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26話 立ち合い


 俺たちは飯を食い終わった後、庭に来ていた。

 正方形の大きい庭の真ん中にキリサメと慎と俺がいて、庭に繋がっている部屋からリリとルルが座ってこっちを見ていた。


「さてと、これから修行を始めるわけだがこれからお前には刀を使って戦ってもらう」


「ちょ、ちょっと待ってくれ」


 俺はその言葉に目を見開きながらそうキリサメにいう。


「刀なんて使ったことねぇし、今俺が使ってんのは短剣だ。

 つーか、なんで武器を変える必要があんだよ」


「まぁ、そう思うのも無理ねぇわな」


 キリサメは頭をポリポリとかきながらそう答える。


「まぁ単純に、リーチの問題だな。

 あのライオッド……オーガのやつの体は太くて厚い。

 短剣じゃあいつとは相性が悪い、それに俺は刀以外教えられねぇし」


「はぁ?

 理由はわかったが刀なんて握ったことねぇんだよな。

 なんか歴史勉強してる時にかっこいいなとは思ってたけどよ」


 俺はキリサメになんとかならないかとそう言っていると慎が口を開いた。


「ほら、師匠わかっただろ?

 こいつは刀も握ったこともねぇ素人、しかも師匠の言うことを素直に聞かねぇと来た。

 こんなやつ助けなくてもいいんだよ」


「なんだと?」


 その聞き捨てならない言葉に俺は憤りを覚え、慎を睨みつける。

 それに気づいたキリサメが思いついたように手をポンと叩いた。


「だったらお前ら一回戦え」


「「はぁ?!」」


 その言葉に思わず俺らは素っ頓狂な声をあげた。


「おいおい、なんでそうなことになった!」


「だってお前ら、ギスギスしてるからよ。

 ここでその蟠りに決着つけようぜっていう気遣いだよ」


「いいぜ師匠、俺はな」


 挑発するように慎は俺に向かってそう告げる。

 こいつ、、、


「いいぜ、俺も受けてやる」


「んじゃあ決まりだな。

 んじゃあ、リリー!」


 キリサメがそう叫ぶと、リリは「はーい!」と元気に返事し、杖を取り出し俺らに向けた。

 その瞬間地中から木の根が飛び出し、そこから木刀と短剣が出てきた。


「さぁ、武器は用意した。

 思う存分やり合え」


 慎は木刀を握り、距離を取る。


「どうした?

 お前はとらねぇのか慎二」


 キリサメは俺に不思議そうな顔をしてそう告げる。

 俺はニヤリと笑いながら、キリサメにいう。


「俺も、木刀を使ってもいいか?」


 その発言に慎とリリは目を見開きながら驚き、キリサメは面白そうにニヤリと笑う。


「てめぇ、それで負けても言い訳になんねぇからな」


「そうだぜ慎二。

 本当にいいのか?」


 俺はその問いかけに首を縦に振る。


「リリ、頼む」


 そう言うと短剣は木の根に飲み込まれ、その後すぐに木刀が飛び出してきた。

 俺はそれを握りしめ、慎と向き合う。

 キリサメはリリの方へ向かう。


「始めろ」


 キリサメのその掛け声と共に俺らは動き出した。

 まずは小手調べ。

 俺らは木刀をぶつけ合う。

 俺の方が力で勝り、慎は体制を崩し後ろによろめいた。


 チャンスだ。

 俺はその隙に顔に向かって、木刀を薙いだ。

 慎はしゃがむことでそれを避け、ガラ空きの俺の腹に突きを見舞う。

 部位硬化が間に合わず、その攻撃をモロにくらい後ろに飛ばされ咳き込む。


「おいおい、どうしたんだよ!」


 その隙に俺に木刀を振り下ろす、それをなんとか受け止める。

 あっぶねぇ!


