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24話 懐旧談


「疲れた……」


 僕はあの後寝室へ戻り、布団を被りダンゴムシのように丸まっていた。

 なんでキリサメは僕のことを助けてくれたのだろうか。

 こんな何にも役に立たない死に損ない、命を賭けてまで守る価値なんてないのに……

 ダメだ。

 これ以上考えていると自分のことが嫌いになりそうだ。

 いや、もうなっているのかもしれないな。


 強くなりたい。

 僕はあの日そう思った。

 誰にも負けないくらい、このダンジョンで生き抜けるくらい強くなると。

 だけど全然ダメだった。

 エリアボスには歯が立たなかった。

 そんなやつと僕は戦うのか?

 キリサメが繋いでくれた命をドブに捨てるか?

 涙が溢れそうになり、唇を血が出るほどギュッと噛み締め悔しさを噛み殺した。


「強く、、なりたい」


「だよな、慎二」


 後ろから老いた声が聞こえ、思わず振り向いた。

 そこに立っていたのは、キリサメだった。


「強くなりたいんだろ?

 コテンパンにやられたあのオーガや亜人達を倒したいんだろ?

 俺がお前を強くしてやる。

 だから、一緒に来ないか、伊藤慎二」


 キリサメがそういい僕に対して手を差し出す。

 この人はとても強い。

 この人についていったらもしかしたらあいつらにだって勝てるかもしれない。

 ……だけど。


「さっき、言いましたよね……

 僕はもう十分苦しんだんだ、戦ってきたんだ。

 どうして、あなたはそこまで僕に背負わせようとするんですか。

 なんであなたは他人のために命をかけれるんですか」


 僕は、キリサメに対しそう言った。

 まただ、顔を見れない。

 怖いんだ、向き合うことが。

 はぁはぁと、どんどん息が荒くなっていく。

 もういっそ、、、僕なんか死んでしまった方が……

 

「あぁ、知ってるよ」


 その瞬間、僕の体を何かが包んだ。

 キリサメが僕を抱きしめていることに少し経って気がついた。


「な、にして」


「でもなぁ、慎二。

 苦しい思いも、痛てぇ思いも、辛れぇ思いもしてきたと思うけどなぁ。

 どんなに言い訳並べたってよ………

 もし逃げちまったらもっとずっと、、、辛れぇんだよ」


「あ、あんたに何がわかるんだよ!」


 僕はその言葉にたまらず顔をバッと振り上げた。


「やっとこっち見たな」


 そこには、後悔や、同情、怒りや悲しみ。

 全てが含まれた表情がそこにはあった。

 僕は今こんな表情をしているのではないかと錯覚してしまうほどの悲痛な表情。

 この人も、俺と同じなのか……

 

「一つよ、昔話をしよう」


「昔話?」


「あぁ、これから話すのはただの臆病者のクソガキの話だ。

 そいつは、戦争に参加してたんだ。

 世界を守るための、戦争に。

 最初は良かった。

 自分の力を存分に発揮できて、最高の仲間たち、そして親友に囲まれて幸せだった。

 けど、始まりが来れば必ず終わりもくる。

 戦争が激化してく中、昨日まで酒を酌み交わしていた仲間たちがどんどんといなくなっていった。

 辛かったよ」


 キリサメは悲痛な表情でその話を聞かせる。

 まるで自分の話かのように。


「でも、まだ地獄はあったんだ。

 死んだはずの仲間たちが、クソガキの目の前に現れた」


「……え?」


 似たような話を聞いたことある、なんだろうか。

 そうだ、アリさんが聞いてきた質問と同じだ。

 どうして………


「そいつは記憶があってな、死んだ仲間が生き返ったぞって大騒ぎだった。

 嬉しかった。

 だけど、そいつらは敵だったんだ。

 国からの命令は、そいつらを殺せだった。

 そのクソガキは迷ったよ。

 なんで、どうしてって。

 世界を憎んだよ。

 だけど、、最終的には我が身可愛さに仲間を……

 そして戦争が激化していくとどんどん仲間が死んでいき、敵となり、殺していった。

 そのクソガキはどんどんどんどんすり減っていった。

 そのクソガキの耳には仲間の悲痛な叫びがこびりついた。

 そして囁かれている気がした。

 殺してやるって」


 キリサメは苦しそうに、悲しそうに、まるで僕に向かって贖罪をするように僕の肩に手を置きならそう言う。


「最後は、どうなったんですか……」


「……逃げたよ、そのクソガキは。

 親友と生き残っている仲間、国を捨ててな」


 なぜだろう、なぜ僕はこんなにも悲しいのだろう。

 なんで涙が止まらないのだろう。


「そのクソガキは今でも苦しんでる。

 逃げたことを、親友を置いていったことを。

 だからよ、お前にはそうなってほしくねぇんだ。

 だから、伊藤慎二。

 そのクソガキと一緒に、前に進んでいかねぇか?」


 キリサメは泣きながら、精一杯の笑顔でそう告げた。

 まだ僕はあのモンスターたちが、すごく怖い。

 だけどキリサメが教えてくれた逃げた方が辛いって言葉……

 確かになってそう思ったんだ。

 こんな弱虫な僕にキリサメは手を差し伸べるてくれた、希望を見出してくれた。

 僕とちゃんと向き合って、、僕を僕自身を見てくれた。

 だったら、僕はーー。

 いや、"俺"は!


「こんな弱虫だけど。

 よろしく頼む、キリサメ」


 涙を拭って俺も精一杯の笑顔でそう答えた。



明日は台風の影響で皆様休みの人が多いと思いますので、2話投稿とさせていただきます!

11時半ごろにこの続き、18時に力作の番外編を投稿します!

ぜひ楽しみにしていてください。

感想、レビュー、ブクマ、評価、待ってます!!



 【 名 前 】 伊藤慎二

 【 レベル 】 370

 【 H P 】 37900/37900

 【 M P 】 3790/3790

 【 S P 】 250/250

 【 魔 力 】 0/0

 【 筋 力 】 786 

 【 脚 力 】 785 

 【 抵 抗 】 177 

 【 感 覚 】 177 

 【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒(ヒール)《中》治癒(ヒール)《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作

 【固有スキル】 亜空間収納(インベントリ)

 【ステータスポイント】 0

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