表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/33

28話 暗転


「ちょ、そろそろ修行始めんぞ」


「誰のせいだと思ってんだ」


 俺は手に持っているナイフをしまい、キリサメを睨む。


「まぁとりあえず言った通り気の上限上げる修行始めるか。

 じゃあ慎二いったん身体強化解け」


 少しばかりの苛立ちを抑え、キリサメのいう通り身体強化を解除した。


「リリ、いつもの頼む!」


 キリサメがそういうと「わかった」とリリがいい杖をこっちに向けると木でできた机のように出てきた。


「失礼するわよ」


 リリは俺の腹に触り何かを確かめた後、机の上に粘土のようなものでできた水がパンパンに入っている桶が出てきた。


「こんなんでなにしろってんだよ?」


 俺は桶に指を向けながらキリサメにそう言い放った。


「慎二、お前気がどこにあるかはわかるよな?」


「あぁ腹、だろ?」


「そうだ、この桶はお前の気の器、水は気だと思え」


「ちょ、どういうことだ?」


 キリサメがそういうと俺はその言葉に戸惑い、キリサメの話を一旦遮った。

 これが俺の気だと思えって、思ったとして何になんだよ。


「まぁ落ち着いて話聞きやがれ。

 まぁ気の上限を上げるには主にな二つの方法がある。

 一つ目は何かわかるな?」


「レベルアップするときに10上がる」


「そうだ、それが一つ目の方法。

 もう一つのがいまやる方法、想増気方という」


「ソウゾウキホウ?」


「自分の気をこいつだと己に錯覚させる。

 そしてこの柔い器をこねて器を広げていってどんどん気の上限を上げていくっていう方法だな」


「そんな簡単な方法でいいのかよ」


 俺が訝しげにそう告げると、キリサメはニヤリと笑いながら俺を見つめる。


「まぁ、習うより慣れろだ。

 さっさとやってみろ」


「、、わかったよ」


 俺はキリサメのいう通り桶を掴み、これが俺の気だと錯覚させようとする。

 目を瞑り腹にあるであろう気を感じようと意識を集中させる。


「その器の形ちゃんと覚えるんだぞ」


 俺はその器に手を回し形をちゃんと確かめる。

 どんな形なのか、触り心地、どこら辺が凹んでるのか、薄いところはないか、ゆっくりゆっくり確かめて自分の気と思い続けた。


「よし、ゆっくりとだ。

 ゆっくり器を広げていけ」


 誤認することができたところでキリサメがそう告げる。

 俺はその器を優しく、ゆっくりとこね広げていく。

 薄くなりすぎず、厚くなりすぎず、均等にどんどんと広げていく。

 集中していると風が吹き、俺の耳を突き抜けていく。


「、、あっ!」


 そのせいか集中力が途切れ力加減を間違え、薄くなりすぎたところから水が少しずつ垂れていく。


「急いで塞げ!

 どんどん穴が広がってって最終的に器ぶっ壊れるぞ!

 そうなると修復には丸5日かかっちまう!」


 俺は急いで周りのところからこね集め薄くなりすぎたところを修復していく。

 どんどん厚くしていき、水が流れ出ることを堰き止めることに成功した。

 だが、修復できたと思ったのも束の間また薄くなりすぎたところからまた流れ出る。

 漏れ出ては直し、漏れ出ては直しを繰り返していきなんとか全てを直すことに成功した。


「目、開けていいぞ」


 キリサメのいう通り俺は目を開け自分の器を確認する。

 さっき見た綺麗な器とは打って変わりデコボコの不細工な器になり、中に入っていた水は半分以下まで減ってしまっていた。


「どうだ簡単だったかよ?」


 その不出来な器を見た慎はニヤニヤしながら俺の肩に手をポンと置く。


「うるっせぇなぁ!

