俺は目を閉じ、神経を張り巡らせる。

 あいつと会った時から感じる謎の威圧感、それはおそらく気によるものだろう。

 あんだけでかいなら少しばかりは感知できるはすだ……



 ー見つけた。



 俺がどの方角からくるのかを理解した瞬間壁の破壊音がなる。

 俺は神がかり的な反応速度でそれに対応する。

 俺の刃は英雄にも届き得た。

 俺は居合でその首を捉えた、その刀を振る。


 取った、、、

 そう確信した瞬間、地面が隆起し狙いが上にずれその闇の髪を掠める。

 しまった、こいつも土操作を……


 そしてその闇は刀を宙に置くように捨て、俺の目の前でただパンと手を叩く。

 だが俺は先ほどの部位強化を解いていなかった。

 その瞬間鼓膜が潰れ耳から血が吹き出す。

 その影響で俺は平衡感覚を失い、前や後ろ、右や左に至るまで全てがわからなくなった。

 そしてその闇は決定的な隙を見逃さなかった。

 その闇は刀を拾い上げ腹部目掛けて薙いだ。

 そして俺の腹部からは尋常でないほどの血が流れた。


「イッテェじゃねぇか」


 俺は身体硬化を腹に全力で回し、腸まで達している刃が抜けないよう何とか食い止める。

 逃げようとするその闇を俺は力を振り絞り抱いた。

 これなら鼓膜破れてても関係ねぇ!

 俺は天を仰ぐように頭を上げる。


「ずっとよぉ……考え、てたんだ。

 何であの女は、、お前を倒せって、言わなかったのか。

 なぜお前を経験、、と呼ぶのか……

 つまり、こういうことじゃねぇのか?」


 そして俺は思い切り頭を振り下ろし、その闇に頭突きをした。

 だが、俺の思っている感触はしなかった。

 まるでスライムかのように俺の頭を包み込みそして繋がった。

 そして俺の意識は闇に引っ張られ消えていった。


「正解だ、伊藤慎二。

 約束通り持っていけ、それが経験だ」


 【 名 前 】 伊藤慎二

 【 レベル 】 440

 【 H P 】 2500/44900

 【 M P 】 5090/5090

 【 S P 】 100/350

 【 魔 力 】 0/0

 【 筋 力 】 886 

 【 脚 力 】 885 

 【 抵 抗 】 227 

 【 感 覚 】 227 

 【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒(ヒール)《中》治癒(ヒール)《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作

 【固有スキル】 亜空間収納(インベントリ)

 【ステータスポイント】 50

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