32話 覚悟
俺、キリサメはその話を聞き困惑を隠さずにいた。
「そいつは一体どういうことだよ」
「確証はねぇ、実際感じた気も完全に同じじゃねぇって言ったろ。
でもな根本的なもんは同じだ。
それが少しズレたってだけの問題だと思うぞ」
「慎二が2人、、、」
まさか、あいつの気か?
でもそうだとしても時系列が合わない。
もうちょい先って聞いてたんだけどな。
「お前なんか知ってるだろ?」
「シラネェヨ」
「知ってる顔だなそれ」
俺そんなに顔に出やすいか?
キリサメはそう思い、自分の顔を少し触る。
「はぁ、安心しろ。
追求するつもりはねぇ」
「いいのかよ、お前のその耳が聞こえないのと関係あるかもしれねぇのに」
「別に大丈夫だ。
びっくりするにはしたがこちとら鍛冶師なんでな、戦闘要員と違って支障はあんまねぇんだわ。
お前は意味のない嘘をつくようなやつじゃない。
それにぼっちの俺に鍛冶師の可能性を見出してくれたのはお前だ。
感謝してんだよ俺も」
「……ありがとな」
俺はそう言いノヴァに一瞥し、店を出ようとした。
「またな」
「………あぁ」
俺は少し言葉が詰まりながらそう言い、店を出て行った。
さて、どうするっかなぁ。
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俺たちは庭で剣術の練習をしていた。
「師匠遅ぇな、何話してんだろ」
慎は一度剣を止め俺にそう聞く。
確かに遅すぎる、何してんだろ。
「慎二、少し話したいことあるんだがいいか?」
「どうしたんだよ改まって」
慎は俺の目をしっかりと見つめながらゆっくりと言葉を吐き出す。
「お前はこのままじゃ……」
「おぉ、よくやってんじゃねぇか」
慎が何か言いかけた時、聞いたことのある少し年老いた声が慎の言葉を強引に塞ぐように後ろから聞こえた。
「あぁ、キリサメか。
おかえり」
「あぁ、ただいま」
俺がそういうとキリサメはそう返し、俺たちに向かって歩いてくる。
だが、キリサメのその顔はどこか俺を観察するような、そんな目で見てきた。
「てか慎、何言おうとしたんだよ」
俺がそういうと不貞腐れた様子で何でもねぇと言い、こっちに来ているキリサメの方は歩いていく。
どうしたんだ、あいつ?
「慎、慎二に変なこと言うんじゃねぇぞ」
キリサメは慎二に聞こえないように声をできる限り殺して慎にそう言う。
慎は苦しそうな表情でキリサメを見上げる。
「でも師匠……」
「おい、何してんだよ〜!
早く修行しようぜ!」
慎がそう言いかけると慎二が2人にそう叫びながら手を振る。
「慎、申し訳ねぇが後ででいいか?」
慎は拳を強く握り締めながら「わかった」と苦しそうな表情で何とか絞り出すようにキリサメにそう告げた。
「慎二、気の器の調子はどうだ?」
キリサメが俺にそういうと俺は腹を少し触り調子を確認しながらキリサメに「大丈夫そうだ!」と元気な声で叫ぶ。
「んじゃ今日は想増気法すんぞ。
リリ呼んでくるから待ってろ」
「分かった!」
俺はキリサメにそういうとキリサメは庭からつながっているベランダから家に戻って行った。
慎はどこか不安そうに、悲しそうな表情で家に戻っていくキリサメを見つめていた。
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「ふぅ、汗が洗い流されるぜぇ」
「じじぃかよ、慎二お前」
俺は修行を終えた後、飯を食い風呂に入っていると先に入っていた慎にそう言われる。
「うるっせぇなぁ、疲れたんだから仕方ねぇだろ。
気使えねぇから修行でできた傷簡単に治せねぇし。
そうだ!
俺の傷治してくれよ慎お前ならでき……」
「なんでお前はそんな能天気なんだよ!」
俺がそう軽口を叩いていると急に慎がそう怒鳴り立ち上がった。
俺は急に怒鳴られたことに驚く。
「負けちまったらお前は死んじまうんだぞ?
それにキリサメも……
もう少し焦れよ!」
「わ、悪かったよ。
だから、少し落ち着けよ」
俺がそう言うと慎はハッとした様子で俺の顔を見る。
「こっちも悪い、急に怒鳴っちまって。
どうかしてたわ。
もう出る」
そうすると少し顔を曇らせながら、湯船を上がり浴場を出て行った。
慎、そうだよな。
あいつはキリサメと付き合いが長い、それにリリやルル、雫さん、街の人たちもキリサメのことが大事なんだ。
よそ者の俺なんかに命張ってくれてんのに。
「あぁ、少しのぼせちまったか?」
俺は頭を叩きながら、湯船から上がり浴場を後にした。
慎には悪いことしちまったな、あいつもあいつなりに俺とかキリサメのこととかちゃんと考えてくれてんのに。
……よし!ちゃんと謝ろう、そんで寝るまで少し修行付き合ってもらおう。
俺はそう思い服を急いで着た後、慎を探すため家中見回った。
***
クッソ、見つからない。
リリとかルル、雫さんにも聞いたのに、リビング、キッチン、慎の部屋とかも探したのにどこにもいない。
んじゃここしかないよな、、、
俺はそう思い、キリサメの部屋に来ていた。
さて、開けるか。
俺が襖を開けようとした瞬間、微かに慎が怒鳴る声が聞こえた。
どうしたんだ?
俺は襖の少しの隙間からその部屋をのぞいた。
そこには正方形の部屋の奥で、将棋を差し合いながら話し合っている慎とキリサメがいた。
何話してんだ?
俺は聞き耳を立て、その話を聞く。
「分かってんだろう師匠も、このままじゃ絶対あのエリアボスを倒すまで剣術を極められないって。
慎二も初心者のくせに結構筋はいいよ、師匠が期待する気持ちもわかる。
けどこのままじゃあの技たちが覚えられねぇじゃねぇか。
このままじゃ慎二も死んじまう。
やっとこの世界でできた、同等に戦える相手なんだ。
死なせたくねぇよ……」
慎は頭を抱えながら将棋の盤に強く駒を叩きつけながらそういう。
キリサメは冷静に駒を差しながら答えていく。
「あぁ、分かってるよ。
お前が慎二を大事に思ってくれてるのは嬉しい。
けどダメなんだ、今は何とかなってもこの先絶対行き詰まる」
「何言ってんのかわかんねぇよ!
慎二のことを考えてんなら、少しでも可能性ある方にかけてやれよ!」
……そうか。
だから慎は最近あんなに思い詰めた様子で、、、
俺は聞き耳を立てるのをやめ、自分の手を見つめる。
何となく分かってた、このままじゃダメだって、、、
だったら、俺にできんのは一つしかねぇよな……
俺は覚悟を決め、歩き出して行った。
【 名 前 】 伊藤慎二
【 レベル 】 430
【 H P 】 43900/43900
【 M P 】 4000/5000
【 S P 】 300/350
【 魔 力 】 0/0
【 筋 力 】 886
【 脚 力 】 885
【 抵 抗 】 227
【 感 覚 】 227
【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒《中》治癒《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作
【固有スキル】 亜空間収納
【ステータスポイント】 0




