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22話 追憶


「リリ!

 師匠も言ってただろ、人間の客人がくるから攻撃するなって」


「あれ〜そ、そんなこと言ってたっけ……」


「リリ、キリサメ見るのに夢中で話なんも聞いてなかった」


「リリお前さぁ」


 めちゃくちゃ怒られてるなぁ。

 俺は正座させられているリリを横目に、考えていた。

 大雲慎、こいつなんでダンジョン内にいるんだ?

 ここは恐らく、アンデッドモンスターたちの街、リリたちと仲がいいことを見るにこいつも……


「悪かったな、慎二。

 俺の名前は……確か知ってたっけ?」


「あ、あぁ大雲慎だろ?

 剣道めっちゃ強いっていう」


「あんた、慎のこと知ってんの?

 なによ慎、あんた元の世界じゃ有名人だったのね?」


 いつの間にか立ち上がり慎を小馬鹿にするようにリリは小突いていた。


「てか、なんでお前ら俺の名前知ってんだ?

 教えた記憶ないんだけど」


「あぁ、師匠が教えてくれてたんだよ」


「師匠?」


 俺はさっきから師匠と言われているものについて気になって思わず聞いてしまった。

 慎は「あぁ、言ってなかったな」とそう言い、師匠について説明する。


「師匠っていうのはこの街を治める長的な人だ。

 名前はキリサメっていう人なんだけど。

 その人がボロボロのお前を抱えて連れてきたんだ」


「あぁ、だからなんか見覚えがあったのね」


 ボロボロの俺を?

 そのキリサメっていう男が俺を連れてきたのか。

 もしかしたら、そいつにやられて俺は連れてこられてきたのか?。

 リリはポンと手を叩き、納得した様子でそう言った。


「リリ、その時こいつは客人だって言ってたじゃねぇか。

 ほんっと人の話聞かねぇよな」


「何よ、私にも落ち度はあったとはいえ街とみんなを守ろうとしてやったことじゃないの!」


「それで街こんなにぶち壊しといて何言ってんだ!」


 慎はさっきの立ち会いのせいで壊れた床と、建築物を指さしながらそう叫ぶ。

 こいつら仲良いのか悪いのかよくわかんねぇな。


「まぁとりあえず、慎二。

 師匠が待ってる、案内してやるからついてこい。

 リリ、お前はぶち壊した物を直さなきゃいけねぇから残っとけ」


「わかりました……」


 リリは不満気な様子を見せながらそう告げ、建物の修復作業に取り掛かった。

 俺は慎の後をついていくように歩いていく。


「慎二、ごめんね。

 うちのリリ、少し喧嘩っ早いところあるから」


「いや全然大丈夫だ。

 というか、君の名前はなんていうんだ?」


 リリと似た顔立ちをしているその少女におはそう告げた。


「あぁ、私の名前はルル。

 リリは私の……お姉ちゃん、、かな?」


「あぁ、だからそんなに似てるのか……」


 俺はその返答で、さっき焼き鳥屋の人がルルと言っていた者がこの子であると確信を得た。

 だが、そういうルルの表情は少し暗い顔をしていた。


「というか、慎二お前相当つえぇだろ。

 リリ相手取って、やれる寸前まで追い詰めたんだからな。

 しかも、あそこで止めなかったらルルもやられてたし、、、

 流石師匠が連れてくるだけあるぜ」


「えっ?

 私あそこやられてたの?」


 ルルはびっくりした様子で慎にそう聞く。


「あぁ、さっき俺が止めた時、右手に持ってたナイフがいつの間にか左手に持ち変わってた。

 あのままいってたら多分やられてたぞ。

 しかもそのナイフもいつの間にか消えてるし」


「よくみてるんだな」

 

 俺はその観察力に関心を示した。

 あの一瞬で良く見るもんだ、神童と呼ばれるだけあるな。


「おっ、そろそろ着くぞ」


 慎はそう告げ、俺たちの行き先に指を刺し示した。

 あれ?あそこってさっきまで俺が寝てた家じゃねぇか。

 まぁ確かにそのキリサメが俺を連れてきたなら自分の家に置いとかないのも変な話か。


「ただいまー」


 慎がその扉を開け、そう言い慣れたように靴を脱ぎ捨て中に入っていった。

 進んでいくとおのずと俺が今から行く場所が分かる。

 そこはリビングだった。


「慎二、あんまり粗相のないようにしろよ」


 慎が俺の耳元でそう小さく告げながら、その襖に手をかける。


「師匠、連れてきたぜ!」


 慎はそういい襖を勢いよくガラッと開けた。

 そこには、刀を携え髪は後ろにゆわえており、白髪の長身の老人が佇んでいた。

 ………あっれ?

 この人、この人どこかで、見覚えが。


「こうして、会うのは初めましてだな伊藤慎二」


 キリサメは俺にそう告げる。

 この声、聞いた。

 封じ込めていた、脳が忘れようとしていた記憶をその声で刺激され、こじ開けられた。


 そうだ、俺は……"僕"は。


 その瞬間、悪寒が背筋を伝う。

 全身から汗が吹き出し、よろめく。


「どうした?

 大丈夫か?」


 そのキリサメの言葉も僕に届くことはない。

 何かが込み上がってきた。

 冷えた全身を温めるようにそれが巡る。

 腹、食道、喉。

 全てが温められた末僕はそれを……吐き出した。


 なんとか抑え込もうと手で覆うが、止まる気配は全くなかった。

 これ、さっき食べた……焼き鳥か、、、

 口いっぱいにすっぱく臭い匂いが広がっていく。


「慎二!」


 みんなが僕に向かって駆け寄ってくる。

 遠くなっていく意識の中で、はぁはぁと荒い息遣いだけがなぜか聞こえる。

 これ、誰の………あぁそうか。

 これ、僕か、、、

 それを最後に、僕は意識を失った。



感想、レビュー、ブクマ、評価、待ってます!!

 【 名 前 】 伊藤慎二

 【 レベル 】 370

 【 H P 】 37900/37900

 【 M P 】 3750/3790

 【 S P 】 240/250

 【 魔 力 】 0/0

 【 筋 力 】 786 

 【 脚 力 】 785 

 【 抵 抗 】 177 

 【 感 覚 】 177 

 【 スキル 】 身体強化《大》身体強化《中》治癒(ヒール)《中》治癒(ヒール)《小》隠密 火操作 水操作 風操作 土操作

 【固有スキル】 亜空間収納(インベントリ)

 【ステータスポイント】 0

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