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30話 師事


 僕はその見覚えのある部屋で目が覚めた。

 確か、僕はあの仮面の男に襲われて。


「あ、やっと起きたぁ」


「晶!

 みんなは、みんなはあの後どうなったんだ?!」


 僕がそういうと晶は顔を曇らせながら、答えた。


「落ち着いて、落ち着いて聞いてね……」


 晶は自分にもそう言うように告げ現状について、細かく教えてくれた。

 王都に転移した後、佐々木さんと僕は疲労で倒れてしまったらしい。

 僕は丸2日ほど気を失い、そして佐々木さんはまだ目を覚ましていないらしい。

 そして藤宮さんが、あの仮面の男や僕たちを助けてくれたあのフードの男のことをアーシャさんに報告したらしい。


 そして、あの仮面の男に殺されたクラスメイトは8名。

 親しい人間ももちろんいた、だからこそそれに精神を病んでもうダンジョンに潜りたくないという人もいたらしい。


「ッわかった、教えてくれてありがとう」


 今のままじゃダメだ、このままじゃあの仮面の男に友達がみんな殺される。

 僕が、僕が強くならなきゃ。

 僕は期待されてるんだから、僕ができるのはそれに応えることだけじゃないか。

 僕はある人のところに向かおうと、部屋を出ようとしたところを晶に呼び止められた。


「慶さ、あんま根詰めなくても良いんだからさ。

 あれで気を病んだ人ももちろんいるけど、このままじゃダメだって思った人ももちろんいる。

 慶がどんな境遇で育って、どんな思いを持ってんのかも知ってる。

 けど慶ばっかり無理しなくてもいいんだよ。

 だから……」


「大丈夫だよ、絶対無理はしないから」


 僕は晶の言葉を強引に塞ぎ、僕は部屋を出ていった。


「なんだよ、、嘘じゃんか……」


 晶はとても悲痛な表情をしてそう言った。


***


 そして僕は中庭に来ていた。

 僕は2日ぶりの日光を浴びながら、歩いて行く。

 庭を手入れしている、その人へ。


「アリウスさん、今お時間よろしいですか?」


 僕がそういうとアリウスさんは手を止め、僕に向き直る。


「私めに何の御用でしょうか」


「アリウスさん、単刀直入にお願いします。

 僕を、鍛えてくれませんか?」


 僕はそう言い、アリウスさんに頭を下げた。

 アリウスさんは少し驚いた顔をしたと思うと、少し険しい表情をして答えた。


「申し訳ありません、このような老骨には転移者様の稽古など力不足にございます。

 お力になりたいのは山々ですが……」


「そんなことないです!

 僕も、強くなってスキルも強くなって理解しました。

 アリウスさんはとてもお強い。

 執事長なら知っていると思うのですが、僕たちはダンジョンで謎の男に殺されかけました、実際にクラスメイトも殺されています。

 だから、お願いします」


 僕は再度、深々とアリウスさんに頭を下げる。


「そうですね、あなたの言いたいことはよくわかりました。

 ですが私にはそのような資格はありません。

 私は一度全てに絶望し、剣を捨てました。

 そのような人間に……」


 アリウスさんは自分の手を見つめながら、悲痛な表情を浮かべる。


「僕は、僕は善人には長く生きて欲しいんです。

 藤宮さんや晶、他のクラスメイトも全員生きて欲しい。

 こんな作り物の善人を信頼して、背中を預けてくれる。

 そんな人たちを僕は、死なせたくない……から僕はあなたに」


 僕はそう言い、アリウスさんを見つめた。

 アリウスさんはそれなら何を思ったのか、体を震わせたかと思うと口角を釣り上げ僕に告げた。

 

「そうですか……

 私も、、同じでした」


 アリウスさんは、怒りや悲しみとも取れる表情を浮かべ、歩き出した。


「良いでしょう。

 あなたに私の剣を教えてさしあげます。

 ですがやるからには本気で、殺す気で行かせてもらいます。

 私も執事長としての仕事がございますので、隙間時間の少しの間しか教えられませんが……」


「全然、大丈夫です。

 お願いします」


 アリウスさんは木刀を取りに行くと言い歩き出したかと思えばふと思い出したかのように僕に問いかける。


「お名前聞いてもよろしいでしょうか」


「慶、樋口慶と申します」


「樋口くん、これからよろしくお願いします。

 それと、私から見れば"あなたは"善人だと思いますよ」


 アリウスさんはそう告げ、歩き出した。

 そう告げたアリウスさんの顔は悲しげな表情を浮かべていた。


___________________


「はぁはぁ、疲れたぁ!」


 俺は膝をつき、汗を垂らしながら地に伏していた。

 俺が修行を始めてから5日が経過した。

 気の上限も着実に増えていっている、身体強化もスキルを介さずにうまく使えるようになってきた。

 剣術も少しずつだが上達してきてる、だが本当にこのままでいいのか?


「確実に剣術の方も身についてきてるな。

 良い調子じゃねぇか、この調子で頑張って行くぞ」


「全然良くねぇだろ」


「慎、なんかいったか?」


「いや何でもねぇよ、修行再開しようぜ」


 慎のいう通りに俺は体を起こし、修行を再開しようとした時、キリサメに一声かけられた。


「一つ聞きてぇんだが慎二、お前剣気使えるか?」


「まぁ使ってたのか、、?」


 そういうと慎が驚いた顔でこちらを振り向いた。


「それがどうしたんだよ?」


「いや、何でもねぇよ」


 俺は修行を再開するのだった。



 【 名 前 】 伊藤慎二

 【 レベル 】 430

 【 H P 】 43900/43900

 【 M P 】 4000/5000

 【 S P 】 300/350

 【 魔 力 】 0/0

 【 筋 力 】 886 

 【 脚 力 】 885 

 【 抵 抗 】 227 

 【 感 覚 】 227 

 【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒(ヒール)《中》治癒(ヒール)《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作

 【固有スキル】 亜空間収納(インベントリ)

 【ステータスポイント】 0

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