 だが安心したのも束の間受け止めている木刀に加えられている力がどんどんと強くなっていく。

 身体強化か……

 このままじゃやばいと思い、俺は足に強化を回しなんとかそこから逃れる。


「さっすがに剣の真っ向勝負じゃそっちに軍配が上がんな」


「俺が何年剣道をしてきたと思ってる。

 俺に剣で勝てると思うな」


「やっぱり、慎強いわね。

 キリサメ、止めなくていいの?

 慎二ボコボコにされちゃうわよ」


「そうだな。

 もし剣で戦うなら、だけどな」


 剣で勝てないのは初めからわかってた。

 ただ、あいつとの距離を見てみたかった。

 だったら、俺にしかねぇもんで勝負するしかねぇか。


 重複強化《中大》


「いくぜ」


 俺は一瞬で慎との距離を詰める。

 俺は斜めに振り、胴を切る。

 だが反応されその攻撃は防がれた。


「だから、剣で勝てると……」


「思ってねぇよ」


 その瞬間俺は慎に回し蹴りを見舞う。

 予想外だったのか吹っ飛ばされる。

 流石、神童。

 予想外の攻撃でもギリ反応してくるか。

 だったら。


 俺は人差し指を強化し木刀を慎に投げつける。


「なっ?!」


 流石の慎でも反応が遅れ刀が握られている手は後ろに飛ばされる。


「ガラ空きだぜ?