 見りゃわかんだろ!」


 俺がそう告げると「まぁ最初はこんなもんだ」と笑ったことにより出てきた涙をなく拭いながら俺を励ました。


「慎のいう通りだ。

 ぶっちゃけ最初から完璧ならできると思ってやらせてるわけじゃねぇ。

 やってくうちに慣れればいい。

 後、24時間くらいは気使うなよ。

 無理に使うと器が傷つく」


「分かったよ、この後はじゃあ何すんだ」


「まぁ、実戦で使えるレベルまで剣術を教え込んでやる」


「しっ師匠流石にそれ結構無茶だと思ってんだけど」


「なんとかなるよ、慎二ならーー」


 そう告げたキリサメはどこか何か意味ありげな顔をしていた。


___________________


「樋口、そっちいったぞ!」


「分かった!」


 僕はそう言い、こっちに襲いかかってきたゴブリンを一刀両断した。

 ウギャッと一瞬の悲鳴と共に鮮血が舞う。

 僕は剣についた血液を振り払った。


「流石だな、慶。

 この調子ならこの階層のエリアボスなら攻略できそうだ」


「ありがとうございます、佐々木さん」


 そう告げた、佐々木さんに僕は頭を下げた。

 僕たちは今ダンジョンの攻略に勤しんでいる。

 現在の階層は61階層、今はゴブリンの群れ遭遇し戦っていた。


「だが油断は禁物だ、慶。

 気配的にもう近くにエリアバスが近づいている。

 今日はギルドの援軍は来ていないからな、分かったか?」


「はい!」


 僕たちは佐々木さんの指示で少しばかり休息をとり、エリアボスたちに挑むことにした。


「樋口くん、ちょっといいかな」


「藤宮さん、大丈夫だよ」


 そういうと藤宮さんは僕の近くに腰を下ろし、話をした。


「慎二くん、この階層にはいないみたいだね」


「そうだね、くまなく探索したけど全然見当たらない」


「ここにいるのはルナさんがいうには間違いないらしいけどここまで見つからないと少し心配になってきちゃった」


 そういうと藤宮さんは顔を下す。

 ずっと、藤宮さんが伊藤くんを気にかけているのは僕も知るところだ。

 なんとか藤宮さんの力になりたいし、伊藤くんのこともなんとか助けたい。


「僕たちが気を落としてどうする?

 伊藤くんは今も一人でダンジョンで戦っているんだ。

 気を落としている暇があったら前に進むべきだ。

 なにより、会ったときにそんな調子だったら逆にこっちが心配されてしまうよ」


 僕がそういう時藤宮さんは「そうだね」と笑った。

 なんとか元気が出てきたみたいだ。


「そろそろいくぞ!」


 佐々木さんがそう告げると僕たちは立ち上がり、奥へと進んでいった。

 みんな楽しそうにしている。

 ダンジョン内だというのにまるで遠足に来た子供のように。

 ここまでくるのにさほど時間はかからなかった。

 なんでも佐々木さんや、ギルドの人がなんとかしてくへた。

 だから、、、だろうか。


 僕たちは油断していた、舐めていた。

 このダンジョン(せかい)を。


「お前ら一旦止まれ」


 佐々木さんは今まで聞いたことのないほどの緊迫した声でそう告げた。

 僕も臨戦体制をとり、ゆっくりと前に出て佐々木さんと横並びになった。

 その瞬間、空気が凍りついた。

 今までに感じたことのないほどの冷たい、風のような殺意の塊が僕の頬をなぞった。

 その瞬間奥の暗闇から光が漏れ出た。


「全員しゃがめぇぇぇ!」


 佐々木さんの鬼気迫るその声で僕たちは意識を引っ張り出される。

 その瞬間僕たちはしゃがんだ。

 だが、恐怖で体が固まりしゃがめなかったクラスメイトがいた。


 ーーーひゅん


 そんな軽い音だった。

 聞き慣れた、いつもの風の吹くような音。

 次の瞬間ポタポタと何かが垂れる。

 血と臓物だった。

 両断されたクラスメイトの胴体が、ワンテンポ遅れて断面から血が吹き出す。

 溢れ出た血が僕の頬にかかり、生暖かい感覚がほおに伝わる。

 クラスメイトは恐怖で泣き叫ぶものもいれば、失禁するもの、体を震わせながら嘔吐するものがいた。

 頬についた時間が経過し冷たくなったクラスメイトの血液がこれを現実だと無情に告げる。


「一体、何が……!」


 必死に恐怖を噛み殺し、その暗闇に視線をむけ最大限警戒しているとそこにいた何かは顔を出した。

 全細胞が死ぬ、今すぐ逃げろと警鐘を鳴らす。

 人の姿形をしているが人と形容するのは恐ろしい純粋な死の塊。

 その暗闇を踏み越え、僕たちに顔を覗かせたのは腰に杖を携えた


 ー"仮面の男"だった。



 【 名 前 】 伊藤慎二

 【 レベル 】 376

 【 H P 】 37000/38500

 【 M P 】 3700/3850

 【 S P 】 180/250

 【 魔 力 】 0/0

 【 筋 力 】 786 

 【 脚 力 】 785 

 【 抵 抗 】 177 

 【 感 覚 】 177 

 【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒(ヒール)《中》治癒(ヒール)《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作

 【固有スキル】 亜空間収納(インベントリ)

 【ステータスポイント】 30

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