 お返しだ」


 俺はその腹に一発入れる。

 慎は勢いよく吹っ飛ばされるが、なんとか体制を立て直す。

 だが、周りを見渡しても俺の姿はなかった。


「どこにいった。

 ……まさか!?」


 慎が上を振り向くと既に俺の拳は近くまで迫っていた。

 慎はなんとか木刀でそれをガードする。


「すごいわね、、慎二。

 あいつあんなに強かったんだ」


「まぁそうだな。

 あいつは技術はねぇが常に死と隣り合わせの状況で戦ってここまで生き残ってきた。

 要は戦闘経験が豊富ってことだな」


 俺は丸めている拳を開き木刀を掴み、左手で慎の首を掴み後ろに落ちる反動で慎を地面に投げつける。

 俺は慎の顔に拳を近づける。


「お前の負けだ」


 俺がそう言うと慎は俺の手をどかし体を上げ、悔しそうに手で顔を覆う。


「とりあえず、今回は慎二の勝ちだな」


 キリサメが手を振りながら嬉しそうな顔で近づいてくる。


「まぁ慎も気にすんなよ。

 さて、修行始めるとしよう……」


「待て」


 キリサメのその言葉を遮り、慎は立ち上がりながらそう言う。


「まだ、終わってねぇよ」


「……慎」


 その言葉にキリサメは嬉しそうに微笑んだ。


「そうか、慎二。

 慎はこう言ってるがどうする?」


「いいぜ、やってやる」


 俺がそう言うとキリサメはポンと俺の背中を叩く。


「気ぃつけろよ。

 こっからが本番だからな」


 キリサメは俺にそう呟き、またリリの方に向かって歩いて行った。


「ほら、持て」


 慎は俺に向かってさっき投げつけた木刀を投げ渡す。


「ありがとな」


 俺はそれをキャッチし、そいつと向かい合う。

 こいつさっきと雰囲気が変わった。

 さっきまではあんな対抗心燃やしてたのに、急に静かに……

 俺はキリサメのさっきの言葉を思い出す。

 俺はニヤリと微笑む。


「いいじゃねぇか、やってやる」


 俺がそう言うと、キリサメが「始めろ」と声をあげた。

 その瞬間慎が先に動き、俺との距離を詰める。

 俺を狙い斜めに切り下ろす。

 俺はそれを難なく防いだ。


「こんなもんかよ」


 俺がそう言うと慎はニヤリと笑う。

 その瞬間慎は足を振り上げ砂埃を舞わせ俺の視界を潰した。


「お返しだ」


 その瞬間、俺の胸ぐらが掴まれ思い切り投げつけられ、地面に何回かバウンドしたがなんとか体制を立て直す。

 だが、その隙に慎は俺との距離を詰め剣術で圧倒する。


「さっきと慎、動きが変わってる」


「あいつは、戦闘経験じゃ慎二には劣る。

 だけどそれを補うセンスがある。

 こうなった慎は強ぇーぞ」


 クソ、押されてる。

 俺はなんとか慎の連撃を防ぐが、対処しきれず何発か喰らってしまう。

 俺は土を操作し、慎の地面を隆起させ上に飛ばす。

 俺は火球を生成し、慎に向かって放つ。


 慎は空中で身を翻し、水球を生成放つ。

 流石、アンデッドモンスター。

 圧倒的なMPの総量で火が簡単に押し負け、残りの水が俺に向かって雨のように降り注いだ。

 俺は跳躍し慎との距離を詰め、木刀をぶつけ合う。

 気づけば俺たちは、笑っていた。


「慎、なんか楽しそうだね」


「あぁ、対等に戦える相手ができて少し嬉しいんじゃねぇのかな」


 俺たちはまた距離を取り向かい合う。

 俺は地面を思い切り殴りつけ、土煙を上げ隠密を使い紛れる。


「来い、全部叩き切る」


 俺は慎の背後に回り木刀を頭に向かって思い切り薙いだ。

 だが、慎はそれに気づき振り向きざま俺の手を目掛け木刀を薙ぎ木刀が飛んでいく。

 慎は木刀を振り上げる。


「俺の勝ちだ」


 慎はそう言うと木刀を全体重を乗せて振り下ろした。


「真剣〜白刃取り!」


 俺はすんでのところでその木刀を止める。


「これ木刀だから真剣じゃなくて、木刀白羽取りになんのかな?」


「ほざけ!」


 慎はどんどんと力を上げていく。


「流石に耐えられねぇな。

 悪りぃ、この木刀もらうぞ!」


「何言って……」


「収納」


 その瞬間木刀は消え失せる。


「眠れ、慎。

 排出」


 その瞬間、木刀が俺の手に現れ慎に向かって振り下ろした。


「そこまで!」


 キリサメが当たりそうなところで、止めに入り俺の木刀を掴む。


「わぁ!?」


 慎は全体重を木刀に乗せていたせいで前に倒れてしまった。

 俺は気が抜け、足の力が抜け倒れ込む。


「気分はどうだよ、慎?」


「最ッ悪だよ!」


 俺がそう言うと慎は悔しそうに地面を殴り、顔を俯かせる。

 けど実際危なかった、勝てたのは亜空間収納(インベントリ)見せてなかったおかげだな。


「慎、本当に良かったぞ。

 よく戦闘経験の差を埋めた」


 キリサメが慎の頭を撫でると嬉しそうに慎は笑う。

 慎は急にバッと体を起こし俺に指を突きつける。


「慎二!

 俺はまだお前を認めてねぇけど、強さだけは信じてやる。

 だから、師匠を死なせねぇように努力しやがれ!」


 慎は俺にそう告げる。


「おう、任せろ」


 俺は胸をポンと叩き、自信満々にそう告げた。


「蟠りがなくなったところで修行と言いてぇところだが、一旦お前ら風呂入ってこい。

 泥と水で汚ねぇから」


「「……はい」」


 俺たちは顔を伏せながらそう言うのだった。


 【 名 前 】 伊藤慎二

 【 レベル 】 376

 【 H P 】 37000/38500

 【 M P 】 3700/3850

 【 S P 】 180/250

 【 魔 力 】 0/0

 【 筋 力 】 786 

 【 脚 力 】 785 

 【 抵 抗 】 177 

 【 感 覚 】 177 

 【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒(ヒール)《中》治癒(ヒール)《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作

 【固有スキル】 亜空間収納(インベントリ)

 【ステータスポイント】 30

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